第6話 神代


「神代様よう~俺達にこんな事させて意味があるのかよ!」


「それに本当に助けてくれるの?」


面倒くさいな…


「意味はある…これはショーなんだ、実際にこの模様は日本の特権階級やセレブの一部に動画として届けられる。だから君達には小型カメラを仕掛けさせて貰う…まぁ俺からしたら、生の殺人が見たいという変態にしか思えないが、彼らには総理大臣や警視総監ですら黙らせる権力を持つ者すらいる。 このゲームに君達が勝利すれば、彼らが権力を持って『全てを黙らせる』約束になっている…そういう仕組みだ」


「マジか?」


「本当なの?」


「もう何回も説明したろう…いい加減しつこいぞ!警察に捕まった君達が、今現在此処に居る…それが証拠だ。しかも警官が連れて来て俺の前で手錠を外しただろう」


「確かにそうだ、俺はアンタを信じるぜ」


「だけど、もう一つの話も本当なのですか?」 


「『組織の殺人許可証を与え一生涯の身の安全を保障する』話ですか?それも本当ですよ!但し、それは今回のゲームに勝つだけじゃなく、次回開催されるゲームで上位入賞が条件だ」


「本当だな 絶対なんだろうな!」


「約束しましたよ」


「ええっ…ただそれにはこのゲームで貴方達が殺人鬼としての実力を示す事ですね!圧倒的な強さや凄さを見せつければスポンサーも付いて沢山のお金も貰えますからね」


「マジか…ただ人を殺す、それだけで金迄貰えて…警察に絶対捕まらない良いね…あんたら神だよ」


「うんうん、素晴らしい人生だわ、キスでもしてあげようか」


「それはまたに…そろそろ1時間だ…いきたまえ」


「おー」


「はいはい」


俺は、とある組織の幹部をしている。


この組織は『危ない人間』と『権力を持つ金持ち』を繋ぐ組織だ。


大体の人間は金を手を入れ、異性に酒、ブランド、家、あらゆる贅沢を満喫すると…最後に『お金で手に入れらない物』を欲しがる。


その中の一つに『本物の殺人を見たい』そう言った物がある。


それを提供しているのが俺の『部門』の仕事だ。


彼奴らのような殺人者にカメラをつけ、殺しの様子を動画配信している。


勿論、それだけじゃなく…他の部門では権力者にとって不都合な人間の殺人等、汚れた仕事をはじめ…お金で手に入らない『欲しい物』の調達などもしている。


簡単に言えば『権力者に娯楽やお金で買えない物を提供、権力者の立場を守る』その代りに『権力者に守って貰いながら資金を貰う』そういう関係だ。


「ツクヨミは居るか?」


「ハッ此処におります、神代様」


「あの二人はお前が見張れ…もし使い物になるなら鍛えるもよし、今回の結果、使えなければ処分するように」


「ハッ」


俺達が欲しいのは『本物の殺人鬼』だ。


本物じゃなく『ただ殺しが出来る』そういう人間は必要ない。


「あいつ等は果たして使い物になるのか…まぁ無理だろうな…ツクヨミ、あいつ等お前ならどの位で殺せる」


「傍に居るなら30秒、同じ室内で3分…この山の中なら40分ですかね」


「やはり役に立ちそうにないな…そうそう、使える存在は居ない、そう言う事だな」


「どんな素質を持った殺人鬼でも我ら神ナインにとっては赤子かと…」


選ばれた女殺人鬼の日本のトップ9人。


その中の1人がこのツクヨミだ。


「確かに…だが、神ナインは絶対的な強さから『殺しあいの勝利』は確定しているから、如何に残酷に殺すかしか楽しめない!だからこそ、我々には新たなスタールーキーが必要なのだ」


「それが、あの二人なのですか?」


「いや…あれはおもちゃだ」


「おもちゃ?」


「何でもない」


姉さんが言っていた…本物は弱者から生まれるのだと…


あれは戯言…そう思っていたが…このデーター。


案外的を得ているのかも知れないな…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る