第3話 アイデアが出る条件

「意味あります!27年生きてるんですよ⁉︎その経験と知識を集めるんです、よっぽど箱に入った生活してない限りなんとかなります!それに筋トレだって1人でやるよりちゃんとプロのトレーナーが、いた方が良いに決まっています!」


コイツはとんだハズレクジを引かされた、しかし確かに生きてきた知識と経験を引っ張り出すなんて俺1人では出来ない、トレーナーか、しょうがない。この女にかけてみるか




あと勝手に模様替えと言いながらDIYで作ったテーブルの解体を止めなければ。


こうして静かな夜中にアイデアと名乗る女と共に俺は家の模様替えをしていた、1Kのこの家で模様替えと言ってもそんな出来ることは限られているが。

模様替えをして脳をリフレッシュしてアイデアを閃かせる、か。



まぁ結果は


「ダメ、全然ダメだわ」


思いつく筈がない、こんなんでアイデア降ってきたらこの女に頼む前から解決している。


「えー!なかなか手強いですねぇー」


どうやら模様替え作戦に相当自信があったらしくかなり悔しがっている。

というかこんな夜中に模様替えなんかして御近所さんは大丈夫なんだろうか…?

かなりドタバタ音を出したぞ?

つうかいま何時だよ?

そう思い時計を見ると俺は言葉を失った、なぜなら。


「時計が止まってる…!?」


いや、時計だけではなかった、外を見ると雨も歩いてる人も止まっていた、そうだついさっきまで雷雨だったんだ。コイツが来る前まで…


「今更気付いたんですか?時間は私が来た時に止めてありますよ」


女に説いただすとケロッとした顔でそう答えた。


「さっきもお話しした通り私たちアイデアは漫画で言う豆電球ですからね時間にしたら一瞬の出来事なんです、だからあなたが閃いたらその閃いた部分だけ残して今のこの記憶は綺麗サッパリ忘れて貰って時間をもとに戻します!」


「もうなんでもありだな、ん?記憶を消す?さらっと怖いこと言ったな、つうかどうやって?」


「大丈夫です、それはおいおい伝えます!さ、今はアイデアですアイデア!」


こうして張り切る女は徐ろにスマホを弄り始めた。


スマホを弄り始めた?


え、なにコイツ?片手間か?片手間なのかい?



「わかりました!次は逆立ちしましょう!」


「は?いやいやイキナリ過ぎるだろ!やんないわ!」


「良いですか?この作戦は頭に血を巡らせるて閃くんです!某有名な漫画家もこれで締め切りを乗り切ったとか切らなかったとか!」


わかんないんかい!

てかコイツさっきからなにスマホ見ながら喋ってんだ?


まさか


「おい…お前スマホで調べてんだろ?」


「へっ!?いやいやイヤだな何言ってるんですか⁉︎」


「わかりやすく動揺してんじゃねぇよ!貸せそのスマホ!」


「え、怖っ!女子のスマホ見るなんてセクハラで訴えますよ!」


「その前に不法進入で訴えるわ!」


そう言い嫌がる女子かどうかも怪しい女からスマホを強引に奪った。そして法的処置など次会うのは法廷だと叫んでる女をガン無視しスマホを見る。すると予想通り


「スマホで調べてんじゃねーか!!」


「え、いや違いますよ、、気のせいですよ!」


「普通に(アイデアの出し方)ってページ開いてんじゃねぇか!」


ちなみにスマホの次に書かれていたのは(筋トレ)

危うく模様替えに逆立ちした後筋トレと体育会系コースまっしぐらするとこだった。


「いやー。アイデアってなかなか閃かないものなんですねー」


必死に話しを変えよとしてるが棒読み感が酷すぎる。


まったく、こいつは…


「1年目のアイデアを他に知らないけどダメダメ過ぎるだろ」


「そんなことないですよ!結構優秀な方です!」


「嘘つけ、まともにやったのはピッキングと料理だけだろうが!」


「そんなこと…あるかも知れないですが…」


「だいたい、1発で閃かなかった場合も考えとくもんだろ?」


「それが…思いつかなくて」


「いや、お前アイデアじゃん!!!」


「そうなんですけど、アイデアにも得意不得意ってあるんですよねー」


「なんだよそれ」


「アイデアは、あるんですよ!ただちょっとグルグルして湧いてこなくて」


アイデアのくせにアイデアが湧かない、俺は今不思議な事態に直面している。


「まぁいいや、んじゃ何がグルグルしてるんだ?話してんみろよ」


俺は女にスマホを返しいつもとは場所が変わったソファーに腰をかけた。


「大丈夫です、なんとかしぼり出しますから」


女はスマホしまって少し意地になった口調で言ってきた。


「いやいや、なんか言ってみろってお前がなんか出してくんねぇと体育会系コースだろーが」


正直食ったばっかで模様替えしてその上で逆立ち筋トレなんて死んでもごめんだ。


「だからこうやって絞り出そうとしてるじゃないですか!だいたい私アイデアのプロですよ!アマチュアは引っ込んでて下さい!」


なんだろう、この意地を張ってる女にイライラしてきたぞ?


「うるせぇ!いいか、たとえ関係ないヤツでも人と話すって行為自体が大事なんだよ。人と話すってことは考えを伝えようとしなくちゃいけないからグルグルした思考を整理しながら話すんだ、だから話すだけで脳が整理されるから今までいっぱいいっぱいだった場所に隙間が出来る、だから余裕が生まれて新しいアイデアがー」



あーなるほど


そういうことか


同属嫌悪ね



まるでイソップ童話だな。




「おいお前、そういうことだろ?」


「…」


「1人で考えて上手く行かない時は人と話せって言いたかったんだろ?それを直接言うんじゃなくてこんな模様替えやら今のくだりやら一芝居うったんだろ?」


かなり回りくどいが確かに直接言われたからってあの時の俺は実行に移しはしなかっただろう、悔しいけどもしかしたらコイツはやはり成績優秀なアイデアなのかもしれない。




そんなことを思いアイデアを見てみると、あれ?

コイツなんで人が真剣に話してんのにハトが豆鉄砲食らった顔してんの?元からそんな顔じゃねぇだろ?




まさかコイツ


「え?そうなんですか?」


前言撤回、コイツやっぱり成績悪いわ

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