第7話 神魔大戦

「と言うわけでメガネ、この悪魔と一緒に最高神殺しに行ってこい、後で行くから」

「……は?」



 何故こうなったのか、遡る事数分前……。


「トドメを指す前に聞いておく、何故オレを狙った。その黒い翼を見るに、ライラック関連で攻めてきた訳じゃないだろう?」

「……試す為」

「試す?」

「我らが王、廻を殺せるに足る人物かどうかだ。単刀直入に言えば、お前に悪魔の王抹殺の依頼をしたい」

「はぁ? なんでオレが?」

「引き受けてくれるなら話す」

「んー……、メガネに最高神を殺す様に頼まれてるしなぁ」

「都合がいい、我が代わりに殺しておく」

「オレに瞬殺されたお前に出来るわけないだろ、てかそんな瀕死の重体で——」


 パチンッと指がなると黒服の体は一瞬で修復され、まるで何もなかったかの様に立ちが上がる。

 

「再生能力はお前だけのものでは無い。最高神の手の内は全て把握している、その上で殺せると確信しているのだ」

「何故?」

「最高神を恨む気持ちはそこのメガネの男の100倍ある。だから入念にリサーチして、いつでも殺せる様にして来た」

「オレ記憶喪失で最高神が何やらかしたとか知らないからさ、あんま共感してやれないけど。……どうしても殺したいんだな? お前は」

「どうしてもだ」

「……引き受ける。その代わり今すぐ理由を説明してくれ」


 メガネは絶対にNGを出すだろうが、そんなのはオレの知った事ではない。襲撃した罰だ。


「単純な話なのだが、最高神を殺す場合悪魔王も殺さなければ、神と悪魔の均衡が崩れてしまう。何より今は戦争中だ」

「戦争? なんの話だ」

「記憶喪失中だったか……、悪魔は人類の悪感情を糧に生きているのだが、最高神はその人類を滅ぼそうとしている。それを武力で止めようとして戦争が勃発した」

「で、最高神さえやればそれを止められると」

「その通りだ。細かく言えば悪魔王も殺して、だが」


 簡単に言えば、人類と悪魔の存続をかけた、神VS悪魔の戦争が起こっていて、最高神と悪魔王を殺せば解決する。と言うことだ。


「ちなみにだけど、なんで最高神は人類を滅ぼそうとしてんだ?」 

「天使10万を生贄にしてDIYするクソ野郎だぞ、理由などあるものか」

「それもそうだな、よし。任せた」


 そして現在に至る。


「と言う事だ。行ってこい」

「ルシファーさん、なんでメガネさんは泣いてるの?」

「ルリ……それはな、命の危機を感じているからだ。ルリの命は死んでも守るから安心しろよ」

「ルシファーさん、ありがとう!」

「そこぉ!? 私の今後の苦労を……」

「襲撃した罰だ。天誅だよ天誅」

「堕天したお前が言うのか」

「うるさい」


 これはある種の仲間意識というやつだろうか?

 いや、さっきまでドンぱちやってたのに仲間と言うのはおかしいか。


「さあ始めよう。サクッと最高神を抹殺して、戦争を止めよう作戦、開始!」

「お前は剣術ではなくネーミングセンスを磨いたほうがいい」


 特にツッコむ訳でもなく、オレ達は別れる。

 神と悪魔の戦争を止める為に。

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