第24話 パニックにできたら、黒田総裁レベル
土日の本田さんの古本屋でのアルバイトは、身が入らなかった。
投資部には、大きな損害を出してしまうことになった。
そして、アヤノにひどい態度をとってしまった自分にショックを受けていた。
(わたし、あんな嫌な態度とっちゃう子だったんだ……)
今まで、他人にこんなふうに感情的になったことはなかった。
両親が殺された時でさえ、感情を押し殺した。
それなのに……
本田さんが心配そうに、
「具合悪かったら、早くあがっても、いいからね」
と言ってくれた。
でも、家にいても、花子との関係も気まずい。
イロハは、なんとかお茶を濁して、大量の書籍の整理、パソコンへのタイトル、価格の打ち込みを続けた。
6日の週が明けた。
ドル円は、上昇が止まらない。
もう、先輩達に、あわせる顔がなかった。
(どうしてこんな……。せっかく、居場所や、たよれる人を見つけたと思ったのに……。自分で、こわしちゃったな……)
放課後になった。
急いで帰ろうとする。
「待て、イロハよ」
花子に呼び止められる。
「ハナちゃん、放っておいて……」
一言だけ言って、帰ろうとするが、花子に腕を掴まれた。
「そろそろ年貢の納め時じゃよ」
ふと花子を見る。
「さすがに、最近のイロハの態度は、目に余るぞ。みなに謝るべきじゃと思うが、どうかの?」
ゆっくりと花子が言う。
「でも……」
「いや、行くんじゃ!」
「ちょっ、ハナちゃん!」
花子は、見た目によらず、腕力が強い。
イロハは、引きずられるように、投資部まで無理やりに連れてこられた。
投資部では、アヤノとカリンが待っていた。
「イロハ……」
「イロハちゃん……」
二人は心配そうにイロハを見る。
「はは……」
イロハは、二人から目を逸らす。
「イロハ、大丈夫だった? 投資の失敗は誰にでもあるんだよ。損をしたら、感情的にもなるよ。そういうメンタルトレーニングも踏まえて、投資部で学んでいこうよ」
「そう、わたしもカリン先輩も、去年は色々失敗してきたんだから、一緒に頑張ろう」
二人は、笑顔でイロハに向き合う。
アヤノとカリン、そして花子の、自分を心配してくれる気持ちは、何よりもよく分かる。
でも……
「ハナちゃん、はじめに行ったよね。不幸な人には取り憑きやすいんだって……。よく分かったよ。わたし、不幸な体質なんだよ」
「イロハよ……」
「お父さんとお母さんが殺されただけじゃない。今回も、ドル円でこんなに損して、投資部に迷惑かけちゃったし。それだけじゃなくて、アヤノ先輩にあんなにひどい態度を取っちゃって。自分だけ不幸になるんならそれでいいけど、わたし、まわりの人まで不幸にしちゃう……」
「イロハちゃん、自分をそんなに、責めないで……」
「わたしといると、みんな不幸になっちゃう!」
そこへ、後ろの扉が開いた。
なんとタイミングの悪いことだろうか、顧問の
イロハは、顔面から血の気が引くのを感じた。
「おい、楠木、民事裁判の取り下げの件は、どうなった?」
大孫は、イロハの両親を殺した、国会議員の息子への民事裁判の取り下げをイロハに迫ってきている。
「それは……」
イロハは、目を逸らす。
「おまえ、いい加減にしてくれよな。これは、お前だけの問題じゃないんだぞ。この、上下じょうげ高校全体に関わる問題なんだ」
「…………」
何も言い返せない。
「学校の予算が減ったらどうなると思う? いろいろな部活動の備品が買えなくなる。それどころか、授業に使う教材だって、買えなくなるかもしれないんだぞ」
はあ、と大孫はため息をつく。
「部活の成績が落ちると、大学への推薦もなくなる。それどころか、プロになりそうな人もいるんだぞ。授業の教材の質が下がれば、学力だって落ちる。いい大学にいける人が少なくなるんだぞ。お前ひとりのわがままで、生徒の人生を変えてしまうんだぞ」
「うっ……」
大孫の、生徒の人生を変えてしまう、という言葉が、イロハに重くのしかかる。
イロハの心臓が、大きく脈打つ。そして、全身から、血の気が引く。
(わたしのせいで、人の人生を、変えちゃう……)
自分の、突然変えられてしまった人生のことを思う。
(わたしのせいで、みんなが不幸になる……)
「おい楠木、なんとか、返事をしろ……うわっ!」
イロハは、その場に吐き出してしまっていた。
「き、きたねぇ!」
大孫は後ろに後ずさった。
と、そこへ、
どす!
鈍い音がした。
どうっ、と大孫が後ろに倒れる。
「あ、アヤノ……」
カリンが呆然とアヤノの名前を呼ぶ。
大孫の右の頬が、つぶれているように見えた。
「み、見事な、左ストレートじゃ……」
アヤノは、ボクシング選手のように、左腕を前に突き出していた。
大孫は、気を失っている。
「こ、これは……ちょっと、やばいんじゃない……」
しかしアヤノは、ふんっ、と大孫など意にかえさず、イロハに向きあった。
「イロハちゃん、大丈夫?」
「は、はい……」
「ハナちゃん、トイレからトイレットペーパー持ってきてくれる? バケツに水も汲んできて!」
「お、おう!」
「それと、ちょっと大事にしちゃいましょうか!」
「アヤノ、大事って?」
「カリン先輩、119番です」
「え、救急車?」
「人が意識失ってるんですもん。大事になるのは、学校が一番嫌うことですよね!」
カリンが119番して、救急車を呼ぶ。
その愛大に、花子がトイレットペーパーと、バケツに水を汲んできてくれたので、アヤノが、イロハの戻してしまった吐しゃ物をふき取ろうとする。
「アヤノ先輩、き、きたないですよ」
イロハは慌てた。
でも、アヤノは首を横に振って、
「イロハちゃんは具合が悪いんだから、そこに座っていてね」
アヤノに言われると、一気に涙があふれだした。
次第に、通りかかった生徒が足をとめ、いつしか投資部の周りは人だかりになってしまった。
そのうち、先生たちがかけつけてきた。
「大孫先生!!」
先生たちがあたふたしている。
「これはいったい、どういうことなんだ!……」
先生たちが投資部を問い詰めようとした矢先、救急車の大きな音が学校の前にやってきた。
救急隊が一気に投資部の前までやってくる。
こうなると、投資部を問い詰めようとした先生達も、救急隊の対応や、大孫に付き添って救急車に乗り込まないといけないことになる、投資部への問い詰めをしている場合ではなくなってしまった。
大孫が運ばれていった投資部は、静かになった。
「このままここにいたら、わたしたちが不利になっちゃうかもしれないから、とりあえず、今日は帰宅しましょう。逃げるが勝ちですからね!」
アヤノが仕切って、みんなに帰宅を促した。
みんなは、カリンと花子はあっけにとられて帰り支度をはじめる。
「あの、アヤノ先輩……」
イロハは、アヤノになんと言っていいのか分からなかった。
「ううん、大丈夫だからね」
アヤノは笑顔を向けてくれている。
ドル円のことも心配だったが、いまは、頭がくらくらする。
イロハは、花子に介抱してもらいながら帰った。
今日のことは、劇的過ぎて、帰り道からの記憶はあまり残っていない……
7日、前日の黒田日銀総裁の「家計は値上げを許容している」とする発言が、日本は円安を肯定しているととらえ、全面的に円が売られる展開となった。
ドル円は上昇を続ける。
「イロハよ、学校にいくぞ」
「うん……。あの、ハナちゃん」
イロハは花子に向き合う。
「みんな、わたしのこと、嫌いになっちゃったかな?」
「うーむ、どうじゃろうなぁ……それに」
「うん……」
「わしも、今回のイロハの態度には、多少うんざりするところはあるのじゃが」
「うう……」
たしかに、イロハは、花子にも嫌な態度を取ってきた。
「ハナちゃん、ごめんなさい……」
イロハは頭を下げた。
「うむ。まあ、よいじゃろう。だがイロハよ、投資は、頭に血が上ったら負けじゃよ。感情的になると、それこそ不幸になるからの」
「うん、よく分かった……。あの、ハナちゃん」
「うむ」
「わたし、今日、アヤノ先輩とカリン先輩に謝ろうと思う。許してもらえないかもしれないけれど。そして、ドル円は、損切しましょうって、提案もしてもようと思う」
「うむ!」
花子は、ニコリとしてうなずいた。
学校に着くと、すでにクラスは、昨日の大孫の話題でもちきりだった。
「なんでも、2年生の橘アヤノって人が、殴ったそうだよ」
「橘先輩、知ってる、あの細見の人でしょ?」
「うんうん、きれいな人だよね」
「えー、みんな知ってるんだ。でも、わたしも、けっこう美人な人だから、体育の授業グラウンドでやっているとき、目で追っかけちゃうんだよね」
「わかるー、美人というか、かわいい系って感じだよね。でも、橘先輩がどうして、殴ったの?」
「それそれ、大孫先生に迫られたって話」
「うそー、信じられない!」
「そこを、橘先輩が、可憐に左ストレート!」
「すごいすごい!」
「わたし、中学同じだけど、ソフトボールサウスポーでエースだったんだよ。あのときから、人気高かった人なんだよー」
「キャー、なんか、すてきな人!」
イロハは、尾ひれがついて、話が広がっていることに苦笑いした。
(だけど、悪い話になっていなくて、よかった)
ほっとした。それと、
(アヤノ先輩、こんなに人気高かったんだ)
イロハは、アヤノに隠れファンがいたことに驚いた。
授業時間が進むにつれて、アヤノの動向のヘッドニュースが入ってくる。
こういう話は、伝わるのが早い。
「橘先輩、校長室に呼ばれたんだって。まだ話が続いているみたい」
「きっと、大孫にどんな風に迫られたかって話だよ」
「イロハ、同じ部活なんでしょ? 何か知らない?」
当然、投資部で同じイロハにも質問が向けられる。
「なんか、話によると、ゲロが撒き散らかされてたらしいけど」
「うう、えーと」
「もしかして、それ、橘先輩に殴られた大孫が吐いたやつなの?」
「うーんと」
「そうなのね! ほんと、あんなでかい図体してるのに、なさけない教師!」
いつの間にか、イロハが吐いてしまった話も、アヤノに殴られた大孫が吐いた、という話になって伝わってしまっている。
上下高校の民意は、期せずして、アヤノ有利、大孫不利の展開に傾いていた。
そんな中、またもニュースが飛び込んできた。
「橘先輩、謹慎処分だって」
「うそっ、なんで?」
「よく分からないけど、教師を病院送りにしたからってことらしいよ」
「ひどくない? 大孫が悪いんでしょ?」
「それが、大孫は、一方的に殴られたって主張してるらしいのよ」
「何それ、ウザ!」
アヤノが謹慎になったことは、事実のようだ。
放課後、部室に行くと、カリンが一人で待っていた。
「アヤノが、無期限の停学処分になっちゃった……」
カリンが、はあ、とため息をつく。
「あの、わたし……」
イロハは、申し訳ない気持ちでいっぱいだが、どう言っていいか分からない。
「本当に、すみませんでした!」
イロハは、カリンに頭を下げた。
「あ、あの、イロハ!?」
カリンは、驚いて立ち上がった。
「全部、わたしのせいです。ドル円のことで投資部の雰囲気を悪くしちゃったのも。民事裁判を取り下げないからアヤノ先輩がこんなことになっちゃったのも!」
体が、冷たくなってきた。
そうしたら、
「え?」
カリンが、イロハを抱きかかえてくれた。
「まだまだ、経験が足りないってことだよ」
「カリン、先輩?」
「投資で負けたら、ついカッとなっちゃうもんなんだよ。去年は、それでわたしとアヤノも、喧嘩したこともあったんだもん」
「カリン先輩と、アヤノ先輩が、ですか?」
「うん。それに、民事裁判は、国民の権利なんだよ。それを止める方が、おかしいよ」
「でも、上下高校の人たちの人生が……」
「部活で活躍できるかできないか、授業の成績が上がるか下がるかなんて、少しはお金の力もあるかもしれないけど、結局は自分次第だよ。イロハがどうしたからって、関係ない話だよ」
「あの、カリン先輩……」
「まだ、イロハは経験不足なんだよ。経験不足、知識不足は、人に付け込まれる。だから、投資部のみんなで、経験を積んでいこうよ」
「あの、わたし、まだ、投資部にいて、いいんですか?」
「もちろん。これからも、一緒にやっていこう」
イロハは、涙が出てきたのが分かった。
(わたし、涙もろくなっちゃった)
今日は、しばらく、カリンに抱きしめてもらった。
「投資のことは、しばらく忘れよう。休むも投資。これ、重要だよ」
8日になった。
ドル円は132円を超えている。
「なんか、投資している場合じゃなくなっちゃったね」
イロハは、花子に言う。
「イロハよ。みんながデモトレードしているわけじゃないんじゃぞ」
花子は、はあ、とため息をした。
「わしも、リセッションを期待して、ドル円をショートしておったのじゃ」
「それって、リアルのお金?」
「もちのろんじゃ。おかげで爆損じゃよ」
「ううっ、ごめんね」
「いや、投資部はともかく、こっちのは自己責任じゃからの。それにしても……円が紙くずじゃの」
今日も一日、クラスはアヤノの話でもちきりだった。
いや、むしろ昨日よりも話が大きくなってきていた。
「イロハちゃん、橘先輩、どうなっちゃうの?」
「部活で、何か話聞いてないの?」
イロハは質問攻めにあうが、分からない、というしかない。
実際、イロハも、アヤノの謹慎処分が、いつまで続くのかもわからない。
花子も、同じように、クラスメイトから質問攻めにあっている。
それにしても、おかしなもので、アヤノの人気は高まっていく。
投資部に行くと、カリンのほかに、剣道部のカエデとマキも来ていた。
何やら、アヤノのことについて話しているようだ。
「あの、何の話ですか?」
「いや、今回のことで、アヤノの謹慎はやりすぎだって、生徒会として声を上げようと思うのよ」
カエデが言った。
「わたしも、これでも生徒会副会長なんだから、こういう時は、動かないとね。でも……」
「でも?」
「今、カリンに話を聞いていたのだけれど、大孫先生も悪いけれど、それに対して暴力を振るったアヤノちゃんも、立場としては不利よね」
たしかに、大孫はそもそもイロハを侮辱したのだ。
暴力に訴える前に、やりようはあっただろう。
みんな、悩んでしまう。
何か、いい方法はないだろうか。
そんな中、イロハは、一つの糸口を見つけた。
「でも、カリン先輩、昨日言いましたよね?」
みんなは、イロハを見つめる。
「民事裁判を起こすのは、国民の権利なんだって。それを、教員という権力を盾にして、やめさせようとしたのは大孫先生ですよね」
「うーん、そうなんだけどね。だからと言って暴力はさぁ」
「わたし、精神的な苦痛を味わいました。吐くまでしちゃったんですよ!」
カエデとマキは、驚いた。
「あれ、大孫が吐いたんじゃなかったのね」
「えーと、わたし、なんです……」
「そりゃ、大孫のやろう、本当にひどいな!」
マキが憤慨する。
「たしかに、生徒をそこまで追い詰めるのは、目に余るわ。でも、何かその時の状況をきちんと伝える証拠があればねぇ」
みんなは、うーんと、腕を組む。
「!!」
イロハは、思い出した。
前に大孫がイロハにひどいことを言った時、アヤノはICレコーダーで音声を記録していた。今回は、どうだろうか。
そのことをみんなに言うと、
「イロハ、それだよ!」
カリンがすぐにアヤノに電話をする。
アヤノはすぐに出た。
しばらくカリンが話していたが、
「イロハに代わって、だって」
スマホをわたされた。
「あの、アヤノ、先輩?」
「イロハちゃん。その後、体調はだいじょうぶ?」
「は、はい。それより、アヤノ先輩は、謹慎って……」
「わたしは、だいじょうぶ。家で勉強もしているし、株や為替のチャートも見ているよ」
イロハは、たくましいアヤノの返事に、ほっとした。
「それでね、イロハちゃん」
スマホの向こうで、アヤノが切り出す。
「今、カリン先輩から聞かれたとおり、今回のことはICレコーダーに録音していたんだ。でも……」
イロハはごくりとつばを飲む。
「たしかに、最初は、これさえあれば、大孫先生や、学校を、むしろ不利な状況に持っていくことができるんじゃないかなって、思ってたんだ。それで、強気で救急車まで呼んだわけなんだけれど……」
「あの、アヤノ、先輩?」
イロハは、アヤノが何を言いたいのか、いまいち分からなかった。
「えーと、記録されちゃっているの。イロハちゃんの方まで」
「わたしの……あっ!!」
「うん、吐いている声まで」
「…………」
たしかに、吐いている声など、人に聞かれたくはない。
「これ、外には出せないよね……」
アヤノがスマホの向こうで言う。
でも、アヤノはイロハが大孫に悪く言われている時に、相手を殴ってまでも、助けてくれた。
それに、あんなに嫌な態度をとってしまっても、イロハに優しい言葉をかけてくれた。
(恥ずかしい声を、人に聞かれるくらい、なんでもない!)
「あの、アヤノ先輩!」
「うん?」
「先週のわたしの態度、とっても悪かったと思います。それでも、アヤノ先輩、わたしのこと、ずっとかばってくれました。わたしの恥ずかしい気持ちくらい、なんてことはありません。ICレコーダーを公開して、ぎゃふんと言わせてやりましょう!」
「本当に、いいの?」
「はい、それに、いま、アヤノ先輩には追い風が吹いています!」
「追い風?」
「はい! いま、上下高校には、アヤノ先輩のファンでいっぱいなんです!」
「ええっ!」
スマホの向こう側から、アヤノの叫び声が聞こえてきた。
その大きな声は、みんなにも聞こえたらしく、みんなは顔を見合わせて、アハハと笑った。
9日、生徒会がアヤノの家を訪問する、という話題が学校中を駆け巡っていた。
「さっそく、カエデ先輩が動いてくれたんだ」
イロハは、カエデの行動力にあらためて感心した。
(でも、勝負はこれからだよね)
しかし、雲行きが怪しくなる。
「学校側としては、大孫が一方的に殴られたって主張を採用しているみたい」
「退学処分にするって話まで、あるみたい……」
イロハは驚いた。
「まさか、退学って……」
ただ、そんな不安の中、
「ちょっと、イロハ! 花子! 三年生の北畠生徒会副会長がきてるよ!!」
廊下を見ると、カエデが手を振っている。
「カエデ先輩? どうしたんですか?」
イロハと花子は急いで廊下まで行く。
カエデが、不安そうな顔でイロハに言う。
「今日、生徒会のメンバーで、アヤノちゃんの家に行って、アヤノちゃんからお話を聞くのだけれど……」
「はい……」
「そのうえで、明日、生徒会と、アヤノちゃんを含めた投資部、そして、明日には退院してくる大孫先生と、校長先生、教頭先生で、話し合いをする、ってことになってね」
「投資部も、ですか」
「うん。ここで、投資部からも、証言してもらうことになるわ。イロハちゃんの恥ずかしい声が入っていて、辛いと思うけど、協力してもらえるかしら?」
当然、イロハはそのつもりだ。
「もちろんです!」
「うん。ありがとう」
カエデは、忙しそうに、すぐに戻っていった。
(なんだか、緊張するな。でも、ここで頑張らないと、アヤノ先輩を、救えない!)
放課後の投資部、今日は、カリンと花子だけだ。
「イロハ、明日、つらいだろうけど……」
カリンが、心配そうに話しかける。
「いいえ、こうなってしまったのも、わたしのせいってところがあるので……」
「イロハのせいじゃないよ」
「いえ、わたし、最悪です。ドル円で負けちゃいましたし。その怒りをみんなにぶつけちゃって……」
パソコンの画面には、莫大な含み損の額が表示されている。
ふう、とカリンは息を吐いた。
「わたしも、部長になったのに、イロハのこと、なにもサポートしてあげられなかった。本当に、ごめんね」
カリンは、イロハに頭を下げた。
「か、カリン先輩、やめてください。先輩が謝ること、ないんです」
「ううん、損しても、気にしないでって、イロハにきちんと言っておけばよかった。それに、大孫が投資部にくるのを、もっとちゃんと阻止できればよかったのに……」
カリンは、本当に公開しているようだ。
「これが、経験不足って、やつなんでしょうね」
ポツリと言う。
「そうだね」
カリンが、苦笑いを浮かべる。
「経験不足だけれど、明日、頑張ろう。アヤノを救える最初で最後のチャンスなんだから」
「そうですね。頑張りましょう」
なんとか、なりそうな気がする。
「うむ、青春じゃの」
花子が言うと、みんなに笑顔が浮かんだ。
運命の10日がやってきた。
イロハは、放課後までドキドキだった。
生徒会と投資部が学校と話をすることは、生徒たちに伝わっていたようで、
「イロハ、頑張って!」
「アヤノ先輩のこと、救ってあげて!」
と話しかけてくる。
「うん頑張る」
とは言ったものの、緊張が止まらない。
それに、イロハの恥ずかしい声が、さらされることにもなるのだ。
「みんなに、嫌われたら、いやだな……。ううん、でも、自分で蒔いた種だ」
花子はというと、授業の合間ごとに、どこかに消えてしまっている。
(ハナちゃんも、緊張しているのかな?)
あっという間に、放課後がやってきた。
一度投資部に行ってから、生徒会室に向かう。
「失礼します」
生徒会室は、広いが、壁一面にステンレス製の本棚が組まれ、ファイルが収納されている。
予算書や、学校行事の関係資料などが、ぎっしりと並んでいるのは、圧巻だ。
「カリン先輩、イロハちゃん」
アヤノがいる。
「アヤノ先輩!」
イロハは、カリンとともに、近づく。
「あの、アヤノ先輩、わたし、本当にごめんなさい」
「ううん、イロハちゃん、ICレコーダーの音、使わせてくれたありがとう。恥ずかしい思いさせちゃうけど、ごめんね」
「いいえ、いいんです。そんなことよりも、アヤノ先輩が、退学になんてなったら……」
今までの想いが、込み上げてくる。
しかし、オホンという咳払いで、我に戻った。
「お取込み中申し訳ないんだけど、時間があまりないから、いいかな」
話かけてきたスラっとした、モデルのような人は生徒会長だ。学校の集会などで話しているのを見たことがあったが、話すのは始めてだ。
「は、はい」
イロハはあわてて返事をした。
今まで気が付かなかったが、隣にカエデと、もう一人、会ったことのない人もいる。
「きみが、楠木さんだね。今日はよろしく。今日の話し合いには、わたしと北畠副会長、そして2年生の、書記の足利さんが出席するから、よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
生徒会長は、そこで一息ついた。
「ICレコーダー、聞かせてもらったよ」
「ううっ」
やはり、恥ずかしい。
「恥ずかしいとは思うが、橘さんを救うためのことだ。それに、橘さんからは、今回の録音文と、過去の録音したデータももらっている。これだけの状況証拠があれば、橘さんの行動にもうなずける。今日は、橘さんのためにも、こらえてくれるかな」
「もちろんです!」
イロハの腹は決まっている。
生徒会長はニコリと笑い、
「それじゃあ、そろそろ時間だ」
と言って、立ち上がった。
校長室まで近づくと、廊下には、生徒たちが群がっていた。
「頑張ってください!」
「橘先輩、応援してます!」
アヤノに声をかけてくる生徒がたくさんいる。
「うう、わたしが休んでいる間、どういうことになっていたの……」
アヤノは、顔を赤くしている。
「アヤノ、人気者になっちゃったね」
カリンがアヤノを茶化す。
「ちょっと、カリン先輩!」
いつもの二人のやりとりに戻っている。それを見ると、なんだか安心する。
いよいよ校長室の前にきた。
「みんな、準備はいいかな?」
生徒会長が言うと、みんなはうなずいた。
校長室には、入学式の挨拶で見た校長先生と、こっちは見たことの無い教頭先生、そしてアヤノの左ストレートをお見舞いされた右頬にガーゼを貼り付けている大孫先生がいた。
「まあ、すわりたまえ」
校長先生は威厳たっぷりに椅子にみなをすわらせた。
みんなが座ったのを確認すると、
「さて、今回の橘さんの暴力行為についてだが……」
校長先生は、大孫先生が、一方的にアヤノに殴られたと主張していることを話した。
でも、その間、大孫は一言も話さない。
普段の大孫なら、何か言ってきそうなものだが……
(なんだか、本当の裁判みたい……)
弁護士が、当事者の代理として話しているようだ、とイロハは感じた。
大孫側の主張を言い終わると、校長先生は、
「こうしたことから、本学では、橘さんからの大孫先生への謝罪を要求します。これは、生徒と教師の立場を超えている。ただし、学校内の出来事であったことから、治療費は学校側が支払います。そして、橘さんに反省の意図がないようであれば、退学処分もやむを得ないと考えています」
(!!)
イロハは驚いた。
(これって!)
これは、アヤノに一方的に大孫に謝罪しろ、ということだ。
もし、アヤノが反論するようであれば、反省していないとみなして、退学させる、ということを意味している。
生徒会には、戦う前から、舞台から降りることを要求しているのだ。
(こんなのって、ないよ……)
チラとアヤノを見る。
しかし、まったく動じていないのが分かった。
「校長先生」
生徒会長が手を挙げる。
「橘さんの意見について、昨日生徒会がヒヤリングを行いました。その結果をお話してもよいでしょうか」
(すごい!)
イロハは、一瞬で、この生徒会長の言葉の意味が理解できた。
生徒会長は、今現在のアヤノの意見ではなく、昨日のアヤノの意見として、話を進めようとしているのだ。
この場合、仮に生徒会側が言いくるめられても、アヤノが、今日になって反省の意識を持ったとすれば、最悪退学処分は免れる。
(戦いって、こうやってするものなんだ……)
生徒会長は、大孫先生がイロハに対して侮辱的な発言をしたことについて、アヤノが激昂して大孫を殴ったことを話した。
確かに、暴力はいけないが、それ以前に教師という権力を盾に、生徒を侮辱することは許せない、という趣旨だった。
「大孫先生、そうなんですか?」
校長先生が大孫に言う。
「いや、多少はそういう発言をしてしまったとは思います。しかし、多少です」
(こっちが、有利になってきている!)
イロハは、大孫が、詳細なことを校長先生達に話していないことを察した。
(きっと、自分に不利なことは、きちんと伝えていない!)
こうした時、相手チームから、自分のチームの中で情報共有できていないことを指摘されるのは、何より形勢が不利になることでもある。
「まあ、しかし」
校長先生が口を開く。
「いずれにしても、大孫先生が、どんなことを言ったかという、証拠がないからねぇ」
校長先生の口調は、どこか勝ち誇ったかのようで、嫌味だ。
「証拠ならあります」
すかさず生徒会長が言う。
「これまでの、大孫先生の態度に対して違和感を持っていた投資部では、失礼ながら大孫先生との会話をICレコーダーに録音していたといいます」
「なっ!」
これには、さすがの校長先生も驚いた様子だ。
「ここで再生しましょうか」
ついにきた、とイロハは思った。
恥ずかしい声が、聞かれてします。でも、今は、アヤノのことが一番だ。
でも、
「いや、結構。それは、隠し撮りという行為で、感心しませんね」
校長先生は、静かに言う。
しかし、さっきの嫌味な声ではなく、丁寧な言葉になっている。
(動揺しているのかな?)
「そんな録音は何の意味も持ちませんが、まあ、大孫先生も生徒に対して、指導が行き過ぎたところがあったと思います。そうですよね、大孫先生」
「は、はい」
「橘さんも、暴力はいけないですよ。でも、今週、謹慎という形で、反省したんですよね」
「ええ」
「それでは、この一件は、これまでとしましょう。橘さんも、来週から登校してよろしい。そういうことで」
校長先生は、敏感にICレコーダーの音声が自分たちに不利になると思ったようだ。
そして、この場で再生されたら、少なくとも、自分も聞いてしまった事実を作ることになるので、後々面倒なことは避けたいと思ったようだ。
イロハは、短時間ではあったが、うまくいった、と思った。
でも、話は終わらなかった。
「ちょっと待ってください」
生徒会長が引き留める。
「まだ、何か?」
「はい、今回の件は、大孫先生が、楠木さんの民事裁判を取り下げさせたいと言ったことに端を発しています」
「うむ」
「これは、学校として、国民の権利を奪う行為というわけではありませんよね」
「もちろんだ。学校がそのようなこと、するわけない。きっと大孫先生は、楠木さんの学業に差し支えることを心配した老婆心から、勘違いされるような発言になってしまったのでしょう。そうですよね、大孫先生」
「え、いや、それは……」
「そうなんですよね!」
「はい、そうです……」
大孫先生が、校長先生からの命令で、イロハに民事裁判を取り下げさせようとしていたことは、大孫先生の態度からも分かる。
ただ、この場では、こういうしかないだろう。
生徒会長は、イロハをチラと見た。
これでよいか、と同意を求めている顔だ。
イロハは、小さくうなずいた。
「はい、その返事を聞けて安心しました。それでは、この件については、生徒会としては、これ以上話し合うことはありません」
「うむ。よろしい。では、この件はこれまでとします」
とりあえず、これが「なーなーでおわる」というやつなのだろうか。
あまり、根本的な白黒つける解決にはならなかったが、これが、利害関係のまとわりつく世界なのだろうか。
(もっと、知識をつけなくっちゃ)
イロハはそう思った。
「あの、ひとついいですか」
びくっと、みんなは声をした方を向いた。
ずっと一言もしゃべらなかった、2年生の生徒会書記だ。
「ああ、足利さんか、いいですよ、どうぞ」
イロハは、あれ? と思った。
明らかに、校長先生の態度が、これまでと違い、動揺している。
「わたし、投資部がかわいそうなんですよ~。このまま顧問が大孫先生だと~、みんな心がざわつくっていうか~?」
イロハは、驚いた。小柄な2年生の足利書記が、いわゆる「チャラい」話し方をしているのだ。
「大孫先生も、やりずらいと思うんですよ~。だから~、他の先生にかえてあげればいいんじゃないかな~って。もっと、新しく入ったばかりの、やさしそうな女の先生とか~?」
校長先生と教頭先生は顔を見合わせた。
「うん、それもそうだ。足利さんの言うとおりだ。前向きに検討するよ」
「あざ~す!」
そういって、足利書記は先頭で校長室を後にする。
みんなは、いそいでその後を追って校長室を出た。
校長室の前には、生徒が山なりになっていた。
「おーい、勝ったぞー!」
花子が、大声で言う。
「えっ? ハナちゃん?」
一体何があったのかと思うと、廊下の奥から、巻いた紙を持ったクラスメートが駆け出してきた。
「じゃーん!」
大きく「勝訴」と書かれた紙が広げられた。
「ちょ、なにこれ!」
アヤノがびっくりする。
「わしが書道部に頼んだんじゃよ」
花子は、ふん、とドヤる。
「ふーん、あんた、楽しいじゃん!」
足利書記は花子に笑顔を向ける。
それも束の間、
キャー! と、アヤノに生徒達が群がる。
「アヤノ先輩! おめでとうございます!」
「アヤノ先輩は、ぜったいに悪くないって、信じてました!」
アヤノは戸惑っている。
それを見て、生徒会長は、アッハッハ、と笑った。
「投資部ってのは、こんなに愉快なんだな」
カエデも、腹を抱えて笑っている。
カリンだけは、恥ずかしそうにしていた。
みんなは、生徒会室に戻ってきた。
アヤノは、どうっと椅子に座り込んだ。
「橘さん、お疲れ様」
生徒会長に声をかけられ、アヤノはすぐに背筋をただした。
「あの、今回のこと、本当にありがとうございました」
アヤノが頭を下げる。
「いや、生徒会としては、当然のことをしたまでだ。ただ、暴力はよくない」
「はい、反省してます」
アヤノは、素直に頭を下げた。
「ところで、橘さん。北畠副会長から聞いたんだけど、次の生徒会長選挙に出たいんだってね」
みんなは、アヤノと生徒会長に注目する。
「は、はい。でも、こんな事件があったので……」
「橘さんは、少し不利な事件があったら、やめちゃうの?」
生徒会長は穏やかな声だが、手厳しいことを言っていることが分かった。
「いえ、あの、わたし、やります。こんな先生達から、生徒を救う生徒会にしたいです」
「うん。でも、橘さんは、残念ながらコネがない」
「コネ……ですか」
「うん。今のままじゃ、先生達に甘くみられるし、ただでさえ、今回の件で恨みを買ってしまったからね。そこでだ」
生徒会長は、足利書記の方を見る。
「シホを副会長にするといい」
シホと呼ばれた書記は、
「え~、わたし、もう生徒会の活動はめんどくさいですよ~」
と言った。
「まあシホ、そう言うな。あんな先生達に、牛耳られるのは、嫌だろ」
「それはそうですけど~」
ふう、とシホは息を吐いた。
「橘さん、ふ~ん」
アヤノを見つめる。
「なんか~、わたしのタイプじゃないんですよね~。わたし、会長がドストレートのタイプでしたから~」
アヤノは、「ううっ」と言った。
「まあ~、会長の頼みなら~聞いてあげますけど~」
チラ、とシホはアヤノを見る。
イロハは、先ほどの校長室での、シホに対する先生達の違和感が気になった。
「あの、足利先輩のコネって……」
「ああ、足利はこのあたりに代々続く地主の家の娘なんだ。足利家は、この学校に昔から多額の寄付をしている。だから、学校も、シホには、逆らえないっていう、ちょっと複雑な関係なんだ」
シホは、悪びれることなく、フンっと、威張ったポーズをとる。
「わたしも、北畠副会長の話を聞いていると、橘さんは生徒会長に向いていると思う。それに、橘さんには求心力がある」
「求心力?」
イロハは、聞き慣れない言葉に戸惑った。
「うん。まさか、短時間、それも、本人のいない間に、こんなにファンを作っちゃうなんてね」
たしかに、アヤノには、熱狂的なファンがいた。
「今回の件も、むしろ橘さんにとっては、知名度と人気を上げる追い風になったと思うんだ。勝つためには、実力もそうだけれど、時に運も必要さ」
イロハは、そういうものなのだろうか、と思った。
「まあ、それも、最終的に生徒会選挙で当選したら、の話だけれどね」
投資部のみんなは、生徒会室での話を終えると、部室に帰ってきた。
「アヤノ、本当にお疲れ様」
「カリン先輩、ありがとうございます。なんだか、部室がなつかしいです」
「なんじゃ、やはり、4人はよいものじゃの」
「うん、ハナちゃん、ありがとう」
アヤノはニコニコしている。
「あの、アヤノ先輩……」
「イロハちゃん?」
「わたし、本当に、ごめんなさい。アヤノ先輩に、ひどいことたくさん言っちゃいました」
「ううん、何度も言うけど、気にしないで」
「わたし、ダメダメなんです。投資でも勝てないし……いた!」
突然、アヤノにデコピンを喰らった。
「アヤノ、先輩?」
「イロハちゃん。今回の投資は、この投資部で話し合って決めたことなの。だから、投資で負けたのは、イロハちゃんのせいじゃないんだよ」
アヤノは、真剣な顔だ。
「そういう考えは、おこがましいっていうんだよ」
イロハは、ドキッとした。
「だから、ドル円も、よく考えよう。みんなで!」
「ありがとう……ございます」
アヤノは、本当にたよれる先輩だ、とイロハは思った。
自分一人で悩むことはない、みんなで責任を取ってもいいんだ、と思った。
「あと、それと……」
「うん?」
「民事裁判のことも、生徒会長がああ言ってくれました。カリン先輩も、それぞれの人の努力次第って言ってくれました。でも、やっぱり、学校の生徒達を苦しめちゃうことになるんでしょうか……」
「イロハちゃん」
アヤノが言う。
「考えすぎだよ。それは、黒田総裁みたいな立場になってから悩むべきだよ」
「え? 黒田総裁?」
「そう。パニックにできたら、黒田総裁レベル。自分がそれほどの人だと思う?」
プププッ!
思わず、吹き出してしまう。
「いいえ、ぜんぜん、です。わたし、そんなレベルの人じゃありません」
投資部に笑い声が起こる。
「そうか、悩むのは、黒田総裁レベルになってからかぁ!」
そんなことは、おそらくこないだろうな、と思うと、気持ちが軽くなった。
「よーし、それじゃあ、今日はアヤノの勝訴祝いだ! ファミレス行こう!」
「えー、カリン先輩、インフレで値上げしてますよ~」
「本当に腹立つよね、うちのコーヒー店なんて、まだ頑張ってこらえてるけど、円安でお父さん、泡吹いてるよ」
みんなは、笑いに包まれていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます