第10話 1人の日曜日

「唯花、明日はお母さん知り合いと食事に行ってくるね。」

「お父さんも、明日は仕事入ってしまったよ。せっかくの日曜なのに。」

「小春も明日は劇の練習がある!」

夕ご飯の食事中、そんな会話をした。どうやら明日は日曜なのにみんな予定があるようだ。日曜と言えば家族で買い物に行ったり、お出かけすることもあったけど、よく考えると1人きりの日曜日って珍しいかも。明日は家でのんびりしようかな。でも、たまには1人で出かけるのも悪くないかも。よし、明日は1人で出かけよう!


次の日、起きたら天気は快晴。だいぶ肌寒くなってきたけど、公園に行けば紅葉が綺麗そう。この時期になると、クリスマスツリーがあちらこちらに飾られてくる。ちょっと楽しみになってきた。最近気に入っている服を着て、外に出た。やっぱり寒かった。でもこの季節ってなんだかワクワクする。クリスマスがあったり、年末年始の特番や初詣とか、特別感が続いて好き。家の近くの公園を通りかかったら、子どもたちが数人走り回っていた。公園には掲示板があって、地域のイベントとかが書かれている。でもシニア向けイベントの宣伝が多くて、若い人はまず見ない。私も見てみたけど、役に立つ情報は1つも無かった。この掲示板、もっと若者への情報もくれればいいのに。と思ったけど、若い人はSNSで情報を得ているからかもしれない。とりあえず最寄りの駅まで行って、切符を買おうとした。うっかり「子ども」の切符を買ってしまいそうになった。つい半年ぐらい前まで小学生だったから子ども料金で電車に乗れたけど、中学生からは大人料金。中学生から大人扱いされるのはちょっと不思議だなと思った。しかも倍の値段になるなんて。

そんなことを思いながら、電車を待った。この駅は各駅停車しか止まらないから、不便。急行が止まる駅の人が羨ましい。まあこの駅は、駅前に商店街があるぐらいで特に何もない駅だからしょうがないか。あ、そういえば駅前においしそうなコロッケ屋さんが出来たんだっけ。買いたいけど、店員さんに声をかけないといけないから買えないなぁ。電車が来ますって放送があったから、椅子から立って並んだら、急行の通過だった。紛らわしい。私はよくこの放送に騙される。2回目の電車が来ますって放送で、今度こそ各駅停車が来た。平日はよく混んでいるけど、日曜日の電車は空いている。ちなみに私は、電車で座る時は必ず端の席に座る。真ん中の席だと両方に人が座るかもしれないから、何か居心地が悪い。だから端の席。


電車に揺らること20分で終点に着いた。この駅は大きい駅だから、いろんなものがある。デパートがあるから行ってみよう。デパートと百貨店って何か違うのかな。言い方の違いかな?とか思いつつ入ってみた。デパートはショッピングセンターと違ってちょっと大人な感じがする。私も少し大人になった気分でエスカレーターを登って行った。このデパートには、屋上に小さな遊具的なものがある。私も小さい頃はこのデパートに来ると必ず屋上の遊具で遊んだ。懐かしいからちょっと見に行ってみよう。そう思い屋上に行くと、遊具は無くなりテラスのようにテーブルと椅子が並べられていた。もう遊んだ時から10年近くったってるもん。当たり前か。何だか悲しいけど、この歳にして時代の流れを感じた。


デパートは一通り見たけど、正直面白いお店は無かった。大人の洋服とかカバンが多くて、私には早かったみたい。今度は駅前を歩いてみることにした。やはりいろんなお店があって面白い。最近はセルフレジとかが増えてきてるから、店員さんと話す機会が減ってきた。私にはとても嬉しい。そろそろ昼だから、ご飯でも食べようかな。そう思った時、レストランがあった。私はこのレストランに入ることにした。1人でレストランに入るのは初めてだけど、このレストランはタッチパネルで注文だから店員さんと話す機会は無いと思う。だから安心して食事が出来る。1人だったけど奥のテーブル席を案内してくれた。このお店はオムライスが有名らしいから、オムライスを頼もう。オムライスって、お母さんが作ると卵がぐちゃぐちゃになるから、こういうレストランのオムライスはすごく美味しく感じる。別にお母さんのオムライスの悪口言ってる訳じゃ無いけど。15分ぐらい待ってオムライスが到着した。デミグラスチーズたっぷりオムライス。結構なボリュームだったけど、美味しくてすぐ食べてしまった。伝票を持ってレジに行った。ここのオムライスは安くて980円だった。1000円出して20円お釣り貰おうと思ったけど、1万円札しか財布に入っていなかった。私は少し申し訳なさそうな表情で店員さんに1万円札を渡した。お母さんに「安い買い物を1万円札を出すのは失礼だよ」という謎の教えがあるからだ。でも、店員さんは嫌な顔せずお釣りをくれた。よかったよかった。次はどこに行ってみようかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る