夏休みと課題
暑い…
夏が終わる…
夏休みが終わる…
課題は終わらない…
僕は店で裕太と店の隅のテーブルで、課題をしていた。エアコンが効いていて、課題をこなす環境は抜群だ。なのに…
「終わっても終わっても終わらない物、な〜んだ⁉︎」
裕太が椅子の背もたれにもたれながら言う。
「それ、僕に答えて欲しい?」
「翔吾君なら答えてくれるかなぁーって思ってさ。」
「てか、裕太の課題、まだ半分以上残ってるよね。全くやってないじゃないか。」
「俺は部活で忙しかったの!おまえ、休部してるから忘れてると思うけど、夏休み明けたら文化祭の準備よ?美術部なんて、夏休みから作品始めないと間に合わないっつーの。」
あ、そうだった。一年の時も二年の時も、夏休みは絵を描いてたんだっけ。
「忘れてた。僕、どうしよう…」
「休部してるからいいんじゃねぇの?でも、翔吾の作品が観られないのは寂しいかな。」
おまえなんか必要ない、って言われると思って一瞬ドキッとした。でも、そうじゃなかった。
「絵じゃなくていいなら、作品だすよ。前に作ったボトルシップがある。」
「ボトルシップ?あの、瓶の中に模型が入ってるやつ?」
「そう、それ。作ってたんだけど、飾る所なくて。そのまま学校に寄贈しちゃおうかな。」
「おまえって、ほんっと器用だよな。どんなのか知らんけど。」
「ふふふ。お楽しみに。あ、せっかくだからアイスコーヒーでも淹れようか。」
僕が立ち上がると、カウンターからじぃちゃんが「もう、出来てるよ。持って行きなさい。」と、トレーに乗せられたアイスコーヒーを置いてくれた。
僕はいつも思う。じぃちゃんの気遣いや、絶妙なタイミングは凄いって。
『人に必要とされる人になりなさい。』
じぃちゃんがずっと目標としてる言葉。
僕もそうなりたい。僕の目標はじぃちゃんだから。
「ありがとう!」
「おじいさん、ありがとうございます!」
「さぁ、裕太。今日はもっと頑張ろうぜ。」
「うへぇ…頑張りますか!」
まだまだ終わらない課題。夏休みが終わるのも、あと僅か…。
その後、一通の封書が僕宛に届いた。
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