聖女の料理スキル

 指定したアイテムを十種類まで登録。

 体力回復ポーション、魔力回復ポーション、状態異常回復ポーションなどなど消耗品を追加していく。

 オート露店を開始すると魔法スキルによる『看板』が立つ。

 販売リストが常に映像として表示されており、お客はそのリストから選んでアイテムを購入できるというわけだ。


 一覧に表示されているアイテムは“仮想”だから防犯にも優れている。まず盗まれることはない。けれど、このオート露店はダンジョンでは使用不可だし、展開できる場所もダンジョン前に限定されているのだ。常に使えれば万能なのだが。


「こんな露店の方法もあるんですね」

「魔力消費量も多いから一日に一回が限度だけどね」


 晩御飯を作りながら、アルメリアは興味深そうにオート露店を見ていた。

 その間にもアイテムは売れ続けている。



 ◆体力回復ポーション 30個 販売

  30,000リペアが自動入金されました。


 ◆体力回復ポーション 10個 販売

  10,000リペアが自動入金されました。


 ◆魔力回復ポーション 25個 販売

  50,000リペアが自動入金されました。


 ◆C級ウッドシールド 1個 販売

  30,000リペアが自動入金されました。


 ◆サンドリザードの尻尾 10個 販売

  5,000リペアが自動入金されました。



 そうそう、自動で過去ログ化されるのも便利なんだよな。ホント、これが常に使えればいいのになぁ~。

 そんなことを思いながらも、僕はアルメリアの料理を手伝った。けれど、その必要はなさそうだった。彼女の料理スキルはかなり高度のようで、あっと言う間に美味しそうな料理ができてしまった。


「はい、完成です」

「こ、これは……まるで貴族の食卓に並ぶような豪華な料理だね」

「タイラントドラゴンの肉を使ったガパオライスです」


 ああ、かなり遠方にある異国のソウルフードと聞いたことがある。

 とても良い匂いで彩り鮮やか。

 この匂いはバジルか。

 それに、アルメリアが言っていたタイラントドラゴンの肉。赤のパプリカ、ピーマン、タマネギ、目玉焼きなど様々な具材が散りばめられている。


「凄いなぁ! 食べていいかい!?」

「もちろんです。どうぞ、召し上がれ」


 僕はスプーンを手に取り、さっそくガパオライスを口にした。……美味ッ!

 口内に広がるドラゴンの肉汁。とてもジューシー! それに、パプリカやピーマンが合わさってとても良い塩梅になっている。

 全部が見事にマッチしていた。


 もう僕の手は止まらなかった。

 気づいたら夢中になって食べていた。


「うまー! アルメリアは料理が上手なんだね」

「い、いえ……そんな褒められると照れちゃいます」


 顔を真っ赤にして照れるアルメリアは、とても可愛かった。

 食事の間にもアイテムは売れ続け、ポーションは完売してしまった。さすがダンジョン前だと需要が高い。


 オート露店で接客対応しなくとも売れるし、本当に便利なスキルだ。


 こんな順調な人生が送れるようになるなんて、店長になれてよかったぁ。

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