#04 ヒーローに修行はつきもの



 母さんに制服のズボンを改造して貰った俺は、早速ズボンを履いたまま肛門にいちじく浣腸を挿入するテストプレイを開始した。


 しかし、これが中々難しい。


 手順は

 ①右手にいちじく浣腸を持つ

 ②そのままズボン&パンツの中に突っ込み

 ③肛門目がけて挿入


 この最後の挿入で、上手いこと肛門に刺さってくれない。

 微妙に座標がズレて肛門の脇に突き刺さってしまい、痛みに悶絶することもしばしば。


 何度も何度もチャレンジした。


 あまりにも失敗が多い為、その内に痛みで体が恐怖を覚えてしまい、無意識におケツが身構えてしまうようになる程に。

 そんな状態でも只管チャレンジを続けていると、俺のおケツはいちじく浣腸による躊躇ためらいキズだらけになってしまった。



 でも、俺は諦めない。

 一朝一夕でヒーローになれるのなら、世の中ヒーローだらけだ。もはやそれはヒーローでは無くただの一般人。


 一般人のままでいたく無ければ、他人が成し得ない様な修行が必要なのは自明の理。


 そう、ヒーローになるためには修行がつきもの。

 コレはヒーローになる為の修行なのだ。



 忍者が毎朝麻を飛び越え修行し跳躍力を鍛えるが如く、俺は朝おきて直ぐと夜寝る前の1日2回、毎日肛門にいちじく浣腸を差し込む修行を続けた。

 因みに、いちじく浣腸の中身は抜き取った空の容器で修行をしている。

 毎回浣腸液を使うのは勿体無いからな。





 4月に修行を始めてから、3カ月が経過した。


 季節は夏となり、学校では男子も女子も夏服となり、教室は少しばかり華やいだ雰囲気となる。

 だが、ぽっちゃりさんで汗かきの俺にとっては、華やいだ雰囲気と無縁な季節でもある。


 何よりも、パンツの中が蒸れる。

 最近は成功率が上がってきているとは言え、まだまだ躊躇いキズだらけの俺のおケツは、パンツの中が蒸れるせいでヒリヒリするし痒くなることもしばしば。


 最近では修行後とお風呂上りにおケツに軟膏を塗るのが日課だ。

 因みに、パンツの中の蒸れを少しでも抑えようとベビーパウダーをおケツに塗布してみたが、躊躇いキズに染みる様な激痛となり、俺のデリケートなお肌には合わないことが既に判明している。




 ボロボロになりながらも修行を続ける日々に挫けそうになりながらも、いつかヒーローとして皆から讃えられる日を夢想し、歯を食いしばり、大好きなピザを頬張りコーラで流し込みながら頑張った。

 ピザとコーラが無ければ、当の昔に挫けていただろう。





 そんな日々を送る中でトラブルに巻き込まれ、遂に俺のチカラを実戦で発揮する場面に遭遇した。

 それは日課となっているジョギングの最中のことだった。


 ジョギングのコースは自宅から近所の小学校までを往復している。

 この小学校は俺の母校であり、今現在は妹が通ってもいる。


 小学校までは徒歩10分程度。走っても10分程度。

 いつもは小学校まで走り、小学校に着くと校庭の遊具で一通り遊び、そして自宅まで走って帰る。

 全部でだいたい30分程度。

 これを中学1年の夏ごろからほぼ毎日続けている。流石に雨の日はお休みするけど。


 既に夏休みに入っていた俺は、ジョギングは夜に暗くなってから行っていた。 日中は日差しが強くてタダでさえ汗かきぽっちゃりさんの俺には、地獄だからな。


 この日の俺は、上下黒のスウェット姿に首にハンドタオルを巻き、そして念の為にポケットにはいちじく浣腸を1つ忍ばせていた。

 スウェットのズボンもウエストはゴム仕様なので、いちじく浣腸挿入は可能だからな。


 走り出して5分もしない内に全身から汗が吹き出し、おケツのキズに汗がヒリヒリと染み始めるのに耐えながら走っていた。

 時刻は19時を過ぎていた。ジョギングコースである小学校までの道は、住宅街の中なので所々街頭があり真っ暗という訳では無いが、この時間だと人通りは少なく、たまに遭遇する人も家路を急ぐ社会人とかで、俺の様にジョギングや犬の散歩などをしている人は滅多に見かけない。


 10分程走ると、小学校が見えて来た。いつもより若干遅いペースだが、夏場の猛暑の中では致し方ない。無理は禁物だ。


 小学校に到着すると、最近ハマっている雲梯を目指す。俺のようなぽっちゃり高校生が雲梯だなんて、可笑しいと思うか? でもな、この遊具、馬鹿に出来ないんだぜ。腕や掌だけでなく腹筋や首にも相当な負荷が掛かるからな、全身の筋力トレーニングには持ってこいだろう。


 俺の自己ベストは、3つ目。

 毎回4つ目へ手を伸ばそうとすると、握力の限界がやって来て、落ちてしまうんだ。

 今日こそは自己ベスト更新するぞ!と気合を入れて何度もチャレンジをしていた。


 10分ほど続けたが、結局この日も自己ベストを更新することが出来ずに、そろそろ帰ろうかと思い始めたその時。


「おじさん、一人で遊んでるの?」


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