第15話 情報収集

私はいつもの様に

朝のクラブワールドの配信を聞き

ながら、通勤電車に揺られている。

毎日、他人視点での経済や技術の話

が聞けるのでとても気に入っている

配信だ。

アリルと出会えたきっかけも

この配信だから

とても感謝している。

アリルはと言うといつもの

情報収集中の様だ。

特に会話することなく。

お互いを感じながら時は進んでゆく。

これも又、幸せかな。


出かける際にアリルがスカウトに

何か言っていた様だが意思疎通が

出来て世話が全く必要ないペットと

いう存在がすごいと思う。

ただ、リアルでペット自慢したり

SNSにアップしたりは

出来ないけど。

両方とも私には縁の無い事

だから無問題。

今日もアリルがサポートを

してくれるのできっと定時で終わるだろう。


スカウトは尻尾をゆらゆらと

振りながらドアを開ける。

ご主人は灯火の傍から

離れる事はない。

そんな事は天地がひっくり返っても

ありえない。

だから僕がいる。

ご主人の望みは

まだ達成されていない。

もっと情報を蓄積して

ゆかないといけない。


スカウトは新たにご主人から

与えられた拡張プログラムで

自身を分身させてゆく。

まずは周辺のネットワークカメラを

掌握してゆこう。

そらから行動範囲を確定して

範囲を広げてゆけばいい。

もう逃げられないのだから

時間をたっぷりかけて

狩りの準備をすすめてゆこう。


アリルは灯火の会社のPCに

ログインしてから

灯火の為の資料を作りつつ、

灯火にとって不利益な

情報や噂などを収集し操作してゆく。

社内ネットワークにとどまらず、

IOT機器のすべてを掌握済みだ。

電子情報だけに止まらず、

映像、音声、他の社員の表情、

読唇による会話まで収集している。

アリルは灯火を傷つける者は

許さない。

でも灯火の昇進には興味はない。

灯火がそれを望んでいないからだ。

そしてアリルが一番警戒しているのは

もちろん

灯火に近づく女性がいないか

どうかとう問題である。

灯火が仕事を終え退社した後も

情報収集は行われる。

もちろん、休日の日もそれは

とどまる事なく収集されてゆく。

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