ステラの力!?

 どうしよう。私、「危ないモンスターなら切れるよ」って思ってた。

 でも、こんなの無理だよ。これは……ゲームなんかじゃないんだ。


「……っ!!」


 ステラは、今にも目をつむりそうだ。切る瞬間を見たくないんだと思う。

 一歩、デビルベアに向かって足を踏み出すけど。

 そのぎこちない動きは、練習の時とは大違いだ。

 ごめん。ごめんステラ。私、ちゃんと分かってなくて……!



「グォォォォォッ!!」



 でも、デビルベアは待ってくれない。

 大きな羽を広げて、私たちにとびかかってきたっ!!

 ステラの目が見開かれる。でも、「切りたくない」っていう気持ちと、とっさのことで体が動いてない。

 も、もうダメ!!

 私は目をつむった。

 その時。


「やっぱりダメだ……僕にはできない!!」


 ステラはそう言うと。



「“数多に広がる無限の星よ、僕に力を与えたまえ!!”」



 何かを、唱えた。


『え?』


 予想外のことに、声が出る。

 ステラはデビルベアに向けて、左の手のひらを突きつけた。私を持っていない方の手だ。

 おそいかかるデビルベアのキバは、今にもそのステラの指先に触れそうで──。



 その瞬間。パァッ!!



 白い光がほとばしったと思うと、デビルベアは消えた。



 何? 何、今の!?

 はぁぁ、と大きなため息をついてステラが座りこむ。いやいや。いやいやステラ!!


『デビルベアに何をしたの!? 消したってことは、まさか』

「あぁ違うよ!! ……デビルベアを、森の奥側に移動させたんだ……五十メートルくらい」


 ご、ごじゅう? 何か地味だね……じゃなくて!


『一体どうやって』

「その理由は、歩きながら話すよ。デビルベアのこちらへの興味が薄れていたらいいんだけど、まだ近くにはいるはずだから」


 なるほど。離れておこうってことね。

 ステラは火を消して、私と他の荷物を持つ。

 それにしても……えぇ……?

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