第3話 徐々にわかる真相
「火事が起きる1時間ほど前の話なんですが、何か口論をしているような声が聞こえてきたんです。
この辺は飲み屋もあって夕方になるとかなり賑わうので、その中で喧嘩でもあったのかなと最初は思っていたんですけど、途中で隣の家から聞こえてくることに気付いたんです。」
「どういった内容で口論していたか覚えているか?」
「いえ、外の賑わいに紛れてしまって内容は全くわからなかったんです。隣の家から漏れ出て聞こえてきていただけなので声もこもっていましたし。
ただ・・・普段そんな大声を出すような人達ではなかったですし、夫婦喧嘩なんて聞いたこともないくらい仲睦まじい人達だったので心配でしたね。」
と、隣人の家族の母親が騎士に今日あったことを話していると、
「騎士様、俺もいいですか。俺はあの家の向かいで串焼きの屋台をやっているもんなんですが、あの家に昼過ぎに男が1人入って行くのを見たんです。
しかも、多分火事にみんなが気づくほどになる10分くらい前に家から出て行ったんですよ!
その時、かなり焦ったような雰囲気で走って行ったんでかなり印象に残ってるんです。
ぜってぇあいつがやったんですよ!」
「その男の特徴や服装なんかは覚えているか?」
「ばっちりですよ。
まず、黒い長ズボンに白い長袖のシャツを着てました。髪は全体的にボサボサで毛量は多かったですね。
顔はここからだと遠くてあんまり見えなかったんですけど、顎に大きいホクロがあったのを覚えてます。」
「貴重な情報感謝する。サム!この2人に情報料を渡しておけ。ガイル!部下を連れて王都の全ての門に今の情報を共有して、各門に応援を騎士団から出して絶対に王都外に出さないようにしろ。ラズ!今の情報を全員に共有して王都中の捜索を開始しろ。」
「「「はっ!!」」」
これにて、まだ完全に放火とは断定できないものの、ほぼ第三者による火事だと確信した、白銀の騎士もといサミールは聞き込みによる仮定の容疑者の捜索を開始させた。
サミールが聞き込みを終え、レオの家に向かうと騎士達が騒然としていた。
「おい、お前らどうした?何かあったか?」
「団長、今呼びに行こうとしていたんです。
実は・・・・
「うわ、こりゃひどいな。めちゃくちゃ火が回ってるぞ。団長じゃなけりゃあの速度で完全に消火なんて無理だったなこれは。」
「あぁ、やっぱすげーよ団長は。・・・しかし、あの子可哀想だな。あの場にいなかったってことは、親御さん火事で亡くなってる可能性が高いよなぁ。」
「出かけてる可能性に賭けたいけどなぁ。俺らも焼死体を見るのは気分いいもんじゃないしなぁ。」
「そうだよなぁ。でも、こんだけでかい火事になってたらめちゃくちゃ遠くにいない限り噂になったりして気付くもんだからなぁ。」
「だよなぁ。おっ、こっちがキッチンみたいだな。・・・・すぅーー。やっぱそうかぁ。見ろよ。」
「ふぅーー。何回見ても慣れねぇなぁ。とりあえず手だけ合わしとこうぜ。・・・おい、何してんだ?」
1人の騎士は、何故か不思議そうに焼死体へと近付いて首を傾げていた。
そしてしばらく焼死体を観察していたかと思うと、深刻な顔をして同僚の方へと振り返った。
「どうしたんだよ、なんかあったか?」
「焼けてるから確信はないけどよ、服装と体格からして多分下が男で上が女の焼死体だろ?
違和感があって見てたんだけど男の焼死体、頭と胴体が離れてんだよ。焼けたからって切り離れたりしねーよな?普通は。」
「・・・てことは何だってんだ?」
「殺された後に家に火が放たれたパターンじゃねーかな。つまりこれをやった犯人がいるってことになるぜ。」
「っ!!まじかよっ!急いでみんなに共有して探さねーと。」
「あぁ、俺はみんなに共有して団長呼んでくるからお前は連れてきた医者呼んできて、死因調べてもらっておいてくれ。」
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