概要
彼女はかねてからある問題に悩まされていた。
それは――算数が異様に出来ないことだ。
他の教科の成績は特に悪いわけでもないから、地頭がひどいのではないらしい。
それなのに、簡単な足し算の繰り上がりレベルからして怪しい。
当然、九九もあやふやである。
理由が全く分からず本人も家族も、友達までもが首を捻っているのだ。
そんな彼女の、中学に入学して最初に行われた実力テストの結果も、当然お察しのものであった。
おまけにおかしな勝負に巻き込まれて、さんざんだった帆月は学校からの帰り道、ある女性に出会った。
見知らぬその女性は、帆月にあることを告げたのだ。
それは――――
カドカワ読書タイム短編児童小説コンテストに応募した作品です。
全8話です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!小さな冒険者は、インコに導かれて克己の旅へ。
幼気な主人公は、算数が苦手。
誰にもある苦手意識を克服するのは、実は物凄く難しい。
ただ、ほんの少しの『切掛』があれば。でもその切掛がなかなか見つからない。
不思議な世界に迷い込んだのは、偶然だったのか必然だったのか。
『幸運のインコ』に出会える確率すら未知数のなか、ダンジョンをクリアしてゆくのもまた『才能』らしい。
『生命の遣り取り』を、笑う事勿れ。
幼い者には充分過ぎるほどの試練。そして勇者は強く大地を踏みしめる。
覚悟を決めて準備努力した者にこそ幸運は約束される。それを裏切らない、感動的で極上の物語だ。
カッコ の中は = で凡そ決着。 - ★★★ Excellent!!!子供の時に読んでいれば……
小学校で旅人算とか言い出してから、算数が異世界言語に変わってしまった人生。それでも小遣い帳で残金がわかる脳みそだけは残ってたので、何とか現世にとどまっています。
本作は、算数苦手を楽しげに乗り越える主人公が序章ほどのサイズ感の中に描かれております。自分みたいなセンス無しでも安心して読める程度に。なぜ自分が子供の時にこんなお話が無かったんだろうと、悔やまれるばかりです。
できることなら、中学校のときに「お前は壊滅的に数学のセンスがない」と言い切った先生の上まぶたと下まぶたの間に松葉を差し込んで夜通し本作を読ませたい気分です。ガンバレンバレン。 - ★★★ Excellent!!!算数で、こんなにワクワクできるなんて!
主人公の中学1年生・帆月は、数学が大の苦手。
とあることから、数学での勝負を持ち掛けられて大ピンチ!
しかし、塾の前で出会った女性に教えられた言葉を唱えると、そこは……。
算数×冒険ものです。
算数問題が解ければミッションに成功でき、解けなければかなりの痛手を背負うことになり……楽しくも過酷ですが、こんなシステムが小・中学生の頃にあったら、もっと数学ができたかもしれないなーと思います(笑)
短編であってもワクワクしながら読むことができて、主人公の成長も見ることができました。
しかし、気になる登場人物がいたりして、ぜひ長編として読みたいな、と思う作品です。 - ★★★ Excellent!!!こんな世界だったら、算数嫌いはきっと存在しない!
主人公の帆月(ほづき)は、壊滅的に算数が苦手。
他の教科は悪くないのに、算数/数学だけ不思議なくらいボロボロな子っていますよね。
でも、そこに理由があったとしたら……?
そんな帆月は、夢のセカイを訪れて、なし崩しにクエストをこなすことに。
その方法は、数学の問題を解くこと。しかも間違えるとダメージ……えっ、これリスクあるの! クイズRPGのようでありながら、リアルな緊張感が生まれます。
また、クエストを達成する恩恵も。詳しくは本編を読んでいただくとして、算数のできない帆月の秘密が明らかになっていきます。
なんだか不穏な気配もありますが、それがいいアクセントとなってドキドキを生み出して…続きを読む - ★★★ Excellent!!!算数嫌いが減りますように。
まず、とても面白かったです!
物語そのものの面白さ、『数式✕バトル』というユニークな着眼点はもちろんのこと、大人の読者にとっては、別の楽しみ方も見いだせるお話だと感じました。
それは、『算数』と毎日付き合いのあった、子供の頃を懐古できる……ということです。
本作の登場人物達が子供であるからでしょうか、まざまざと思い出しました!
私の場合は、「算数、苦手だったなぁ」という苦い記憶が多いのですが。
その時にこんなに楽しい発想の物語があったら、きっと算数とのむきあい方も変わっていたかもと思いました。
大人になってから、世の中の森羅万象は数式で表せると知りました。
物語を読むことが好きな子供が…続きを読む