第2話 覚醒

瞬間、意識が白濁する。


自分の生物としての根幹が、本能が塗り替えられていく。


俺が…俺以外の何かに…


お、れは…オレは…ナニヲ……


「助けないと」


「誰だ」


「遥を、助けないと」


「お前は、誰だ!」


「きっと言ってもわからないわ。それに…





多分、貴方と私はまた出会う。いつかね」




ー意識内の意識が、途切れた




「ッ!何だ、今のは…いや、そんなことより…」


西堂は急いで自分の体を確認する。いや、何となく、見るまでもなく感じていた違和感を確認する。


そこに、今日着てきた服も自らの骨肉を覆ってきた肌色の皮膚はなかった。

西堂の肉体は今黒く硬質な装甲に包まれている。その皮膚、というより殻と呼ぶにふさわしいソレは明らかに異形。手足胴体各部に生えた棘はその姿の殺意を体現していた。


そして何より奇妙なものは…


「これは…ベルトか?」


西堂の腹の辺りに、何やらベルト状の装置のようなものがついている。装置といっても、ベルト帯に当たる部分は肉体と癒着していて取り外せるようなものには見えない。


「いやいや…いくら特撮が好きって言ったって、ココまで影響が生じるもんかね…」

「…なってしまったのね。その姿に…」

「まあな。めでたくアンタを倒す力をゲットって訳さ」

「いいえ、もう…アンタと戦う気はない」

「…は?」


肩透かしもいいところだ。俺は『蜘蛛』を倒すためにこんなことをしたってのに、その『蜘蛛』はまるで憐れむような目でコチラをみている。


「格別に美味いんじゃねえのかよ」

「アンタ、さっきのガキと今のアンタが同じだと思ってんの?」


…確かに、緑山さんより…だいぶ変わってはいるが…


「ハァ…呆れた。もうイイわ、どっか行って!もうアンタなんかキョウミないわ!」

「どっかにいくのはテメェだろうよ。遙も、緑山さんも、テメェの食いもんじゃねえんだよ」

「やめて、もうこれ以上イライラさせないで、ねえわかるでしょ、アタシお腹すいたの。今のアンタにならわかるでしょ⁈ねえ、コイツらが、美味しく、見えてるんじゃないの⁈」


『蜘蛛』は見るからにむしゃくしゃした様子で、その足の何本かで地団駄を踏みながら問い詰めてくる。しかし、俺にそんな心当たりはない。


「いや見えねえな。てめえと一緒にすんなよ」

「…何なのよ、アンタは…もう知らない!もうなんだっていいわよ!…アンタがアタシを…邪魔するっていうなら…ぶっ殺してやる!!」

「ッ!上等だ、やってみろ!」


西宮新、初陣の火蓋が、今、切られた…


to be continued…

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