第2話 私はアイデア

「はじめまして!私アイデアです!」



それを聞き俺は


無言で扉を閉めた。



ヤバい…ヤバいヤツだ完全にコレ。ならまだ担当の方が良かった、警察か?警察呼ぶか?


-ドンドン-


「開けてくださーい!私アイデアですー!」


-ドンドン-


「大丈夫ですー!怪しいものではありませーん!アイデアですから!」



怪しすぎるわ!!

なにアイデアって?そういう団体?

うわニュース見ておけば良かった!絶対アイデアって団体の話ししてたわー


ハァー…警察に頼ろう


俺は携帯を取り出し110にダイヤルを押そうとした、するとすぐ後ろから


「け、警察はやめてください!あとで凄く怒られちゃうです!」


そんな声が、すぐ後ろから?

恐る恐る振り返ると


女が部屋に入っていた。



「う、う、うわぁー!!!」


なんだなんだなんだなんだ⁉︎

まさかゆうれ…


「安心してください!幽霊じゃないです!ピッキングです!」


「尚更怖いわ‼︎」


誇らしげハリガネを見せる女に俺は今日1番声を上げた。


「ピッキング?何を誇らしげに言ってるんだ立派な犯罪だぞそれは!」


「ちょっと落ち着いてください!怪しい者じゃないんです」


「ピッキングしといてなに言ってんだ!」


「えっとこれは、その、アイデアです!」


「…ハァ?」


「だから、アイデアの力でピッキングの仕方を閃いて開けたんです!」


「…アイデア?アイデアってあの?閃くヤツ?」


「そうです!そのアイデア!」


「え、あんた何者なの?」


「だから最初から言ってるじゃないですか!私はアイデアなんです!」


…ハァ?


それから女は俺に[アイアム・アイデア]と書かれた名刺を渡し1から話してくれた。

どうやらこの女はアイデアその者らしく(新人)アイデアを求めた俺の前に降ってきたらしい



降ってきた?



「まさかあの何かが落ちた音って?」


「はい!私が降ってきた音です!」


「つうか降ってきたってアレ物理的な意味だったの⁉︎」


「それ以外何があるんですか?」


ダメだこの話しはラチがあかない。


「改めまして、私アイデア1年目のアイデアと申します!この度はあなたの必死な求めに反応しやってきました!」


「は、はぁアイデア?」


「そうです!みなさんがよく口にするアイデア、アレそのものです!まだ1年目ですけど、アイデア20年とかの人ならすごいですよ!ダイナマイトとか作っちゃったり!」


確かに普通の人間っぽくはないがアイデアが擬人化ってあまりにも


「胡散臭過ぎる、てかアイデアって言われたって、ピッキングだけでお前をアイデアって認めるわけねぇだろ、なんか他にも証拠を見せてくれないと」


「なるほど、それもそうですな。なら今からこの無駄にデカイだけで中身がスカスカな冷蔵庫に入ってる物で美味しい物を作りますか?それともここにある調理器具とそこにあるDIY用の工具を使って自殺に見せかけた完全密室殺人をすることも可能ですよ!」


「いや普通に最初ので良いわ!」


「でもそれだと料理の出来る泥棒かも知れませんよ?」


「ピッキングの出来る殺人鬼よりましだろ!」


「うーむ、たしかに!」


女は納得すると冷蔵庫を開け何やらモゾモゾ言っている、そして俺はモゾモゾ言うのをやめた女が普通の人間でない事を確信した。

なぜなら言うのをやめた女は突如発光し始めたのだ。

そして光りを発しながら女は手際よく料理を完成させた。


「さぁ、出来ましたよ」


おいおいこれが本当にウチの冷蔵庫にあった者だけで作ったのか?

なんだこの立派なハンバーグは?なんだこの立派なスープは⁉︎そして味は見た目通り


「美味い…」


「どうです!?これで信じてくれましたか!?」


美味い、しかしこれだけで信じるのもなんか気が進まないが、普通の人間じゃないことは確かだ…本物なら俺のピンチを抜け出せる。



「よし、とりあえずあんたを本物だって認める!だから教えてくれどうすればいい⁉︎」



「それはですねー」




「それは⁉︎」




「模様替えです!」




ハァ?


「だから模様替えです!模様替え!まずは模様替えしてリフレッシュして脳を休めて上げるんです」


休ませる?


「いや、ちょっと待ってくれ、休ませる必要ないだろ、お前が教えてくれんだろ?」


そう言った俺に女は一瞬固まりプッと吹き出し爆笑し始めた


「え?そんなわけないじゃないですかー!だって私何で悩んでるか知らないんですから!」



ハァ?


ハァァァァァァァアア⁉︎


「え!?マジで何しに来たの‼︎?」


「だからアイデアを」


「教えてくれんだろ?」


「いや、そこは自分でやることじゃないですか」


えぇぇぇぇえぇぇぇ!!


「良いですか?あなたが私を呼んだ理由はよくわかりませんが私の力で解決したら意味ないじゃないですか!」


「いる意味ないじゃん!」


「あります!私たちアイデアの役目は漫画で言うと閃いた時にでる豆電球なんです!あれが私たち!だからアイデアを引き出すことは出来ます!でもそれはあなたの持ってる知識と経験を直感として引っ張り出してるだけなんです!言わばトレーナーと選手の関係!」


「え?じゃあ今の悩みが俺の知識とか引っ張り出しても解決出来ないことだったら?」


「何にも効果ないです、豆電球光ってるだけ☆どんな名コーチでも才能ない方にはさすがに…って感じです☆」


「意味ねぇじゃん!てかそんなん1人でやっても変わんねぇだろ!」


「意味あります!27年生きてるんですよ⁉︎その経験と知識を集めるんです、よっぽど箱に入った生活してない限りなんとかなります!それに筋トレだって1人でやるよりちゃんとプロのトレーナーが、いた方が良いに決まっています!」


コイツはとんだハズレクジを引かされた、しかし確かに生きてきた知識と経験を引っ張り出すなんて俺1人では出来ない、トレーナーか、しょうがない。この女にかけてみるか




あと勝手に模様替えと言いながらDIYで作ったテーブルの解体を止めなければ。

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