第11話

時は、7月18日の午前11時55分頃であった。


またところ変わって、バンテリンドームナゴヤの北西側にある郵便局にて…


郵便局は、英二えいじが契約社員として働いている職場である。


デスクワークをしている英二えいじは、他の従業員さんたちが残したお仕事をひとつずつ処理していた。


この時、英二えいじが座っているデスクに上の人がやって来た。


「ああ、木俣きまたくん。」

「なんでしょうか?」

「久しぶりに昼めしを食いに行こや。」

「あっ、はい。」


またところ変わって、バンテリンドームナゴヤのすぐ近くにあるイオンモールのフードコートにて…


英二えいじと上の人は、矢場とん(味噌カツ屋)で注文した味噌カツ定食でランチを取ったあと、お茶をのみながらお話をしていた。


木俣きまたくん。」

「はい。」

「いつだったかおぼえてへんけど、義妹いもうとさんの縁談ハナシの返事はいつするのかね?」


上の人からややあつかましい口調で言われた英二えいじは、ひどくコンワクした声で言うた。


「えっ?義妹いもうと縁談ハナシ?」


上の人は、よりあつかましい声で英二えいじに言うた。


「中尾の家のご夫婦が『時間がない…』と言うてひどくあせっているのだよ…」


英二えいじは、ますます困った声で上の人に言うた。


「時間がないって…どう言うことでしょうか?」


上の人は、ものすごくあつかましい口調で英二えいじに言うた。


「中尾の家のご夫婦のあせりをはよ鎮めてくれ!!」

「そうは言うても…」

木俣きまたくん!!」

「なんでしょうか?」

木俣きまたくんは、中尾の家のご夫婦の気持ちが分からんのか!?」

「中尾の家のご夫婦の気持ちって…なんでしょうか?」

「ローゴをめいいっぱいエンジョイすることだ!!」

「はっ?」

「息子たちが嫁はんをもらわないと夫婦はローゴをエンジョイできないのだよ!!」

「言うてる意味が全くわかりません…」

「ドアホ!!だからキサマは正社員になれんのだ!!そんなことも分からんのかケーヤク!!」

「やかましい課長マンネン!!」

「なんやオドレ!!」


英二えいじと上の人は、より激しい口調でののしりあった。


またところ変わって、守山区の区役所にて…


区役所は、里英りえがケーヤクの職員で働いている職場である。


時は、午後2時半頃であった。


里英りえは、トイレにいた。


里英りえが洗面所でメイクなおしをしていた時であった。


館内の水まわり清掃で入っているパートのおばちゃんが洗面所にいる里英りえに声をかけた。


木俣きまたさん。」

「あら、ご近所の奥さま。」

「ちょっとの間、かまん?」

「あっ、はい。」


おばちゃんは、里英りえに対して華保かほ縁談ハナシの返事を求めた。


「この前、木俣きまたさんの妹さんに入れた中尾の家の次男さんとの縁談ハナシだけど…」

「えっ?妹の縁談ハナシですか?」

「いつになったら返事するのよ!?」

「あの…ちょっと待ってください…妹にまだはなしをしてないのです…」

「困ったわねもう!!中尾の家のご夫婦がひどくオタオタしているのよ!!」

「だから、中尾のご夫婦がなんでオタオタしているのかが分からないのです~」


パートのおばちゃんは、抽象的チュートハンパな言葉を里英りえに言うた。


「中尾のご夫婦は、次男さんの寝ぼけた性格を大急ぎでなおしたいといよんよ!!寝ぼけた性格をなおす方法は、お嫁さんをもらうしか方法がないのよ!!」

「言うてる意味が全くわかりませんけど…」


パートのおばちゃんは、ひどくいらついた声で里英りえに言うた。


木俣きまたさんは、おおきな子を持つ親の気持ちが全く分からないみたいね!!」

「ですから、それはどう言うことでしょうか?」


里英りえの問いに対して、パートのおばちゃんはますます困った声で言うた。


「うちの息子(37歳くらい)がそうだったのよ!!よく分からないけど、以前、うちの息子がギャルゲー(オンラインゲーム)に出てくる女の子がえがかれているTシャツを部屋につるしていたのよ!!」

「ですから、それはなんなのですか?」

「だから!!うちの息子がギャルゲーに出てくる女の子を『お嫁さん』だと言うたのよ!!」

「ですから、奥さまはなにがどういかんと言いたいのですか?」

「だから!!ギャルゲーオタクで居続けたらダメになるからグッズをすてたのよ!!」

「どうしてそんなひどいことをしたのですか!?」

「だから!!息子のねぼけた性格をなおすためにグッズをすてたのよ!!」

「あの〜奥さま…ちょっと落ち着いてください!!」

木俣きまたさん!!」

「奥さまは、息子さんがギャルゲーオタクをつづけたらお嫁さんが来なくなると言いたいのですか?」

「言わなくても分かるでしょ!!ギャルゲーのグッズをすてたからねぼけた性格が一発でなおったのよ!!その後、素適なお嫁さんが来たのよ!!」

「はいはい分かりました…うちはそんなくだらない話に付きあうヒマは1秒もないのよ…それよりも、二階の男子トイレにたばこの吸いがらがたくさん捨てられていたわよ…早くすててよね…」


里英りえは、パートのおばちゃんに冷めた声で言うたあとトイレから出た。


里英りえから冷めた声で言われたパートのおばちゃんは、ひどくおたつきまくった。

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