第19話

 「ねぇ、アンタこれを薪ノ宮に送られたくないなら私の下僕になりなさい。」


「下僕にはならない。」


「なら、送るわよ。」


「してしまったことは事実だから隠す気は無い。それに知っての通り関係的に送られても問題ない。」

 クラス中に広められることはまずい。彼女のプライドを傷付けることになる。きっと真鉢のことだから、クラスの中のキャラ作りを考えると、情報が拡がることは無いだろう。



 「ふん。じゃあ送るよ。」


「良いよ。」


 「はい。送信本当に送った。」


 俺達の関係はもう終わりだろ。これで俺が浮気したように終わればいい。


「私はいつまでも待ってるからね。アンタが下僕になることを」


「それはならない。」


「なんでよ、一部なら喜んでなるわよ。現に中学生の時はこの話をした奴は全員なった。」

 一時期は彼氏居たのに、俺が思っている以上に真鉢には何かあるのかもしれない。


「あと、ディープはアンタが初よ。」


ーーーーーーーーー

 教室 薪ノ宮視点



 「何言ってるの薪ノ宮さん?」

 

 「夢くんって人とあんまり関わらないだけで、良い人だから。」


 その言葉にクラスの人は笑っている。


 「いやいや、本当に演技上手すぎじゃない?それか本当に好きになったとか?」


 「そ、それは」

バレる訳にはいかない。バレたら夢くんと別れることになるかも知れない。


 横からかきのんがサポートをしてくれる。

 「私もくももと一緒に居たから分かったけど、夢くんは優しい人だよ。」


クラスのリーダー的な人が返事をする。


 「流石に酷く無い?」


 そのリーダーの横に居る人も頷く。


 「酷いって何が?」

かきのんが答える。


 「あの陰キャが、」


  夢くんが?


 「そのリアクション本気で言っていたの?嘘マジで?」

 クラスの女子達が引いてる。


 「だってさ、嘘コクをして、隠れてトリプルデートをするくらいなのに、良い人だって分かった瞬間にコロって変える。流石にちょっとひくわ・・・」


 正論だ。 

 

 かきのんもその言葉に何も言えない。


 そもそもこの人達は私達と同じように虐めをしていたが、私のように嘘コクをして浮気をするようなことまではしていない。本当に私達が言う権利なんて全く無いんだ。


 クラス中で携帯に通知音がなる。


 「ねぇ、これ見て。」

 リーダーの横に女の子が、リーダーに送られて来た物を見せる。


 「うわぁ、お互い様だはー。」


 リーダーの女の子はまたひいた顔をしている。


 「薪ノ宮さん、とりあえずこの写真見てみな。」


 嘘、何この写真。


 そこには夢くんと真鉢のキスをしている写真があった。

 

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