招待状

 届いた封筒の送り主

【コーヒー協会 澤村誠二さわむらせいじ


 澤村…澤村…

 うーん、どこかで聞いたような?

 僕はしばらく考えてから、思い出した。

 僕が店を開けた時の、初めてのお客さんだ!

 コーヒー協会の人だったんだ。

 僕はペーパーナイフを取り出し、丁寧に開封した。中にはクリップで留められた、メモとチラシとチケットが入ってた。


 もう忘れてしまったかもしれないが、以前に一度、君のコーヒーを飲みに行った澤村です。

 さて今回は、コーヒーに関する大きなイベントが開催されるというお知らせです。

 入場チケットが手に入ったので、案内のチラシと一緒に送ります。

              澤村誠二


 チラシを広げた。

【ビッグジャパンコーヒーフェスタ】

 コーヒー豆や材料、コーヒー器具などの販売店や…全国の腕のあるバリスタ達が集結。

 

 これは凄い!

 僕は舞い踊った。


「翔吾、なにやら楽しそうだね?」

 ハッ!気がつくと、カウンターにじぃちゃんがいた。

「じ…じぃちゃん、いつ来たの⁉︎」

「少し前に来たんだが、お前さんが集中していて全く気が付いてなかった。ワッハハ!」

 じぃちゃんは大笑いをしていた。

 踊っている所を見られたのは恥ずかしかったけど、僕はじぃちゃんに澤村さんの事と、今日届いた封書の事を話した。

「ほう、澤村が…」

「え、じぃちゃんは澤村さんを知ってるの?」

「澤村は、じぃちゃんがコーヒーの勉強をした時の同期だよ。そういえば入院中に見舞いに来て、お前のコーヒーを飲んで来たと言ってたな。」

「ええ…そうだったの⁉︎」

 今日は色々、驚く事ばかりだ。

「それで、ビッグジャパンコーヒーフェスタに行くのかい?私もついて行ってやりたいが、無理すれば、ウチのが怒るからな。」

「行こうかな。えぇといつだっけ…。」

 日にちは…学祭がくさいと丸かぶりだった。


 

 


 

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