三章 エピローグ 開戦
第1話 1000年後の君は
『と言うわけだ。巻き込んですまないな、器』
気がつけば俺は、黒く無限に続く広い空間に居た。
そこには俺と、そして今見た夢のようなものの主人公ルシファーが居る。
『お前が、親を殺されただとか、友達を奪われたとか、特に深い因縁もないのに。世界一の冒険者になりたいと言う曖昧な理由でダンジョンへの情熱を燃やし続けたのは、運命神の誘導があったからだ』
「……俺がギルドを追放されたのも、その誘導か?」
『ああそうだ。他の冒険者達が揃うまでお前の成長を止めなければならなかった』
「……支部長は、廻は悪魔王で、ギルドは悪魔の運営する組織。俺がドヤ顔で裏をかいたと思ってたけど、情報ごと仕組んでたんだな」
『そうだ』
ルシファーの顔は見えない。
だが、なんとなく察した。
そしてそれは当たっていた。
『本当に、申し訳ない』
やっと顔が見えたその時、ルシファーは苦虫を噛み殺したような顔で俺に土下座していた。
その顔は、決して謝罪することが屈辱的だからなどと言う理由でしているものでは無い。
『オレたちの戦争に巻き込んだこと、お前にした仕打ち、その全てを謝罪する』
全く、ふざけてる。
腹が立って仕方がない。
「あのな……俺がダンジョンに潜っていたのも、世界一の冒険者になりたいと思ってたのも、全部お前らに操られていたからだと思ってんのか? な訳ないだろ」
『っ!?』
「この情熱は、世界一になりたいって夢は、ロマンは、間違いなく俺の意思による俺だけの物だ!!」
俺はルシファーに手を差し伸べる。
「最高神ぶっ倒して世界救うとか最高すぎるだろ。組もうぜ、俺にもやらせてくれよ」
『組む……?』
「お前とルリだけじゃ勝てなかったんだろ、なら俺も協力する。そしたら俺とお前とルリの三人、どうだ? 勝てる気がしてきただろ?」
俺の発言はまるで根拠が無い。
しかしルシファーは笑う、曇った顔が少しだけ晴れた様に見えた。
『ああ、そうだな。お前の言う通りだ。これからよろしく頼む、器……いや、亮』
「よろしく、ルシファー」
ルシファーは俺の差し伸べた手を掴み、硬い握手を交わす。
その瞬間、段々と視界がぼやけ始める。
目が覚めれば現実に戻り、ダンジョンとの……天使との戦いが始めまる。
最高神との決戦は、すぐ目の前だ。
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