第12話

朝の登校


 「あつくー!!!」


「一輝??何だ??」


「何だじゃねぇーだろ。」


「ふざけんなよ、勝手に動画を出しやがって」


「うん、まぁそれも俺の勝手だし。」


「はぁー??」

ばん!!とうるさく鳴るくらい強く俺の机を叩く。


 「まぁまぁ、」

と横から動田が落ち着かせ・・・る気ない顔をしているな。めっちゃ笑顔だよ。


 「何だテメェ??」


「チャンネル登録者ーーーの動田ですが何か??」


「チッ!?アン?なんだと」


「あー、たったの一本で動画の再生数倍持って行かれて、どんまいです!!」


クラスメイトも笑ってる。


 「何がどんまいだ。」


「ついでに言うと、視聴者こっちに移っちゃいましたね。あざます!!」


「テメェ!!」


動田の胸ぐらを掴む。

  

 だが、クラスメイトは撮影していることに気づきその手を離す。


「卑怯だそ、お前」


「あっそ!あと一つさ、チャンネル登録者減って、どんまいです。何とかるさ!!」


「ふざけるな!!」


俺は瞬間で割り込むことに成功した。

 思いっきり一発くらった。


 「あつく!!」「あつくくん!!」

動田とクラスメイトが俺を心配してくれてる。


 「あっ、あつく!!」

一気に動揺が見られる。


「俺は一応元仲間と言わせて貰うとすぐに暴力、すぐに誰かを傷つける。もう時代遅れだよ。最近はそんな昔のありがちのやり方で通用する訳なじゃない。お前だって本心はこんなことして楽しいと思ってないだろう。」


「・・・っ!!」

一輝は席に戻る。


「あつく、すまない俺が調子に乗ったせいで」


「いいよ、俺も黙って聞いた訳だし。」


元のチャンネルはますます過激になって来ている。視聴者も飽きるよりも、心配、下手したら取り返しのつかない問題を楽しみに待っているのかも知れない。


 俺はもうやつらに同情はする気は無いから、ただ巻き込まれないことだけが心配だった。



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