#03 ヒーローになる為の難題



 特殊スキルを発動させる為にいちじく浣腸を利用することで、課題の半分はクリア出来たと言えよう。

 残された課題は、「場所やタイミングを選ばずにどうやって浣腸液を肛門に注入するか」だ。


 人前でお尻出して浣腸する訳には行かないし、浣腸する為に一々トイレに行ってればタイミングを逃してしまう。


 目の前で美少女のクラスメイトがガラの悪そうな他校の生徒に絡まれている場面に遭遇した時、一度トイレに行って浣腸してから現場に戻っていては、助ける前にドコかに移動してしまっているだろう。

 そうなってしまえば、ただの浣腸損。ウンコの無駄使いだ。

 誰も居なくなった現場で一人残され便意に耐える姿は、ヒーローとは程遠いだろう。


 ウンコを無駄にしない為にも、否、颯爽と問題解決してヒーローになる為にも、この難題のクリアは是が非でも成し遂げねばならない。



 この難題をクリアすべき最初に試したのが、普段から肛門にいちじく浣腸を挿入した状態で過ごし、いざというタイミングで容器を押して浣腸液を注入する方法だ。


 結論から述べると、お話にならなかった。

 常時肛門に挿入していると度々抜けそうになってしまう為に、常に肛門の括約筋を締め付けていなくてはならない。歩いている時も通学中の電車の中でも。少しでも気を抜くと抜けそうになってしまうので、常に肛門を締めているのだ。

 そうして過ごしていると、無意識に内股になってしまうし、汗ダラダラになるし、肛門にばかり意識が行って通行人にぶつかりそうになるし。

 内股で汗ダラダラのぽっちゃりさんなんて、キモ過ぎる。


 そして最大の問題は、イスに座るたびに容器が更に肛門にメリ込むし潰れてしまうので、意図せずに浣腸液が肛門内に注入されてしまうことだ。

 朝イチのHR前にそのことに気付けたので大惨事は免れたが、危うくヒーローになる前に人間失格ウンコ漏らしの烙印を押されるところだった。



 常時挿入状態の危うさに気付いた俺が次にチャレンジしたのは、ズボンを履いた状態でいちじく浣腸を肛門に差し込む方法だ。


 この方法でまず問題なのは、学校の制服だとズボンに通しているベルトが邪魔してくるのだ。俺の肛門といちじく浣腸が熱いキスするのを。

 なのでベルト無しにしてみたら、ズボンが直ぐにズレ下がり、半ケツになってしまった。俺がぽっちゃりさんなせいなのか、ズボンが下がると一緒にパンツも下がってしまい、俺のおケツが「こんにちは」してしまうのだ。

 せめて、見えるのがパンツだけだったのならもう少しマシだったのだろうけど、ぽっちゃりさんがおケツ出して歩いていたら、ヒーローどころか只の変態だしな。

 

 そこで俺は考えた。

 だが、今回は妙案が思い浮かばなかった。

 なので今回は相談することにした。

 しかし俺には相談出来るような友達は居ないので、最初に相談した相手は、小5の妹。


「妹よ、ちょいとばかしお兄ちゃんとお話しようじゃないか」


「やだ。うざい」


「まぁそんなに邪険にするでない。血を分けた兄妹なんだからな?」


「だったら、お兄ちゃんの血を全部抜き取って土に返って貰うしか」


 ここで俺の心が折れた。


 妹との相談を断念した俺は、次に母親に相談した。


「母さん、相談があるんだけど」


「なに?今忙しいから手短に済ませて」


 妹よりもマシではあるけど、実の息子相手にちょいとばかし冷たくないか?

 機嫌が悪いのは、あの日だからか?

 それとも便秘が10日目に突入したのか?

 まぁいい。話は聞いてくれるみたいだし。


「制服のズボンをベルト無しで履きたいんだけど、すぐズレ下がってしまうんだ。 ズレ下がらないように何か解決策はないだろうか?」


「もっと太れ。そうすれば下がんないでしょ」


「いや、それだとキツクなりすぎてズボンに手が突っ込めなくなる。それは困るんだ」


「ミツオ、あんたズボンに手を突っ込んでナニしようとしてんの!?人前でオチンチンいじってナニするつもりなの!」

 

「いや違う!チンコはいじらん!用があるのは後ろの方だ!」


 しまった!

 母さんがあらぬ誤解をするから、思わず勢い余って自らバラしてしまった!人前で肛門いじるとか、チンコいじるのと同等の変態じゃないか!


「あらそうなの? だったらベルトの代わりにゴムにしたら?体操服とかそうでしょ? お母さんがゴム付けてあげようか?」


 おや?ウチの母さんは、どうやら肛門には理解ある大人のようだ。

 しかも、解決策まで提示してくれるとは、流石は便秘マスター。


 こうしてズボンの問題点の改善に成功した。


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