第11話〜スイッチポチ
少し時間は経って、全員この部屋に何かあるかもしれないと思い、漁ってみるも何も出てこない。
薫田あるじに至っては成人男性二人を放って置いて、部屋の端にあった椅子に座り、机をバシバシ叩いている。
「百均に売ってあるやつみたいなのだ」
「安モンだろそれ」
掛けてあったテーブルクロスにも埃が溜まっており、また埃が舞っている。そして安物なので肌触りも悪い。
彼女は机の裏まで足を上げると、何やらカチッというボタンの音が聞こえた。足先に当たったので少し痛かったが、そんな事はどうでもいい。
「机ゴンゴンするなって」
「なんか当たった?のだ」
また針口が文句を言っている。
本棚から引きずる音が聞こえ、近くに居た彼がその本棚を引いてみると中は真っ暗であり、床に板はなく、ただハシゴがあるだけであった。
「作った奴暇なのかー?」
「すごぇ!ロマン詰まってらぁ!」
その仕掛けを見た彼は呼吸を荒くして、目を輝かせている。
非日常感を楽しんでいる所で悪いが、後の二人はこういった子供騙しを何度も見ているので特に驚きはなかった。
冷たい目で彼をただ、見ているだけだった。
「この先に何がいるか分からないし、武器は持っておこう」
先に行く前に、ヴェニアミンはポケットから携帯用ナイフと少しメッキが剥がれているメリケンサックを取り出した。
「近距離はあちきに任せるのだ」
ナイフは女子高校生の元に。彼女は慣れた手つきでナイフを構えている。
そしてメリケンサックは元無職のコンビニアルバイターに渡された。彼は両手でそれを持っているだけで、はめようとはしない。
「使ったことがないんだが」
「殴るだけ。簡単」
「そういうのを聞きたい訳じゃないんだが」
渋々着けたのだが、喧嘩なんてした事もない優等生なので、メリケンサックが手に馴染まない。
「よし、行こう」
「なんでお前はフライパンなんだ?」
そして最後の彼は手にフライパンを持って秘密扉の地下へと行こうとするが、針口に止められた。
「最強の武器だから」
「うーそーだーろ?」
「ほーんーとーう」
彼はフライパンの底を手でノックし、その強度をアピールするも、中々元無職のコンビニアルバイターには何が強いのか分からなかったみたいだ。
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