突入②

 正門入り口前、広大な土地を取り囲む塀、それをゆうに越える教会の支部施設。そこから少し離れた場所に相良響は立っていた。


「郊外とはいえ立派な建物たてもんやなぁ。やっぱり税金かかってない分儲かってんのか?」


真動ドラム』《反響定位エコーロケーション


(距離がちと遠いな。細かい所までは壁が遮ってて分からへんけど………地下か? なんやココ、想像以上にきな臭いな)


「やっぱワイの勘、外れへんな〜」

「おい止まれ!」


 相良は両手を頭の後ろに回して口笛を吹き、さも当然のように不法侵入を試みた矢先、玄関先で警備員に止められた。


「おーなんやなんや! 勧誘はさんざんするくせに施設見学はさせてくれへんのか!?」


(コイツ変異者か……? いや、それにしては変異力オーラの量が半端やな)


「ここは"教祖様"や"四天よんてん"の方々に認められた者のみ立ち入ることの出来る場所。入信希望者ならば、今から別の施設まで案内────」

「いや、結構」


 その顔面を即座に掴み、高速で"揺らす"。頭蓋内部で叩きつけられた脳はその衝撃に緊急停止し、身体は直立のまま地面へところげ落ちた。


 相良はそそくさと警備員の服装に着替え、そのまま正門をくぐり、敷地の中へと足を踏み入れる。

 そしてその直後、入り口に設置されている監視カメラの存在に気が付き「いやいや! 着替えた意味ないやないか!」と心の中でツッコミを入れ、施設内部へと侵入した。


「さて……鬼が出るか蛇が出るか……」

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