第22話 はえる条件って何?

 次の人の分、とりあえず追加七人分をウルズさんに渡して、お家で待機中です。


「そうだ、材料足りない分をお願いしなきゃ」


 解毒草、アルラが持ってるみたいなんだけど、ライムみたいに体の中に貯めてるとかなのかな?

 アルラに聞くために部屋に行くとミラとアルラが楽しそうにおしゃべりしていた。


「おかえり、ハルカちゃん」

「ただいま。え、ミラ、アルラと喋れるの?」


 ん? と、ミラは小首を傾げる。


「あぁ、よくわかってないけど、手や体の動きでなんとなくね。ボクの言葉は届いてるみたいだから」

『そう、ミラ全然わかってナイ。でも、なんとなくデ話してル』


 あはははと二人で笑ってた。

 すごいな。言葉がわからなくても仲良く出来るって、ミラにはそういう才能があるのかな。


「あの、アルラ。あなたの花畑に咲いていた草って持ってる?」

『ん? 持ってナイ』


 一刀両断された。あと十人分どうしよう。私はガクリと膝をつく。


『花畑、取りに行かないノ? ワタシ、ここにイル。向こうのハナ、持ってこればイイ』


 説明しても大丈夫なのかな。花畑があんな状態になってしまってるって事。


「アルラちゃん、今すぐ欲しいんだけど何とか出来ないかな」


 ミラがお願いすると、アルラは、んーっと考えていた。


「アルラ、俺からもお願いする」


 カナタからもお願いされると顔を赤くしてアルラが焦っていた。


『ワカッタ、何とかする。ダケド、協力必要。いい?』

「ほんと!?」

「どうだって?」

「協力がいるけど、何とかしてくれるって!」

「本当。アルラちゃん、ありがとう」

「アルラありがとうな」


 良かった。希望が出てきた。あとは協力が何かなんだけど――。


『マズは水。それから栄養』

「カナタ、ミラいっぱいアルラを甘やかせておいて!! 水は私が汲んでくるから!」

「え、ちょっ!? ハルカ?」


 勢いよく飛び出し、近くの水汲み場に行く。

 ライムに大きめの容れ物をもらって水を汲む。


「戻ったよ!! 次は?」


 撫で撫でされる二人を横目に水をあげる。


『ハルカ、はやい。栄養違イ。コレはコレで堪能するケドも』

「え!?」

『今度の栄養ハ、うーん、ナンとイウか、必要な植物のエキスがつまった液体ヲ用意シテ』

「え、それって解毒薬って事?」

『飲めばソレに使われた草、カラダから生やす、デキる』

「ライム、ライムー!」

『解毒薬ラム?』


 一気に全部ウルズさんに渡さなくてよかった。私はライムから解毒薬を受け取るとアルラに渡した。


『え、予想してたのとチガウ。まア、ヤッテミル』


 ごくごくと一本飲み干すとアルラは気合をいれた。


『えーイ!!』


 期待の眼差しを向ける。その先に、解毒草は――――。生えてこなかった。

 え、解毒薬一個なくなっただけ? 一人助けられない人が増えちゃった?


『ハルカ、思い出して下さい。解毒草の花畑がどこにあったか』


 もふちゃんに言われて思い出す。確か丘の上。


「カナタ、アルラを【たかいたかい】してあげて!!」

「へ? た、たかいたかい?」

「たたかいじゃないよ! 高い高い、えっとこうやって持ち上げて上に高ーくしてあげるの」


 ライムを持ち上げて見本を見せる。下でソラが自分も自分もと待ち構えている。可愛いけど、あとでね!


「こうか?」


 壺付きでアルラはカナタに持ち上げられ、気持ち高い位置にいる。そう、解毒草は少し高い丘の上に生える。


「アルラ、どう?」

『え、え? えーいっ!!』


 ぽんぽんぽんっと次々覚えのある草がアルラから生えた。


「咲いたー!!」


 バターンとミラとカナタが倒れる。アルラはソラとライムがキャッチして助かっていた。あたりは桃に似た甘い香りが漂う。


『ミらー!? かなターー!?』

「あぁぁぁぁぁぁ!?」1


 私は二人の鼻をつまみ、アルラに草を引き抜くよう指示した。アルラもすぐに全部引き抜く。すぐにそれをライムに食べてもらった。

 次にする時はライムの中で鼻栓しながら、かな。

 頬を掻きながら私は考えていた。


 ◇◇◇


「よし、これで最後!!」


 カナタ達が倒れること十数回。

 解毒草の必要量がようやく集まった。


『はやく外に出タイ。ここ』

「なんか、すごい場所だね。あそこにあるのは薬草? それに――」

「俺、ここ苦手だ……」


 三人はそれぞれライムの中の感想を述べている。


「ありがとう、材料は揃ったからあとは私だけでライムのお手伝いするね」

「え、ボクは手伝わなくていいの?」


 見られると困るんだけど。


「俺も手伝うぞ」


 見られると困るんだって。


『ミラとカナタがイルなら、アルラもココいるー!!』


 だから、見られたら困るの!!


「ライム、三人をお外にお願いー!」


 三人が目の前から消えた。本当、不思議な感じ。


「さて、残りの分を作るぞー!!」


 前回のように用意して取りかかる。アルラが出してくれた解毒草が使えるかどうか。


「調合!!」


 解毒薬が無事出来上がる。問題は――。


『ハイ、ハルカ。問題はありません。まったく効能も変わらない物が出来ています』


 ないみたい。もふちゃんのお墨付きだ。

 一個アルラに渡したから十一個。今度は解毒草を少し多めにもらっておいたから足りなくなっても追加出来る。


「ウルズさんに渡さなきゃ」


 ライムにお願いして外に出る。

 外ではカナタとミラがまだかまだかと待ち構えていたみたい。だから、私は悪くない。

 いまカナタの上に乗ってるのは――。


「は、ハルカ。どいてくれ」


 私、悪くないもん!!

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