第11話 クリスマスプレゼント

放課後のこと。

「明日のクリスマスイブ、カラオケ行く人~!」

そうクラスの井上くんが叫んだ。

「え、面白そう。行きたい!」

「私も参加させてー」

井上くんの一言で、クラスが盛り上がった。明日はクリスマスイブ、みんなテンションが高い。


私は…当然参加しない。歌うのは好きだけど、みんなの前で歌うなんて絶対無理だから。本当はみんなの歌を聞いてみたいけど、歌わないと失礼だよね。


学校からの帰り道、商店街に寄ってみた。この商店街には大きなクリスマスツリーがあって、毎年クリスマスになると大勢の人で賑わう。すると、

「お姉さんも、書きませんか?」

と声をかけられた。

どうやら、クリスマスツリーに飾る願い事の紙を書きませんか、ということみたい。

せっかくだから書いてみようかな。みんなはどんな願い事を書いているんだろう。

「テストで100点取れますように」

「ゲームソフトがほしい」

「彼氏といつまでも過ごしたいです」


いろんな願い事が書かれていた。どんな願い事でもよさそうだけど、何を書こう。

名前は書いてない人も多いから、私も名前は書かないで飾ろう。それなら…


「声が出せますように」


そう願い事に書いて、クリスマスツリーの少し上の方に飾った。叶わない願いだとは

思うけど、書くのは自由だし。


家に帰ると、家にも小さなクリスマスツリーが飾られていた。

「お姉ちゃん、今日はチキンだよ!」

小春は、夕ご飯のチキンが楽しみでしょうがないみたい。夕ご飯は家族4人でチキンを食べた。デザートにクリスマスケーキを食べて、小春はもう布団に向かった。

「だって、起きてたらサンタさんプレゼントくれないもん!!」

私は、小学3年生の時にサンタさんの正体を知ってしまった。でも、知らない方がいいことも世の中にはあるなと思った。


次の日の朝、クリスマス当日。

「わーい、サンタさんありがとう!」

小春は、サンタさん(お母さん)から貰ったBluetoothイヤホンで大喜びしていた。

イヤホンって、何だか今どきなプレゼントだな…


私は、昨日やってたドラマの録画を見たりして午前を過ごした。昼からは何をしようかな。そう思ったら

「ピンポーン」

家のインターホンが鳴った。誰かなと思って見たら田中さんだった。玄関に出ると、

「メリークリスマス!今からどっか行かない?」

と言われた。ちょうどすることが無くて困っていたから嬉しかった。私は頷いて出かけることにした。


「クリスマスって、本当にどこもカップルばっかりだよねー私もいつかはあんな風に誰かと過ごしてるのかな」

田中さんは、彼氏がほしいみたい。そういうのを気にする年頃なのかもしれないけど、私は特に興味無いな。


その後は、ショッピングセンターでクリスマスイベントをやっていたからそれを見に行ったりした。いろんなものが安くなっていた。いわいる在庫処分かもしれないけど。カフェにも入って、バナナパフェを注文した。届いたら思った3倍ぐらいの大きさのパフェでビックリ。1人では食べれないから、田中さんにも半分ぐらい食べてもらった。


今日は1日田中さんと過ごせて楽しかったな。そろそろ暗くなってきた。すると

「唯花ちゃん、駅ビルの屋上行かない?」

駅ビルの屋上は、誰でもエレベーターで上がれる場所で街が一望できる。でも意外と知られていないから穴場だと思う。


エレベーターで屋上に上がり、すっかり暗くなった街を眺めた。

「唯花ちゃん!今日はありがとう。クリスマスはもうすぐ終わりだけど、クリスマスカードだよ。見てみて!」

開けてみると、私の似顔絵が描かれていてもう1枚手紙も入っていた。


”唯花ちゃんへ。

いつも遊んでくれてありがとう。私はいつも唯花ちゃんの味方だよ。困ったときは何でも言ってね”


私はとても嬉しかった。似顔絵みたいに心のこもったプレゼントはなかなかもらう機会もないし、なにより手紙もとても嬉しかった。


「あ、ありがとう…」

私は、自然と声が出た。


田中さんは、すごくびっくりした表情だった。私は何か言われるか怖かった。


「唯花ちゃん、喋ってくれてすごくうれしいよ!これからもよろしくね」


田中さんは、本当にいい人だなと思った。これからも田中さんとは仲良くしていきたいな。

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