学祭準備

 2学期が始まり、学祭の準備は着々と進んでいく。僕は今年もカフェの出店があり、予算や準備に追われ…放課後は店に寄り、帰宅してから美術部の展示品として、ボトルシップを出す為に細かな微調整を行う。そんな毎日が続いた。


 学祭の前日


 ニャアァァオ

 ニャアァァオン〜


 部屋のドアの前で、が鳴いた。こてつは我が家の猫である。知り合いの農家さんから譲って貰った茶トラで、とても利口だ。僕や、たまに遊びに来るじぃちゃんにはすりり寄って来るのに、弟の絢也しゅんやからは逃げ回り、母さんが近寄るとお尻を向けて目をらす。


 最近忙しくて遊んでないから…


 部屋に入れてやろうと思ったけど、机の上には細かな部品や接着剤が散乱している。

 いや、今は無理か。隙間を開けようものなら、一目散に駆け寄って入ってくるだろう。

「こてつ、ごめんな。今、遊んであげられないよ。」ドアに向かって声をかける。

 こてつはしばらく鳴いていたけど、諦めてどこかへ行ったようだ。


 僕の作るボトルシップはミニチュアで、小さな瓶に小さな戦艦の模型を入れている。

 瓶に入れる前に、一度組み立てる。そして、瓶の口に入る大きさにバラバラにして、一部一部を長いピンセットを入れて接着していく。

 最後に戦艦の名前のプレートを入れて終わりだ。

「ふぅ…」

 時計は0時を過ぎていた。

 終わった安堵感で、眠気が増す。


 ニャアァァオン〜…


 どこかで、こてつが鳴いている。


 ビッグジャパンコーヒーフェスタ…行きたかったな。


 僕はそのまま眠りに着いた。

 

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