第9話

薪ノ宮視点

 

 私は最近ずっと、夢くんにどうやったら好きになって貰えるか考えている。

 夢くん、、、もしだよ、私以外に好きな人が出来たらその人と上手く行って欲しいな。でも、一応は元恋人だし、付き合う前に事前に相談とか、どんな人かは教えて欲しいな、、、


 「あ、おはよう!」


「おはよう、薪ノ宮さん。」


 本当は苗字呼びではなく、名前で呼んで欲しい。けど、私の嘘告で始まった関係だ。頼める義理なんてない。


 「今日はよく眠れたみたいだね、目戻ってるよ。」


「そうなの!昨日の夜、夢くんからおやすみって言ってもらえたからだよ。」


本当は普段はより考えごとしてて眠れなかったけど、


 「ねぇ、夢くん好きなことってあるかな?」


「、、、ゲームとアニメだよ。」

しまった!!前にから知ってたし、デートにも行ったのに忘れていたの??

 

「オススメなゲームとかアニメあるかな?」


「そうだね、これとかかな」


夢くんはアニメのあらすじを分かりやすく説明してくれた。私も帰ったら今日中に見てみよう。初めての深夜アニメだから、辛いかも知れないけど頑張ろう!夢の趣味の話をする為だし。



 

ーーーーーーーー


放課後、


 夢くんに友達は居ない。今日も私とかきのん以外誰も話そうとしない。時々私にも夢くんの悪口が聞こえる。私も過去の過ちを思い出す。


 【山宮(夢)ってさ、キモいよね。誰とも関わろうとしないし、オタクのキモい本を見て笑ってるし、普段から○ろい妄想ばかりしてそう。】

 私も、話をしたこともない癖に決め付けてた。


夢くんの悪口を言い返す力が私にはなかった。私が言っても余計に夢くんの印象が悪くなるのはよくないと思った。何より、私もだったから。


 私が夢くんの悪口を言っていた時は全然分からなかったけど、いつもこんなに悪口が聞こえるんだ。その中に私も入っている。

 どこまで、私達は夢くんを傷付けたんだろう。クラスの誰も好きになれなくなる理由がよく分かるよ。


 「山宮くん!ちょっと、一人でついてきて。」

 クラスの真面目で悪口を全く言わない女の子が夢くんを呼んでいる。


 「ごめん、薪ノ宮さんと帰る約束してるから」

 夢くん、私のことを、、、


「え、お願い少し来てよ。」


「いいよ、夢くん行ってきて。」

 せっかくの、クラスメイトと仲良くなるチャンスだからね。


「、、、分かった。」


 夢くんを呼んだ真鉢さんはなら大丈夫だと思った。


 私は、やっぱりバカで、さっき思っていた、夢くんが言っていたことを忘れていてしまっていた。

 誰でもなんだ。

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