第3話 三毛猫さくらは筋肉がお好き。
最近は市販の缶詰や『カリカリ』ばかりで、手をかけてあげられなかったからなぁ~。
今日は休みなので、久しぶりに愛猫のさくらに鶏の胸肉筋肉や牛のスジ肉筋肉を 味をつけずに煮込んでいる。
「ニャァ~ 」
さくらが、いまかいまかと行儀良く座って待っている姿を見て嬉しくなった。
この間の夜は疲れていたのか、変な夢を見てしまった。
本屋のサファイアが
その証拠に朝、起きたときに見た さくらの尻尾は ひとつだった。
まあ、猫又だろうが猫魈ねこしょうだろうが尻尾が二つに別れようが、俺の可愛い娘には違いない。
子供達が捨て猫を拾って里親を探していた時に私が勤める店に連れて来た時が、さくら との初めての出逢いだ。
来たばかりの頃は食が細くて、良く筋肉胸肉やスジ肉を煮込んで食べさせてあげたのだ。
おかげで、すっかり肉食……筋肉が好きに成ったようだ。
カツオやマグロの猫缶をあげても食べようとしなく成ったのは、ご愛嬌だな。
急に、さくらがテレビの前に駆けて行ってしまった。
テレビを見ると、さくらの好きな筋肉を売りにしているお笑い芸人が筋肉を見せつけていた。
食い入るように見る さくらは本当に筋肉が好きなようだ。
おっと、鍋を火にかけていたのを忘れるところだったな。
スジ肉筋肉も、もう少しで柔らかく成りそうだ。
さくらは、テレビに夢中に成っているようだから、そっとしておこう。
ガス代を見ていると、テレビのある部屋から声が聞こえた気がした。
─── おいしそう ───
振り返ると部屋には、さくら しか居ない。
テレビかな ? と思い火にかけている鍋を見ていた。
─── きんにく おいしそう ───
聞こえない、聞こえない、気のせい、気のせい。
猫が喋しゃべる訳無いもんな。
どうやら、まだ疲れが取れないようだから、後で昼寝でもするとしよう。
───ああ、いい匂いだなぁ~。
早く、お兄ちゃんのごはんが たべたいなぁ~。
テレビでも見て、気を紛らわさないと、お兄ちゃんに 食いしん坊だと思われてしまうよぉ~。
ボクだってレディなんだから恥ずかしいんだからね ───
♟♞♝♜♛♚
さくら と おっちゃんの間には、まだまだ広い溝があるお話でした。
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