昨日も明日もずっと一緒に

 どうしちまったんだ。何で連れて来ちまった。

 あの日。盗みに入った地下金庫の横で、こいつは空の菓子袋を前に呆然と座っていたんだ。

 家主の後妻に連れ子がいるとは聞いていたが……。

 ろくに服も着せず、やせ細った体はあざだらけ。

 気が付いたら抱きかかえて連れ帰っちまってた。

 親に捨てられた自分の姿とダブったのかも知れない。

 しかし誘拐は不味い。盗みとは警察の動きが違う。プロ失格だ。

 だが何日経っても報道すらされない。どういう事だ。


 新に買い揃えた服を渡し、顔を洗いに行かせ朝食を用意した。

 まだあまり話さないが、食事を貰うとおずおずと頭を下げる。

 だが半分ほど食べると、残して隠そうとするから胸が苦しくなる。


「大丈夫だ。食べたい時にいつだって食べられる。心配せずに全部食べな」


 少女はうなずくとポロポロと泣き始めた。

 頭を撫でてやると、不安そうに口を開く。


「良い子でいるから戻さないで。ごめんなさい。良い子になるから。ごめんなさい」


 そう言うと震えながらひざを抱えて小さくなってしまった。

 堪らず頭を抱え込む。


「大丈夫だ。ここにずっと居ていい。悪い子だろうが何だろうが心配するな」


 こうして俺と少女との試行錯誤の親子生活が始まった。



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(「試」を入れて500文字以内)


「続きが読みたい」と言って貰えるような文章を目指して描いてみました。

後日、中編か長編で描きたいと思います。

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