その7 世の中の大きな流れ

 社会人扱いされるようになり、覚えることが格段に増え、当然やることも増える。

 研修、出張、会議、残業、飲み会、転職、無職。。。

 パソコンを覚える必要があり、同時にインターネットに触れることも最低限知っておくべきこととして要求される。覚えることが当たり前。少ない求人条件に当てはまるには、やるしかなかった。

 これは職種によって大きく異なることなるなんだけど、「そんなことも知らないの?」ってよく言われた。


 そんなことやってると、ゲーセンから足が遠のく。しっかり通えるのって、学生の間だけなのかとも感じてた。実際は、またゲーセンが頻繁に通える距離じゃなくなったのが大きい。

 その頃に、どうにか立ち寄ったゲーセンは別世界だった。「ビートマニア」を始めとする音ゲーと呼ばれる大型筐体が設置されていた。他にも対戦格闘もアニメを見ているような画面がいくつもあり、どのジャンルでもゲーム映像の綺麗さは進化したなって。

 また別ゲーセンの店内を見て気付いたことがあり、女性だけや家族連れが入りやすいお店作りがされていた。店内照明が非常に明るく、クレーンゲームのような景品ゲームや撮影のできるプリントシール機がほとんどを占めている。ギャルが多いと、非常に入りにくい。ワタシがお邪魔すると場違い感が否めません。目的のゲーム機がそもそもなかったりしてたが。


 以前、女性側の意見も聞いたことがあり、ナンパ目的であったり、変質者的な若干怖い思いをした経験があるようで明るい店内で、女性店員がいるようなお店を選ぶようにしている、と。もちろん、いつでも変なやからがいるわけではないし、防犯カメラもあるので証拠を押さえ通報もされる。(大昔の自分がバイト店員の頃でも警察通報はちょいちょいあった)しかし、良い印象を持たれないと、次に足を運ぶとか誰かを連れて行こうってならない。

 昔のゲーセンが店内暗い理由って、テーブル型筐体だと蛍光灯の反射が邪魔して見えないんだよね。だから照明を落としてあったりしたんだけど、画面が斜めになっているミディタイプ筐体(汎用筐体)になってからは照明の位置を考慮しつつ、配置すれば店内を明るくできた。

 今時だと、クレーンゲーム自体も当然照明がついているので、ちょっと眩しいくらい。それだけ景品・商品をよく見たいし、お店側は興味をもってほしいからね。


 昔ながらのゲーセンが全く無くなったわけではない、ただ目立たなくなった。数も次第に減っていった。ネット検索で情報は見るんだけど、ゲーム目的の時間を使う比率が格段に減った。家庭用ゲーム機もPCゲームも。

 ネット回線の高速化により、対戦ゲームしたいのなら、家で出来るんだよ。スマホでも。ただね、より複雑になっていくゲームたちに、手を出さなくなった。先に述べた「他にやるべきこと」が増えたのもあるのでじっくりとコマンド覚えて、練習に相当時間が必要なものが面倒に思ってしまう。RPGは特に作業させれてる感があり、そういうことを考えてしまうと「最新ゲームに合わなくなってしまった」と思う。こういうので歳食ったなと我ながら思う。

 もっとシンプルで、感覚で操作でき、比較的短時間でも遊べるものを求めてしまう。そのせいか「リズム天国」や「メイドインワリオ」なんて、分かってるなぁって思っちゃった。


 こんな感じでもね、ゲームそのものが嫌いになったわけではなかったのよ。だから、ゲーム雑誌は読んでたんだ。しかしね、「ゲーメスト」というゲーセン専門誌が無くなって、「アルカディア」という雑誌が生まれたが、その雑誌すら、時代の流れなのか淘汰された。ネットの普及で、web上での情報が早いので、紙媒体では遅いとされる。より詳しい攻略記事も必要とされなかったのかな。ネット掲示板とは違う、雑誌へ投稿するハガキ職人の文章って面白かったんだけどね。

 余談だけど、バイト店員時代に、何度かゲーメストハイスコアランキングの店舗別ランキング担当として[担当まるま(〇の中に"ま"が入る)]が何度か載っていた。スコアラーなお客さんから、「メストにデビューですね」とイジられていたのは、いい思い出です。


 それから地元繁華街にあった大手ゲーセンも撤退し、ショッピングモールに家族向けゲームコーナーが増加しゲームセンターという様式が完全に変わっちゃったと思っている。もちろん、昔から続いているお店もある。しかし、固定客に支えられてるとか、ワタシのように思い出して懐かしむ人がたまに行く感じになっているだろう。

 そこに追い打ちなのが、例の感染症と電気代の高騰という波状攻撃。これは、どの業種でもダメージ受けてるわけだけど、ものすごい痛手。先に述べた「その場に行かないとゲーム出来ない環境」では現在違うのでおうちゲーマーが安全安心なんだよ。ダウンロードでゲーム買えちゃうし、保護者も目が届くからね。

 こういうのを踏まえるとさ、メタバースの話も考えちゃうよ。仮想現実の世界で、自分の分身であるアバター作成し生活をする。コンサートとかライブを仮想現実でやっている人たちがすでにいるので、特定ジャンルに特化した空間が作られてもおかしくない。ワタシみたいに近隣に場所がない、時間や移動手段が限られている、体が不自由な方、そういう障壁が取り払われる。もちろん、必要な機材を揃えるとか、使用料金というのはある。

 今回のテーマであるゲーセン話で言えば、メタバース内ゲーセンはありえることだろう。24時間営業でAI店員がいたりeスポーツも現実と仮想と分け、参加したい方に申し込むとかね。

 こういうのも、どちらかに偏るのではなく、使い分けだと思う。五感で感じ取りたいか、脳内で興奮するか。ワタシが思うのは、休日はゲーセン、平日はメタバースで。言い換えれば、休日ゲーセンなら、平日が家庭用ゲーム機。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る