第4話 花見イベント1
『
第一回 花見イベント 桜日和 を開催します――』
今は正午に始まる花見イベントを前に配信準備をしている。
イベントでは花より団子で屋台も出るらしいが、こんな辺境?では味わう事ができないのが残念だ。
しかし、ここは何処らへんに位置しているのか。あの山の裏っ側にはじまりの街があるなんてことは流石にないだろう……ないよね。
イベント開始の正午まで後30分程になった。そろそろ配信開始だ。
「おはおはわ~ん、ぬいぐるみ系VTuber、猫乃わん太わん
今日は花見イベントを配信するよ!」
❤〚おはよー、今日は早いね〛
◯[おはわーん、はやすぎね?]
▽[初の運営イベント待ちきれないよ]
「早いよね、アンメモ時間の正午から花見イベント開始っていうからボクも早起きしたよ。
後30分で始まるから、みんなももう少しだけ待っててね」
◇〚もうすぐなのか、楽しみ〛
◎[え? 正午まではまだ3時間以上あるよ]
◆[わん太のシステムメニューの右上の時間、もうすぐ12時なの?]
ん、なんだが話、いや、時間がずれてる?
「メニューの時間は11時35分になってて、イベント開始まで後25分のカウントダウンも表示されてるわん」
▽[こっちは、8時35分で、後3時間25分だな]
◎[なんかのバグでも踏んだ?]
◆[もしかして、時差があるのか……]
「時差……太陽はほぼ真上にあるからそうかもしれない」
頭上の眩しい太陽を見上げた。
◯[確かに、昼っぽいね]
◆[わん太、いまどっちを向いてるかわかる?]
「ん、マップ見るとちょうど北向きだね……って北?」
太陽の位置は真上より、かすかに右、というか、東側で昇りきってはいない。
そして、北向きということは……
◆[わん太の現在位置は南半球で、時差で3時間分東寄りってこと]
◎[このゲーム、時差もだけど、やっぱり惑星型なのかー]
◯[うん、俺の居るとこでは太陽は南よりだな]
図らずもボクの現在位置が少し判明してしまった。
しかし、はじまりの街とは北半球と南半球で離れてるのか……
「この世界の広さはリアルと同じくらいとは言ってたけど、ホントに惑星ひとつ再現してそうだわん」
◯[実際、この臨場感っていうか現実感は異世界転生してるって言われたら信じそうだしな]
▽[謎なハイテク満載だよね、NPCのAIもプレイヤーと区別つかないし]
◆[それなのに、はじまりの街は全然発展してなくて機能してないとかちぐはぐさもある]
はじまりの街もそんな感じなのか、意外とこの辺境と不便さは変わらないかもしれない。
「お、そろそろ、イベント開始時間になるね、カウントダウンいくよー
5……、4……,3……,2……,1……,0……!」
目の前に広がる山並みがざわついているように感じる。
そして、右端の方から薄っすらとピンクに染まっていくのが見えた。
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