第3話 建国旗
「いちに、いちに、こんにちわ~ん、ぬいぐるみ系VTuber、猫乃わん太わん。
走りながらの挨拶で失礼するわん」
ボクは大漁旗や応援団の旗のような大きな旗を抱えながら、山を目指して走っていた。
▽[こんにちわ……何してるの]
❤〚わんわん〛
◯[それ、昨日の旗?]
「そう、建国宣言の後に出てきた旗で、とりあえず建国旗って呼んでる。
これ、キャンプ道具の上位互換みたいなので、設置したまわりが
△〚なるほど、便利〛
◎[で、なんでそんなに走ってるん?]
「建国する位置として、山が近い方がいいかなって。
流石に平原の真ん中だと木もないので柵すら作れないからね。
というわけで、今日は山までマラソン配信となります」
◇〚草ぁ〛
❤〚モンスターは大丈夫?〛
「それだけど、この建国旗は設置してなくてもある程度の
なお、通常は持ち歩くものでないらしく、持ち歩ける範囲には制限がありそうだ。
ただし、今のところ、山の麓ぐらいまでは移動できそうなのだ。
▽[なにその神アイテム、便利すぎ]
◯[旗持ってると
「いや、それが、その効果は旗持って走ってる場合のみ有効。
なので、絶賛フルマラソン並みに朝から走ってるんだわん」
ちなみに、走るのを止めると効果が切れて、次に使用できるまでのクールタイムが発生する。
「ところで、建国宣言はしたものの、国ってどうやって作ればいいんだろうね」
◆[その旗立てとけば国になるの?]
△〚中心になる、街とか都は必要だろ〛
▽[まずは、村を作るとこからでしょ]
「旗を立てると
領土になってどうなるかは旗を本設置しないとわからない」
リスナーと雑談しながら走ること数時間、平原も終わりに近づき、起伏が出てきた。
山も近くなったことだし、そろそろ、建国旗を設置するところを決めよう。
◇〚そこの丘辺りよくない?〛
❤〚眺めよさそう〛
確かに、少し小高い丘が見える。
「なかなか良さげだね、登ってみるよ」
丘の上に来てみると思ったよりも広い、そして、中央には石畳と石組みの塀の成れの果てのような砕けた大小の石が転がっていた。
▽[村か砦の跡っぽいけど完全に破棄されてるね]
◯[この世界に文明の跡がある方が驚きでは?]
◆[
謎ではあるが、拠点を作るにはなかなか良さげな場所だ。
「よーし、それでは、ここを建国の地とする!」
宣言して、建国旗を地面に突き刺した。
一瞬、旗がかすかに光り、地面が揺れた。
『「わん太王国」の位置が確定されました。以降、建国メニューが選択可能となります』
システムメッセージが聞こえた。流石にワールドアナウンスではないようで少しホッとする。
「無事に建国が確定したっぽいよ。
今日は走りっぱなしで疲れたので、ここまでログアウトするよ、みんな、おやすみわ~ん」
◎[建国おめー、おやすみー]
❤〚おやすみわ~ん〛
◯[おやすー]
―― 本日の配信は終了しました……
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