第十五話 突入
突入①
教団施設の潜入調査から遡って前日の夜。相良は暗い気持ちを払拭するため、単独任務に勤しんでいた。
「何もせんと休むなんて出来る訳ないやろ」
海上に停泊する船内のグレイ型宇宙人。密入星した犯罪者の"駆除"を淡々とこなしていくこと数時間。
「……それはそれとして疲れた〜」
密輸された危険生物や違法薬物・武器を抑え、引き継ぎを終えたのは次の日の朝だった。
それからしばらく相良は疲れた身体を休めるため、近くのホテルにて朝食と仮眠を済ませ、昼前に帰宅した。
そして自宅のソファでくつろぎながら端末を確認すると『今友達と出とるからウチが食料品買って帰るわ。兄貴は直帰してええよー』と前日に連絡が入っていた。
「ん? なんや、冷蔵庫になんも入ってないやん。買い足したんとちゃうんけ?」
その時、相良はふと気がつく。洗濯物や食器棚、リモコンや物の配置、部屋の状態がまったく変わっていない。どっからどう見ても、朝陽が帰ってきた痕跡が無い。
「………………」
(学校の襲撃……巨大な宗教団体……たしか、播磨さんが行く言うてた場所は─────)
「あのアホ、もしかして拉致された?」
そして現在、施設内部を絶賛潜入中の播磨は、迷子になっていた。
「あれー? 師人達はどこー? つーかココはどこー?」
実はこの支部施設、各部屋ブロックごとにランダム移動し、迷路化することによって参加者を閉じ込める仕組みになっていた。
実際、初見の状態で誘導されながら進んでいたため気がつくことはなかったが、1時間ほど前にあったハズの出入り口が綺麗さっぱり消えていた。
「こんな施設、ぶっ壊しちまった方が正直早ぇけど、無差別に暴れたら他の参加者も巻き込んじまうからな……めんどくせぇ」
襲いかかってくる宇宙生物を殺しながら進み、玩具を操り、視界を共有しながら進む。
(地下にあった怪しげな実験部屋。コイツ等はそこからあがってきたのか? 師人は
「おっ! あったあった! ようやく見つけた!」
何回かの探索を経て、先程までいた控え室をようやく発見した播磨は、その扉を勢いよく開けた。
「「あっ…………」」
するとその眼前には、倒れている参加者達を運ぼうとする化学防護服を着た信者達が数名。播磨が扉を開けた瞬間、お互いの視線は熱く交差し、ぶつかり合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます