盗賊ねぇ

「お願いだって!、あんたの力が必要なんだ。後衛が薄い俺たちにとっては、

オーガを倒せるあんたがいると助かるんだ!!」


「遠慮するわ。それじゃあ。」


「そこをなんとか。お願いだ!!」


「しつこいわね。諦めなさいよ。男しかいないあなたのパーティーにいくのは不安だしね。」


俺は、冒険者ギルドの外から眺めているだけだが、フードを被ったジャンヌが無茶苦茶誘われてる。めんどくさそう。男7人パーティーだ。無茶苦茶怪しい。

こいつらだけで、盗賊討伐できそうにないんだが。

こいつらが盗賊だろ。

ジャンヌがこちらを見てきたので、ハンドシグナルでOKと出しといた。


「分かったわ。受けるわよ。集合は明日の朝、冒険者ギルドでいいの?」


「本当か!!集合の明日の朝でいい!明日はよろしくな!!」


今日はこいつらの尾行で、一日が終わるな。ジンはめんどくさそうにそう思った。

尾行してこいつらはやっぱり、初心者狩りを繰り返してたから、暗殺しといた。


「こんな雑魚殺しても、大して金にも経験値にもならないから意味ないんだけどな。」


死体に毒を注入して、森に捨てといた。

装備は2つ隣の街で売っといた。


「あれよね。最近こういうの増えたわよね。オーガの耳を冒険者ギルドに

納品したあたりから。」


「こう言うバカはいくら殺しても無限に湧いてくるし、もう誘われた時点で

殺すってこといいのかもな。」


「かもしれないわね。めんどくさいわよね。今回のは特に酷かったわ。村から出てきてすぐって感じの装備だったしね。」


「そうだな。今度からジャンヌめんどくさかったら、思いっきり殴っていいよ。」


「本当に?そうするわ。」


俺たちより強そうな冒険者達はいるが、声はかけてこない。用心深い奴らなんだろう。だから生き残れてるのだが。


「今日の晩御飯はハンバーグにしますよ。」


「本当に!ありがとう!!」


ハンバーグ好きだな〜

もう少し強くなったら、旅をしよう。この世界中のうまいもんでも食べよう。

後、ダンジョンにでも行こう。そんなことを考えながら、布団で川の字になって寝た。


悪夢を見た。盗賊達にジャンヌが犯されながら、首を絞められて殺された夢。

スノウが俺に助けを求めるが、声を出せずにむごたらしく殺される夢。

そして、その現状を遅れてやってきた俺はただただ絶望してるだけ。


そんな夢を見た。感情が夢から浸透してくる、そんな夢を。


朝飛び起きて、二人の無事を確認する。


「良かった。夢か。でもこの世界はそう言う世界なんだよな。気を引き締めないと。奴隷を増やすのはやめよう。こいつらと俺の装備にお金を使おう。失う痛みに俺は耐えられそうにないし。」


二人は起きて、相当ひどい顔をしていたのだろう。ただただ、俺を慰めていた。


「二人とも、今日からは更に少し森の深い場所まで行こう。もちろん装備を整えてから。」


「別にいいけど。どうしたの急に?」


〜大丈夫ですかお兄様?〜


「大丈夫だ。少し悪夢を見ただけだ。この世界では弱い奴は意味もなく奪われ、失う。そんな夢だった。少しでも速く強くなって、奪われないようにしよう。」


「そう言うことね。それならいいわ。」


〜私も頑張ります〜


「そうだ。頑張ろう。そうじゃなきゃ奪われる。」



狩りの範囲を広げて、いつもより強い魔物を倒すようにした。

大型の蜘蛛みたいな魔物が一番手強かった。何考えてるかわからなかったし。

毒もあんまり効かなかったし。何より素早かった。次からは無視をしよう。

こいつは、売る部分がない。糸も出さないし、毒も出さない。フィジカルなタイプの蜘蛛だった。


「やっぱり、火力が足りないから、生命力が強い魔物は討伐に時間がかかる。

弓と相性が悪いな。」


「貫通力を上げればいいいのよ。弓矢に風魔法を使って。」


「あの蜘蛛からしたら、小さい穴だよ。すばしっこい蜘蛛の脳みそを貫通できたら話は別だけど。」


「しょうがないでしょ。その代わり安全圏から攻撃できるんだし。それが弓よ。」


「それもそうだな。何か弓でできることを考えとかないと。」


「初撃で仕留めればいいのよ。脳みそを貫くの。」


「難しいねそれは。格下相手なら通用するけど、格上相手だとどうも気づかれる。弓は格上相手には向いていないのかもしれない。」


「そうかもね。格上を倒すより、格下を倒す方が圧倒的に楽だわ。」


「分かりました。雨の日は格上を晴れの日は格下を殺しましょう。雨の日だったらこんなやつ、足を凍らせてすぐ殺せましたし。」


「そうね。それが一番効率いいわ。」


「それと今日から、弓と風魔法を組み合わせて貫通力を増やす訓練を増やしましょう。格上に短期決戦ができるように。」


「ジンがそうしたいなら、それでいいわ。スノウはどうするのよ。」


「スノウは氷の壁を出せるように頑張りましょう。氷の壁は攻撃も防げますし、相手も凍らせることもできますし。できれば、剣に氷属性を乗せることができるようにも訓練しましょうか。」


〜分かりましたお兄様〜


「よし、帰ろう。もう暗くなる。今日は熊鍋だ。森の深いところで取れた野菜も入れるからな。絶対美味いぞ。」


それから、晴れの日は訓練多めに格下を殺して経験値稼ぎ。雨の日は格上を倒して経験値稼ぎ。

これを繰り返して、一年が過ぎた。







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