第11話
王族まで通うことになっている学園の学食の内容は豪華である。
「超超大金持ちコースを二つ」
リスタと共に学食へと訪れた僕はどう考えても適当に考えただろ、という名前の最高級のコースを一切の躊躇なく即答で頼む。
「ちょっ」
「あんちゃん。金貨5枚いるけど大丈夫なの?」
「問題ありませんよ」
僕の言葉を聞いて胡乱げな視線を向けてくる学食のおばちゃんに対して金貨10枚を取り出して見せる。
「あら、ごめんなさい。失言だったわ。超超大金持ちセット二つね。はい、これ食券少し離れたところで待っていて頂戴ね?」
「わかりました」
僕は学食のおばちゃんから食券を二つ貰ってその場から少し離れて食事の受け取り口の近くを陣取る。
「はわわ……私の一年の生活費が吹き飛びましたぁ」
僕の隣に立つリスタが体を震わせながら今、支払ったお金の大きさに戦々恐々する。
「僕の分給」
そんなリスタに対して僕は言葉を一つ。
金貨10枚など僕の分給くらいだ。
「え?」
僕の言葉を聞いたリスタがまるで信じられないようなものを見る目でこちらへと視線を送ってくる……ん?何かその視線に動揺の色が混ざっていたような……?
いや、気のせいか。
「そ、そんな稼いでいるんですかぁ……?」
「それだけ稼いでいるから僕たちは特権階級なんだよ。何も武力しかないわけじゃない」
最先端の呪文の技術の独占だけで国を超えた特権階級なんて得られない。
一人一人が信じられないほどの財を築き、様々な分野に対して強い影響力を持っているからこそ僕たち呪文研究者は特権階級でいられるのだ。
「な、なるほど……」
「超超大金持ちコース、二つお待ち!」
「はーい」
コースと銘打っているはいるが、コース料理のように小さな料理が出てくるわけではなく幾つもの食器に食材が盛りつけられている
「おぉー、すごく……豪華です」
「うん。確かに豪華だね……これは凄い」
僕はリスタの言葉に頷く。
コース料理ではないが、内容としてはかなり豪華な仕上がりとなっている。これならば王族であっても満足するだろう。
「あそこの席に座ろうか」
「は、はいです……」
学食の席は自由となっているが、慣例として生まれた家の格によって分けられている。
平民は学食の隅っこの方に追いやられている。
ちゃんとその慣例に従って僕とリスタは平民たち側の席に座る。
「おいおい……ただの平民が随分と豪勢なものを食べているじゃないか」
そんな僕たちはこれまた選民思想を拗らせた一団に絡まれる。
今度は僕のクラスメートたちの男子たちであった。
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