アイデアが降ってきた

兎波志朗

第1話 アイデアに行き詰まったとある日

-プルプルプルプル-


さっきから30分おきに担当から電話がくる。

留守電に入ってる言葉は


[とりあえず打ち合わせをしましょう]


とりあえず?とりあえずってなんだ?

そもそも大学卒業しただけで専門的な知識もないし歳なんて5も下のヤツが担当ってだけでも納得いかないのに、そんなヤツと打ち合わせして何が生まれるって言うんだ?



そうイライラしながら俺は次鳴ったら携帯をぶん投げようと思い5本目のタバコを吸った。


小説家、、、幼い頃からずっと本を読んできていつしか自分にもなれるんじゃないかと思い筆をとり、出版社に出し賞を貰い晴れて小説家となった。この調子でトントン拍子で有名作家へ…なんて行くはずはなかった。


まさかの2作目でアイデアが底をつくなんて思わなかった、恋愛物で難攻不落な高嶺の華を落そうとする学園カースト下位の男の子という話し。出来ることならこのありきたりのストーリーで類を見ないくらいの難易度にしようと意気込んだのはいいが、ハードルを上げ過ぎた。


どうやったってくっ付きそうにない…



さぁどうしたものか…


そんな自分の気持ちを反映するかのように外はうるさいくらいの雷雨。


あぁうるさい、こうもうるさいと集中も出来ないし一眠りするか、アイディアは寝る前に降ってくるって何かで読んだ気がするし


俺は書きなぐったノートを閉じソファーで横になり目を閉じ




ようとした瞬間




-ドゴーン!!!-



⁉︎


なんだ⁉︎雷が落ちたのか⁉︎

今まで耳にしたことのないとんでもない音がした、急いで部屋を確認するが部屋が停電していないので電線はやられてないらしい、そんな確認をしていると


ピンポーン


呼び鈴が静寂な空間に響いた。


なんだこんな夜中に?

まさか担当?さすがにそれは、いや、ヤツならそんな非常識なことをやりかねない、シカトするか…


ピンポーン




ピンポピンポーン


…なんなんだ一体?

どこまで非常識なんだ⁉︎

シカトしようとしたがこうもうるさくされたらたまらない、一発ぶん殴って追い返そう。


俺は右手に拳を作り扉を開ける



すると



そこには担当ではなく


黒いローブに身を包んだ女が立っていた



…だれ?

な、なんだこいつは?

背は160ないかくらいの小柄で年は俺より若そうな感じで顔はまぁ、うん、それなりだ。

そんなことを考えつつ俺はバツの悪くなった右手のやり場に困りながら停止していると女は笑顔で口を開いた


「はじめまして!私アイデアです!」



俺は無言で扉を閉めた。


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