第12話

時は、夕方6時50分頃であった。


またところ変わって、和義かずよし里保りほ夫婦ふうふの家族たちが暮らしている特大和風建築の家にて…


家のダイニングテーブルに、里保りほが作った晩ごはんが並んでいた。


イスには、和義かずよし里保りほ里英りえとふたりの娘たちの5人が座っていた。


華保かほ英二えいじは、食卓にいなかった。


里保りほは、ものすごくあつかましい声で里英りえに言うた。


里英りえ!!」

「なによぅ〜」

英二えいじさんは、どこでなにをしているのよ!?」

英二えいじさんは、きょうは残業で遅くなると言うてました!!」

「また残業…困ったわね!!」


里保りほがあつかましい声で言うたので、里英りえは怒った声で言うた。


「おかーさん!!英二えいじさんは、少しでもお給料が上がるようにと思って必死になってがんばっているのよ!!」

「言わなくても分かるわよ!!英二えいじさんが一生懸命になってうちらのためにがんばって働いていることぐらい分かるわよ!!だけど…英二えいじさんの残業が増えたことが原因でおとーさんがイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジイジ…といじけるようになったのよ!!」


真ん中の席に座っている和義かずよしは、ものすごくいじけた表情でこう言うた。


英二えいじがいないと、晩ごはんがおいしくない…英二えいじがいないと、お酒がまずい…英二えいじは『残業残業残業残業残業残業残業残業残業残業残業残業残業…』と言うて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて…逃げ回っている…英二えいじは…わしのことがキライなんだよ!!…ふざけるな!!」


里英りえは、ものすごく怒った声で和義かずよしに言うた。


「おとーさん!!」

「なんや!!」

「毎晩毎晩イジイジイジイジといじけるのもいいかげんにしてよ!!」

「やかましい!!」

「やかましいはあんたの方よ!!」

「なんやオドレ!!」


たまりかねた里保りほは、怒った声で和義かずよしに言うた。


「おとーさん!!」

「なんや!!」

「おとーさんは、英二えいじさんにどうしてほしいのよ!?」

「ワシは、英二えいじと一緒に酒がのみたいんじゃ!!ワシのぐちを聞いてほしいんじゃ!!」


和義かずよしの向かいに座っている里英りえは、怒った声で言うた。


「そんなに不満だったら食卓から出ていきなさいよ!!」

「なに!!わしに出ていけだと!!」

「おとーさんが『さみしいさみしいさみしいさみしいさみしいさみしいさみしいさみしいさみしいさみしいさみしい…』とばかりいよるからさみしい人間になったのよ!!」

「やかましいだまれ!!」

「だまれはあんたの方よ!!」


見かねた里保りほは、泣きそうな声で言うた。


「ふたりともやめなさい!!晩ごはん時にケンカしないでよ!!そういった話はごはんを食べてからにしてよ…孫たちがお腹すかせて待っているのよ!!…ごはんをつがせてよ!!」


このあと、里保りほは日立のIH圧力スチーム炊飯器のフタをあけた。


里保りほは、家族たちが食べる白ごはんをお茶わんについだあとひとりずつお茶わんを渡した。


里保りほがみそ汁をつごうとした時であった。


黒の長そでのトップスと白のパンツとくつ下姿の華保かほが食卓にやって来た。


華保かほは、ウキウキした表情で里保りほに言うた。


「あっ、おかーさん…」

華保かほ、どこへ行くのよ?」

「どこって、コーコーの時のお友だちと一緒に栄のディスコに行くのよ。」


それを聞いた和義かずよしは怒った声で『なんじゃあ!!』と言うたあと怒鳴り声をあげた。


「嫁入り前の娘が繁華街よるのまちへブラブラ出歩くとはけしからん!!」


和義かずよしに怒鳴られた華保かほは、ものすごく怒った声で言うた。


「アタシは、女の幸せを完全にあきらめたからどーでもいいのよ!!」

「なんや!!」

「おとーさんやめてよ!!」


ごはんをつぐ手を止めた里保りほは、大急ぎで和義かずよしを止めたあと華保かほに言うた。


華保かほ!!おとーさんになんてことを言うのよ!!」


華保かほは、ものすごく怒った声で里保りほに言うた。


「おかーさん!!アタシはものすごくうんざりしているのよ!!おとーさんが毎晩毎晩イジイジイジイジといじけてばかりいるから頭に来るのよ!!」


里保りほは、ものすごく困った声で華保かほに言うた。


「どうしておとーさんの気持ちを分かろうとしないのよ…」


華保かほは、ものすごく怒った声で里保りほに言うた。


「おとーさんは、アタシにどう言った男性あいてと結婚してほしいのよ!?」


里保りほは、ものすごく困った表情で華保かほに言うた。


「おとーさんは、まっすぐに家に帰ることができる人を求めているのよ!!」

「それだけ!?」

「だから、おとーさんはオムコさんと一緒にお酒をのみたいといよんよ~」

「ふざけるな!!」

華保かほ!!」


里保りほ華保かほが怒鳴りあいをしていた様子を見た和義かずよしは、ものすごくいじけた表情で席を立ったあと外へ出ようとした。


里保りほは、困った声で和義かずよしに言うた。


「おとーさん!!どこへ行くのよ!?」


和義かずよしは、ものすごくいじけた表情で言うた。


「ごはんいらん!!」

「おとーさん!!」

「ワシは、英二えいじがいないとごはんがおいしくない!!英二えいじがいないと…お酒がおいしくない…」


和義かずよしがものすごくいじけた表情で言うたので、里英りえはものすごく怒った声で和義かずよしを怒鳴りつけた。


「そんなに英二ダンナがイヤなら老健しせつに行きなさいよ!!」


里英りえが言うたどぎつい言葉にブチ切れた和義かずよしは、ものすごく怒った声で言い返した。


「ワシをニンチショウにする気か!?」

「ええそうよ!!」

「ワシはまだ老健しせつへ行く年齢じゃないわ!!」

「うちらに不満があるのだったら、老健しせつに移りなさいよ!!」

「なんやオドレ!!」


思い切りブチ切れた和義かずよしは、しょうゆが入っている小瓶びん里英りえに投げつけた。


「やったわね!!」


(ガーン!!)


小瓶びんをぶつけられた里英りえは、足元に置いてた赤のパンプスで和義かずよしの頭を殴りつけた。


「オドレ里英りえ!!」

「やかましいダメオヤジ!!よくもうちに暴力をふるったわね!!」


(ガシャーン!!)


思い切りブチ切れた里英りえは、和義かずよしを両手でついて倒した。


その後、和義かずよし里英りえは怒号をあげながらめちゃくちゃに暴れ回った。


華保かほは、冷めた表情で家族たちを見つめたあと外へ出ていった。

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