第8話「聖典の正体」

 重い身体を引きずるようにして、俺はベッドから起きあがった。

 昨日はアレン司祭と話し、西条と別れたあと、すぐに家に戻った。ベッドへもぐりこんだものの、興奮と不安で結局朝までまんじりともしなかった。

 目をこすりながら一階へおり、半分眠りながらトーストにかじりついた。

「どうした? 眠れなかったのか?」父さんが心配そうにたずねた。

「昨日は急に出ていっちゃうし。試験勉強大丈夫?」

 母さんに言われ、「大丈夫だよ」とこたえたが、今は試験のことを考えている余裕などなかった。

「夜、外に出るのはひかえなさいよ。最近、誘拐が増えてるみたいだから」

「誘拐?」

「ああ、これだ」父さんがTVを指した。

 ここ二日間で、大学生が二人、高校生が三人、行方不明になっている。いずれも外に出た形跡はなく、家族も外に出る姿を見ていないという。部屋から忽然と消えたとしか思えない状況だったようだ。

「家の中で行方不明になったみたいな言い方だな」父さんが言った。

「連れ去りかしら」母さんが首を傾げた。「幸喜、これから暑くなるから窓を開けたくなるかもしれないけど、エアコンつけていいからね」

「う、うん、わかった」俺はトーストを牛乳で流しこんだ。

 TVの情報だけではわからないが、どうしても最悪の状況を考えてしまう。俺と西条のようにゲーム世界に取りこまれ、クリアーできずに出てこられなくなってしまったのではないか。俺には西条というRTA走者が運よくついていたおかげで、クリアーすることができたが、もし俺だけだったら……。

 ぶるり、と身震いする。

 俺は身支度を整えると、さっさと家を出た。

 半分眠りながら電車に揺られ、学校へつくと、「おはよー。今日はおそいね」と西条に声をかけられた。机のあいだを縫って俺に近づき、じっと顔を見つめる。「寝てないの?」

「寝られなかったんだよ。お前は元気そうだな」

「だって、〈ドラゴンサーチャー〉が手に入るまで、できることないし」どうでもいいことのように西条は言った。「休めるときは休めなきゃ。身体も、頭も。そのうち、アレン司祭から吉報が届くって」

 言っていることは正しいが、実践できるのはこいつぐらいのものだろう。悩んだり、怯えたり、平気な顔をしたりと、本当に飽きない奴だ。

 俺は机に鞄を置き、「今朝のニュース見たか?」と訊いた。

 見た見た、と西条は言った。「あれ……まさか、だよね」

「ゲームに取りこまれていようが、誘拐だろうが、こわいことに変わりはない」

「ゲームの中にいたとき、私たちの身体ってどうなってたんだろう。やっぱり、なくなってたのかな」

「スマホでも設置しとくか? RTA走者を映しながらRTAをやるってのも面白そうだ」

「軽口たたけるぐらいなら大丈夫ね」西条は俺の後ろに目を向け、「三上さん、おはよー」と手を振った。

 三上さんが教室に入ってくるところだった。こちらも眠そうだ。片手をあげてあいさつをし、自分の席につくとそのまま突っ伏してしまった。

「大丈夫? 寝てない?」

「RTAのチャート組んでたの」しゃべるのも億劫そうだ。「〈三国乱世〉って知ってる?」

「知ってる。三国志を題材にしたシミュレーションゲームだよね。私、シミュレーションは管轄外なんだけど」

「〈ドラゴンサーチャー〉をやる前の肩ならしのつもりだったんだけど……やらない方がいいよ。クソゲーだから」

 クソゲーとは、クソみたいなゲーム、つまり、面白くないゲームのことである。

「クソゲーのRTAをやるのか」俺も会話に加わった。

「チャンネルで、やるって宣言しちゃったんだもん。〈トーキョーネオ〉がお蔵入りになっちゃったから、その代わり。PV詐欺もいいところだよ、あれ」

「あー……あれはごめんね、ほんと」

 西条は苦笑いを浮かべながら、両手を合わせて頭をさげた。「ちなみに、クリアーにどれぐらい時間かかりそう?」

「六時間切るぐらい」

「苦行だわ」西条は片手で目を覆った。

「でも、全然ましな方。強い武将を仲間に入れたら、あとはほとんど作業って言ってもいい」三上さんはスマホを操作し、〈三国乱世〉の画面を見せた。「この武将を最速で仲間にできたら、五時間切れるかも」

 画面に映っていたのは、真っ赤な長い髪がトレードマークの女性だった。名前は李雹華(リー・バオファ)。赤い髪には術がしこまれており、鞭のように振るい敵を討つことができる。本人も武術の達人だという設定だ。

「もとは三国志、だよな」少ない知識を総動員し、三国志に女性の武将はいなかったことを確認する。

「そ、メーカーのオリジナル。今回は歴史とか演義にないオリジナル要素を大量に投入したみたい。そのせいでクソゲー呼ばわりされてるけど」三上さんはスマホの画面を見て、にたあと笑った。「李ちゃん、早く仲間になってね」

「……お前ら、一言だけいいか」

「何よ」と西条。

「何?」こちらは三上さん。

「試験前なんだから勉強しろ」

 西条さんと三上さんは顔を見合わせ、

「試験勉強なんて、一週間もあれば十分でしょ」

 同時に言いはなった。

 三上さんにまで言われ、俺は本気でへこみそうになった。


 時は無情にもすぎていき、期末試験がはじまった。余裕綽々の西条と三上さんに対し、俺は机にかじりつくようにして問題文を見つめた。どうにか手を動かし、すべての空欄を埋め、解答用紙を返した。

 地獄のような三日間を終えたあと、西条は三上さんと三人でごはんでも食べに行かないかと誘った。ファミレスならそうお金もかからない。

「西条も三上さんも、それなりに儲けてるんだろ」登録者数百万と八十万は伊達じゃない。

「あのお金は、あんまり手をつけたくないっていうか」三上さんは苦笑した。「大学の学費とかに使いたいし」

「私は新しいパソコンほしいけどな」西条は欲望を隠さない。対照的な二人である。

 昼間のファミレスはすいていた。俺たちは奥のテーブルに陣取ると、適当に食べ物を注文して、スマホを開いた。

「もうすぐ発売ね、〈ドラゴンサーチャー〉」西条が言った。画面には〈ドラゴンサーチャー〉の公式サイトが映っている。

「今度は負けないからね」三上さんが言った。「〈三国乱世〉をさっさと片づけて、最速記録出すんだから」

 俺はちらりと西条を見た。西条は不安そうな表情を浮かべている。

「その件なんだけどさ、やめにしない?」

 え、と三上さんは顔をあげた。

「いくらRTAが勝負の世界だといっても、しょっちゅう勝負なんかしてたら、ゲームを楽しめないじゃない? 私、〈ドラゴンサーチャー〉はじっくり楽しみたいなあって思って」

 苦しい言いわけだった。西条がRTAという遊び方をこよなく愛してることは、三上翔子であり、ぶりむである彼女が一番よく知っている。

「負けるのがこわいの?」

「別にそういうわけじゃ」

「じゃあ、やろうよ。私、西条さんに挑戦したい」三上さんは目を輝かせた。「私に憧れてくれた西条さんと真っ向勝負したい。すぐにRTAをしろとか言わないから、〈ドラゴンサーチャー〉を楽しんだあと、RTAやってよ」

 西条は返答に窮したのか、俺を見た。俺もどうこたえればいいかわからなかった。

 ゲーム世界に取りこまれる原因。そのうちのひとつがRTAなのではないかと俺は思っていた。これまで、西条がRTAをしようとしたとき、あの異常現象が起こった。三上さんの身にも同じようなことが起こらないとは限らない。

「三上さん、RTAやってるとき、変なことが起こったりしなかった?」俺はたずねた。

「変なことって?」

「えっと……ゲームにすっごい没入するとか」

「それはあるよ」何でもないことのように三上さんは言った。「ゾーンに入るっていうのかな。もの凄い集中力が発揮されてる感じはしてる」

 どうやら三上さんは呼びだされた経験がないらしい。

「あー、さっさとクソゲー終わらせたいー。〈ドラゴンサーチャー〉やりたいー」三上さんは運ばれてきたポテトを食べながら言った。


「〈ドラゴンサーチャー〉ってさ、大作RPGって触れこみだよな」

 電車の中で、俺は西条にたずねた。三上さんとはすでに別れている。

「数百億を投じて作ったって噂よ。社運をかけてるとか」西条は言った。「前作の〈ドラゴンズ・ダンジョンズ〉が馬鹿売れしたから、絶対に当たると見こんでるんじゃないかな」

「少しわかってきたな」

「何が?」西条は吊り革に手をさしこんで、ぷらぷらさせながらたずねた。

「CEO神郷が他のゲームを率いているわけだよ」俺は言った。「ゲーム同士にもパワーバランスみたいなのがあって、期待値が高いとかもの凄く売れたとか莫大な予算が費やされてるとかで、上とか下があるんじゃないかな」

「〈三国乱世〉みたいなクソゲーは下っ端になっちゃうわけね」

 そうだろうな、という言葉を俺は呑みこんだ。

 地球人から見ればクソゲーでも、その中で生きている人々がいる。自らものを考え、悩み、歴史を紡いでいる。戯れの世界であろうが、厳然として存在するのだ。ただ、俺たちがそうとは認識していないだけで。

 そしてこの地球も、戯れの世界のひとつにすぎない。地球というゲームはもう終わっているのか、まだはじまってすらいないのか、それすらもわからない。

 すべて、創造主の手の平の上。そう考えるといい気はしなかった。アレン司祭も顔にこそ出さなかったが、戯れの世界について知ったとき、同じ気持ちだったのではないだろうか。

「何か、変な感じよね」唐突に西条が言った。「世の中には無数の世界があって、私たちと同じような人間が暮らしている。そのことを知っているのが、私たちだけなんて」

「何で、俺たちだったんだろうな」ずっとかかえていた疑問に立ち返る。「三上さんが呼ばれていないことに少し驚いた。RTAをやってる人間が呼ばれてるわけじゃないのか?」

「人気のある動画投稿者が呼ばれてるわけでもなさそうよね」西条が言った。「私より人気のある投稿者なんていくらでもいるのに、その人からはそんな話聞かない」

「言ってないだけかもしれないが、気になることはある」

「行方不明の事件?」

 俺はうなずいた。「部屋から忽然と消えた、みたいな報道だったけど、これまでは報道されなかっただけで、本当はあったんじゃないのか? 短期間であまりにたくさんの人間が消えたから、今回は報道されただけで」

「ゲームに取りこまれて、それっきりになってる人が、裏に大勢いるかもしれないってこと?」

「ああ」

 俺は電車の窓から外を眺めた。まだ日は高く、空はどこまでも青く広がっている。染みひとつない空だ。

 しかし、誰かがこの世界を侵食しはじめている。肌がぴりぴりするような不気味さを、俺は感じていた。


 期末試験後の休みが明けた。

 俺と西条はいっしょに登校し、教室を見まわした。いつもと変わらない風景だ。

 担任の教師がやってきた。

「えー……みなさんに伝えないといけないことがあります」担任は言った。「三上翔子さんが二日前から行方不明になっています」

 教室中がざわめく。みな、巷で起こっている件の行方不明事件を知っているのだ。

「警察も全力で捜査にあたっているとのことです。みなさんの中で、三上さんのことで心当たりのある方がいたら、ぜひ、捜査に協力してください。私に言っていただけたら、警察に報告しますので」

「そんなこと言っても、三上って友達いないからなあ」クラスメイトのひとりが言った。

「最近、西条さんと長山君といっしょにいなかった?」

「テスト明けにメシ食いに行ってたよな」

 先生が俺と西条を見た。俺はかぶりを振ることしかできない。西条もまた同じだった。

 六限目までの授業が終わったあと、俺と西条は担任のもとに向かった。

「三上さんの家ってどこにあるんですか?」

西条はたずねた。

「聞いてどうする?」担任は言った。

「友達、なんで」西条はうつむき、「行ってどうなるってものじゃないのはわかってますけど、ご両親にごあいさつだけでも、と。友達なんで」西条はくり返した。

「……そうか」

 担任は三上さんの家の住所を教えてくれた。ただし、すぐに帰るように言われた。今、世の中は行方不明事件が立て続けに起こってぴりぴりしている。マスコミも来ているかもしれない。三上さんの両親の心中も察しろと釘も刺された。

 すなおにうなずく。心が痛んだ。

 三上さんの家は、高校の最寄り駅から四駅ほど行った場所にあった。駅の前は商店街で賑わっているが、そこを通り抜けると閑静な住宅街が広がっていた。

 担任に教えてもらった一戸建てを探す。すぐに「三上」という表札を見つけた。

 インターフォンを押し自己紹介をすると、ドアが開いた。憔悴した様子のおばさんが現れた。三上さんの母親らしい。

「すみません、こんなときに」

「いえ、いいのよ。いい気分転換になるわ」どうぞ、と母親は言った。「リビングに入って。応接室は今ちょっと使ってるから」

 廊下を歩いていると、応接室の戸が少し開いていた。父親らしき男性と、刑事らしきスーツと私服の二人組が話しをしている。父親は頭をかかえ、刑事は「お気をたしかに」と優しい言葉をかけている。

「おばさん、三上さんの部屋ってどこですか」西条がたずねた。

「階段をあがってすぐ右だけど、どうして?」

「私が見たら、気づくことがあるかもしれないと思って……刑事さんじゃわからないことも」

 母親は一瞬、険しい表情を見せたが、すぐに弱々しい笑顔になった。「何かわかったら、教えてね」

 西条が頭をさげる。俺もあわてて頭をさげた。

 三上さんの部屋はポスターやアクリルスタンドなどで埋め尽くされていた。いずれもゲーム関係のものだった。〈ドラゴンサーチャー〉がやけに目についたのは、意識しているからかもしれない。楽しみにしていたことがうかがえる。

「〈三国乱世〉で遊んでたみたいね」西条がゲーム機の蓋を開けながら言った。

「こっちにチャートがある」俺は三上さんの机から紙の束を持ってきた。「綿密だな。お前のスカスカのチャートとはえらいちがいだ」

「私のは頭にほとんど入ってるの。紙に出力したのはおぼえきれない部分だけ」西条はチャートを受けとり、中身を確認した。「RTA中、だったのかな」

「パソコンがないな」俺は三上さんの机を見た。おそらく警察が解析のために持っていったのだろう。「RTAをしていたのなら、タイマーをつけて録画してただろうに」

「やっぱり、他の行方不明になった人たちもそうなのかな。私と同じRTA走者で、ゲームに取りこまれていなくなった、とか」

「何とも言えないが、仮にそうだとして、何で急に俺たち以外の奴らが取りこまれはじめたんだ?」俺は腕を組んだ。「そこがわからない」

 ゲーム世界がCEO神郷のもと団結しているのなら、彼らの求めるものは聖典以外にない。聖典を手に入れるため、RTA走者を自分たちの世界に呼びこんでいるのだろうか。

 そうだとするなら、RTA走者は聖典を持っていることになる。少なくとも、CEO神郷はそう考えているはずだ。

 はたと、俺の視線が西条の持っているチャートに吸いついた。

「西条、それもう一回見せてくれ」

「いいけど」

 俺はチャートをぱらぱらとめくり、自分の考えが正しいことを悟った。

「これだったんだ」

「何が?」

「聖典だよ」指でチャートをはじく。「これが聖典だったんだ」

「え、ええ!?」西条は口を押さえた。

「チャートっていうのは、RTAで最高のタイムを叩きだすための手順書だ。徹底的に効率化がはかられている」それだけじゃない、と俺は言った。「ラスボスを最小限の手順で倒す方法も書かれている。これがゲーム世界の敵側にとって脅威にならないはずがないだろう」

「そ、それはそうかもだけど」

 クリカラも言っていた。「わしらを滅ぼす武器」だと。チャートはゲーム世界の敵に対抗できる最強の武器なのだ。

「行方不明になったのは、たぶんRTA走者ばかりだ」俺は言った。「チャートという最強の武器を持っているから、呼びだされた。ただ、味方側に呼びだされたのか、敵側に呼びだされたのかはわからないけど」

 味方側ならともかく、敵側に呼びだされたのなら最悪だ。生還は絶望的といってもいい。いや、ゲーム世界では殺せないので、どこかに閉じこめられているかもしれない。 

「で、でもそんなこと言ったら、チャートなんて無数にあるじゃない。ネットにどれだけあふれてると思ってるの!? それに、攻略本だって売ってるじゃない!」西条は俺につめよった。「世界中にゲーム世界の武器があるようなものよ!」

「神郷は地球人を滅ぼしてでも、自分たちの世界を守るつもりなんだよ」俺は西条をまっすぐ見据えた。「あいつはそう言った」

 西条はその場にくずおれた。「何よ、それ。戦争じゃない。アレン司祭の言うとおりだったってこと?」

「そういうことになる」

 俺は部屋にあったゲーム機を見つめた。今ごろ、〈三国乱世〉の中で、三上さんは戦っているのだろう。こちらから手を貸せないのがくやしい。

 行方不明者は今後、増え続ける。RTA走者だけではなく、ごく普通のゲーマーもゲーム世界に取りこまれてしまうかもしれない。チャート……聖典が地球側に無数にあると、CEO神郷が気づくまで。

 気づいたあとは、ゲーム世界の人間が地球側へ出る手段を構築しはじめるだろう。もうすでに、他人の身体を借りて地球側へ来る方法は確立されている。CEO神郷とその部下が地球側へやってくるのは時間の問題かもしれない。

 俺は床に膝をつき、西条の肩を叩いた。

「西条、お前が言うように、CEO神郷を倒そう」

「え?」

「あいつらがこっちに来る前に、チャートを完成させて、〈ドラゴンサーチャー〉の世界に乗りこむ。神郷を倒せばゲーム世界同士のつながりは崩れる。それで全員が助かるかはわからないが……とにかく、やろう」

 西条は鼻をすすった。泣いていたのかもしれないが、俺を見つめる西条の顔に迷いはなかった。「うん」とうなずき、立ちあがる。

「でも、その前に」と、三上さんのゲーム機を見つめた。

 西条が考えていることはわかる。俺はチャートを鞄にしまい、ゲーム機から〈三国乱世〉のディスクを取りだした。部屋の棚からケースを探し、保管した。

 部屋に異常が起こったと知られれば、大問題になるだろう。それでも、三上さんを助けなければならない。神郷を倒したところで、三上さんが帰ってこられるとは限らないのだから。

 お邪魔しました、と俺たちは三上さんの母親に頭をさげた。

「何か、気づいたことはありませんでしたか?」

 はい、娘さんはゲームの中にいるので、普通の人は手を出せません。俺たちが救出します。

 そう言って安心してもらえたらどれほどよかっただろうか。

「いえ……」俺は小さくかぶりを振った。西条は深く頭をさげている。

「そう……そうですよね」力なく母親は笑った。

 刑事たちは、まだ父親と話しをしていた。

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