第2話

反対派の吉川

「はい、どちら様ですか?」


社員の田代

「はい、地域の発展を願って……現在構想中のレジャーランド『タイムズスクエア・ハロンドポール』のプロデュースをしております、グレートブリテン・テクノブラッシュアップという会社の者です。ウチの社長と ご挨拶に伺いました。」


吉川

「はあ、社長さんかい? 私はまた、年増の芸者でも連れてご機嫌取りに来たのかと思いましたよ。笑」


黒川社長

「今回のレジャーランドのプロデュースをさせて戴いています、グレートブリテンの黒川と申します。

今回のプロジェクトは、地域の皆さんにとって景気回復と発展の良い足掛かりに成ると確信しています。 先ず用地取得に取り掛かれば、今は耕作放棄地となっている広大な土地が1坪数万~数十万で売れる土地活用のチャンスです。そして、建設が始まれば多くの雇用が生み出せる。建築業者や職人、お昼のお弁当を売りに行けば毎日何百食という安定的な販売が見込めるでしょう。

そしてレジャーランドが開園すれば、その従業員さんとして雇用も約束されるじゃ無いですか。どこに反対する理由が有りますか?」


吉川

「ああ、アンタがバカじゃ無いって事は理解したよ。アンタの言う事は、その通りだと納得させられる。地域の発展の為になるだろう。

問題は環境汚染さ、工事が始まれば山も崩すだろう。自然じゃ無くて人工的な景観になっちまう。観光客が来ればゴミを捨てる……地域が汚れる、それが俺はイヤなのさ!」


黒川

「なるほど……吉川さんが仰る事もよく分かります。その通りだと思います。今の自然の景観が損なわれるという事実も……。

ですが、どうでしょう? 今のままで子供達は、この地域に残ってくれるでしょうか? この自然を守り続けてくれるでしょうか?

そうじゃ無いんじゃ無いですか?

ココに雇用が無ければ残りたくても残れないんじゃ無いですか?」


吉川

「なるほど……だな。ウワサには聞いていたよ、やり手の女社長だってな。一々唸らせるよ、アンタの言う事がさ。

ヘッ、人は見掛けに依らねえな。そんな風体でレジャーランドのプロデューサーかよ。その革ジャン、ミニスカート、太股まで有る黒革のブーツ。反則じゃねえか? 何だか良い女に見えて来やがった。ハッハッハ。」

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