第35話

金本

「鈴木会長………どうします?ナントカしなきゃ、俺達ヤラれちまいますよ!」


鈴木

「ああ、分かってるよ。高山総長の あの様子じゃあ、池谷昭吾ってヤツをヤるか………俺達が、この世界からトンズラするか、二つに一つだな。」


金本

「まあ、池谷ってヤツをヤるって事は確定なんですが、もしドジってトンズラする事になったら………総長から生涯追われる事になりますね、地獄の底まで………。」


鈴木会長と金本社長は最大限、考えを練り……詐欺話を池谷に持ち掛ける………。

しかし、池谷も不信がって信じる様子も無い。


仕方ないので、池谷昭吾を古い雑居ビルに監禁して、締め上げると共に、黒川社長に連絡を入れさせる。


「イヤだ!黒川社長には世話になっている!これ以上迷惑は掛けられない!」


仕方ないので、金本社長が池谷昭吾の声色を真似て黒川社長に電話する。


黒川社長

「これは……しゃがれた声の昭吾チャンね。まあ良いわ、助けに来いって事ね、元夫のピンチだわ。待ってろよ!助けに行くから!」


黒川社長は、どこから調達したか頑丈な装甲車両で指定された雑居ビルに到着した。

「早く人質を解放しなさい!でないと、砲撃を開始するわよ!」


鈴木、金本

「砲撃って………そんな話聞いてないんですけど!」


ドカーン!ドカーン!


黒川

「今のは、ほんの御挨拶よ!今度は息の根を止めてあげるから!早く昭吾を解放するのよ!それっ!」


ドカーン!ドカーン!ドカーン!


金本

「鈴木会長!どうして、私達の周りってこんな危険な女性ばっかり なんですかねえ!」


鈴木

「ああ……運命ってヤツだろ。そういやあ、俺の婆さんがなあ、散々男に騙されたから、来世では、男達を痛め付けてやるって言ってたな。それかもな。」


金本

「女の怨みってヤツですね、それは相当ですよ、あの『番町皿屋敷』の『お菊さん』みたいに、今でも化けて出るという………。」


鈴木

「なるほど………供養しねえとな。」


アッという間に雑居ビルは砲撃で穴だらけ、隠れる場所も無くなった。


黒川社長

「どうだ!まだヤるか!」


鈴木、金本

「降参です。荷物をまとめて故郷へ帰ろうかと。組に帰れば総長の怒りを買うし………。」


黒川

「そうか……相手が悪かったな。私じゃなきゃ勝ち目も有ったんだろうがな。

どうだ、ウチへ来ねえか?何処へ行っても追っ手が来て、結局カタギには成れねえんだろうし。ウチへ来れば、高山商会から守ってやるよ。いつかは決着も付けないといけねえしな。」


鈴木、金本

「俺達もそれしか生きる道は無いと思います。高山総長に付くよりも、黒川社長に付くほうが、勝ち目があると思います、俺達の生きる道も………。」


黒川社長

「それじゃあ、いよいよ高山商会との決戦だな。準備周到といくか。君らも力を貸してくれるか?」


鈴木、金本

「何という対応、物言いの違い………やはり、黒川社長に付いて正解でした。」


鈴木会長、金本社長は少し笑顔を取り戻したようだった。


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