第10話 三枚のお札
ドン! ドン!
扉を乱暴に叩く音が、場の緊張感を一気に高めた。
「ユウタくんがここにいること、勘づいたんだ!」
「そう言えば、なんで小アルカナ達は俺のこと追いかけるの?」
ユウタは気づいていた。大アルカナ達が自分のことを匿っていることを。小アルカナ達がユウタのことを、快く思っていないことも。
「あいつらは人見知りなのさ。慣れれば良い隣人なんだ。けど、今はただでさえ
「時間を稼ぐ。俺が威嚇すれば、少しは足止めになるだろう。裏口からこっそり出るんだ」
「ユウタくん、これを」
裏口を開けようとしたユウタに、一枚の紙切れを手渡してきたのは、
「これ、なあに?」
「戦車のお
「お札?」
「ここぞという時に、投げてごらん。僕の力が味方するよ」
「投げるの?」
「そうよ。じゃあ、アタシからも」
別の一枚を渡してきたのは、
「これも投げればいいの?」
「まぁ、どこかに貼るっていうのでもいいけどね。お札だし」
「なんだか、『三枚のおふだ』みたいな展開だなぁ」
そんなユウタに、
「これで三枚だね。きっとユウタくんの役に立つよ」
「頑張って!」
「頼んだよ!」
二十人分の声援を背に、ユウタは隠れ家からとびだした。
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