第4章 -1-

Arisaのことは、気持ちの整理がついたとして、そうなると逆にreViveへの興味も薄れていった。


暇な時間を潰すのに動画配信は欠かせないが、

相変わらずreVive関連の動画が溢れている。


悪質な悪戯動画の数も日に日に増えている。

動画タイトルが目に入るだけでどす黒い気持ちが湧き起こる。

片っ端から配信者を非表示に設定していた。


───ある日の学食スペース。


何を語り合うでもなく、なんとなく集まっている5人。


テレビのニュースを眺めていた宏がボソリとつぶやいた。

「また集団自殺だって。なんかさ、最近、多くね?」


「他に報道するネタがないだけなんじゃない?」

茜は興味が無さそうだ。


「こんな動画を見つけたでござるよ。」

慎太郎が見せてきたのは、reViveと自殺者との因果関係について語った動画だった。


reViveのサービスが開始されてから、自殺者が倍近くに急増しているらしい。


「でもよ、reViveの利用者ってどんくらいいるんだろうな?みんな自殺しちゃうってんなら、利用者居なくなっちまうじゃん。」


「「確かにー」」


「そもそもreViveにアクセスしていたから自殺するなんて、理由がわからんでござ・・ぁ」

慎太郎は言いかけた口に手を当てて俺の方を見ている。


「・・いやいやいやいや・・俺は死なないよ?死のうとも思わなかったってば(汗)」


「reViveの中に、心の拠り所を見つけていた人が、それを壊されちゃったら・・そっち行っちゃう人もいるかもしれないよ?」


「そうだなぁ・・。昔はアイドルや芸能人の後追い自殺って話もあったらしいし。

他にも、AIに職を奪われた線も若干あるかも・・。」


なんとなく『reViveと自殺者との因果関係』については『あり得る』という結論に至った。


何にしても、俺たちは以前ほどreViveにハマっていなかった。


ここ数日、宏は空蝉町に降りていないし、俺もアクセス頻度は確実に減っている。

慎太郎はNobuと何かプログラム開発を進めているらしい。

麻衣は空蝉町でYuiと一緒にコスプレにハマっているそうだ。

茜もたまに付き合わされるとか・・。


「そういえば、またバージョンアップだって?」


「リビジョンアップ。最近は数日に1回は入るでござるよ。例の『攻撃者対策』だろうけど、イタチごっこでござるなぁ・・・」


reViveの運営は空き缶爆弾を封じたが、すぐに新たな爆弾が投じられていた。

それを封じると次の爆弾が・・というイタチごっこが続いていた。


その事も、俺がアクセスしなくなる要因の1つだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る