第25話

 アレイスター王国に集まった六人の円卓の奇跡のメンバー。

 単騎であっても国を滅ぼすと言われる僕らが六人も集まったのだ……この場にいるアレイスター王国の兵士たちと戦うには過剰戦力とも言えるだろう。


「ねぇ、国王陛下。僕は、さ。物事を荒らげたくないんだよね。平穏が一番……僕はそう思うんだよ」

 

 暴力を否定するつもりはない。

 特権階級に胡坐をかき、腐敗を許し、金銭を集めて好き放題している僕らが好かれるはずがないのもわかっている……ただ、それでも僕は戦闘なんて面倒なことはしたくない。

 穏便にお金を回収出来れば十分なのだ。


「ここで大人しく剣を引いて……僕に剣を突きつけて来たお詫びとしてまた特許料を払ってくれれば僕はそれで良い。大人しく何もせずに帰るし、他の人たちにも大人しく帰ってもらおうと思っている」


「あらぁ?そんな生ぬるくて良いのぉ?」


「剣を突きつけられたのじゃ!剣でお返ししなくてどうするのじゃ!」


「あぁ……そうだ。これほどの大国から喧嘩を売られたのだ。買わなくては我らが弱腰だと思われる」


「宣戦布告を受けたのは僕だよ?」

 

 僕の言葉を受け、騒ぎ出した他の面々に向けて僕は一言を告げて黙らせる。

 宣戦布告を受けたものが相手に対してどう罰則を与えるかの権限を持つ……と、言うのがルールとして決まっているのだ。

 これに逆らう者はまぁ……いないだろう。今のところは。


「僕は剣でお返しするつもりはないよ……ねぇ、国王陛下。ここは手打ちにしない?争ってもアレイスター王国が損するだけだよ?」


「……ッ!……ッ!」

 

 アレイスター王国の国王が百面相を浮かべながら僕の言葉を吟味する。


「この国は宗教改革支持派を受け入れてもいるのだろう?ここで貴方を失えば、彼らを守護する勢力が居なくなり、彼らの立場が危うくなる。もう既に君たちは宗教勢力とも敵対しているんだ。これ以上他の勢力と敵対しないほうが得策だと思うよ。まずは……目の前の敵から、そうじゃないかい?」


「……」


 僕の言葉を受け、しばしの間沈黙を貫いていたアレイスター王国の国王は再び口を開く。


「我らは……この世界に変革を与えなければならないのだ。民たちが飢えている中で宗教勢力並びに呪文研究者たちが富を独占し、好き勝手している。我らがどれだけ格差を是正しようとしても……民たちを救おうとしても……必ずお前らが邪魔をする。民のため、我はここで引くわけには行かぬのだ」

 

 アレイスター王国の国王は力強い言葉で断言する。


「我らはこの世界を歪め、民を苦しめるこの世界の膿を相手に一歩も引くつもりはない」


「そうか……残念だよ」

 

 僕はアレイスター王国の国王の言葉を受け……瞳を瞑る。


「……じゃあ、そこの国王陛下以外。殺そうか」

 

 そして、一言。

 僕は小さな声で呟いた。

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