第4話

昼休みが始まると、一輝は俺の方を一瞬見たが、おそらく学食に向かった。いつもは昼休みに動画の会議をしている。


 クラスではほぼ友達が居ない俺。動田が居ないとSNSにしか友達はいない。


 「ねぇ、あつくくん?」


「はっはい!」

花見さんだ。

思わず全く話さないから女子だったから声が裏返ってしまった。


 「あ、ごめんね。ビックリさせちゃった?」


 「いや、大丈夫だよ。ごめんそれでどうしたの?」


 「ひらがな辞めたって本当なの?」

  ひらがなとは元いた俺のチャンネル名だ。


 「本当だよ。あの動画に嘘はないよ。」


 「えー、私いつも見てたよ!応援してたのに!」


「私も!」「俺も!」「楽しみにしてたのに」


「えっ、みんな見てたの?」

それってクラス中で毎日俺のドッキリのビックリ顔見られてたってこと?


そして、横からジュースを買い終わって戻って来た動田がこたえた。

「みんな見てるよなー」

動田は大きい声でクラス中に聞くように言った。


 そして、一斉にみんな「うん」と答えた。


 


「嘘でしょ…」


「ほんとだよ。さっきも言ったけど俺含めてファンだから。」


「皆、見てるなら言ってよ。」


動田は、「それはな」と言いながらため息をだす。クラス中もだ。


 「一輝だよ。一輝。」

学食の方を指している。


「どう言うこと?」


「アイツお前にみんなが見ていることを黙れって言われたんだよ。」


 あ、言われてみれば。いつも一輝が「学校で動画見ている奴いる」って聞いてたな。


「なんでそんなこと言うのさ?」


「あつくが調子に乗らない為だよ。」


「ど言うこと?」


「おそらく嫉妬とあつくがそのことに気付いたら、辞めると思ったからだよ。」

  

「なんで?」


「あつくが居なかったら見る必要ないし。」


 クラス中は頷いた。確かにSNSでもそんな声を沢山頂いたし、登録解除した人達の多さから見て自意識過剰ではないのだろう。その事に気付いたのは辞めてからだ。


 「私もだよ!!」

花見さんが答えてくれた。


 「つまり、そう言う事。」


「ビックリぃー」

しばらく口が塞がらなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る