第22話 雷の雨



 白い極光が天より堕ちる。


 閃光。


 雷鳴。


 稲光。


 天上より無数の雷が堕ちる。

何十、何百もの光が轟音を伴い堕ちる。


 それはまさに白き雷の雨。


 白亜の龍が放った雷の嵐。

その一つ一つが有り得ないまでの魔力を帯びていて、その一つ一つが彼ら空鮫を屠るには過剰すぎるほどの威力を持っていた。


コメント

・おぉ……なんか凄い

・近くで見れないの残念なんだが

・↑この魔道具くんも頑張ってるんだからそんな事言わないであげて……

・普通に天変地異なのよね

・崩壊式と違って現実味を帯びてる

・頑張れば人の手によっても起こせなくはないしな

・トップ勢なら出来そう

・空鮫くんはどれくらい生き延びられるかな?



 爆ぜる雷鳴。堕ちる白雷。


 今も尚、追尾している空鮫の放った何十もの光線レーザー


 それに降り注ぐ白雷が衝突。


 相殺し、光線レーザーが消失していく。


 一つ、また一つと、白い雷により打ち消されていく。


 アルの、俺の周りに重点的に降り注ぐ稲妻。

それはまるで壁、あらゆるものを打ち砕く雷の壁だった。


「…………」


 空鮫が放った何十もの光線レーザー、異常なまでの追尾性をほこり、音速で飛翔していたのにも関わらず追ってきていていた、中々に厄介だったもの。


 それが、30秒にも満たない僅かな時間で消え失せた。



コメント

・レーザーくん死亡のお知らせ

・よく持ったほうだよ……

・惜しい人を亡くした……

・ひ……と……?

・草

・それにしてもあんな速さを出していながらよくもまぁ、あんな芸当ができるものだわ

・さすアル


「「「「「「サメーーーーー!!!!」」」」」」


 僅かに聞こえる空鮫の声。

遠くに見える、いくつもの光。


……また、光線レーザーを放ってきたか。


 だが、もうその光が俺たちの前に現れることはない。


 今も尚、降り注ぐ白雷の雨。


 白き稲妻が光線レーザーの行く手を阻み、消失させる。


『なんだ、それしかやらないのか。つまらんな……』


 アルがもう興味を失ったように呟く。


『龍樹。もう終わりにしても良いだろう?』


「うん。お好きにどうぞ。」


 別に、もう空鮫ができることは無いしね。

あいつらの手強いところはあの光線レーザーだ。それがもう通用しない今、もうすることは無いし、結果が分かりきったものを何度見てもつまらないしな。



 降り注ぐ白雷の雨の範囲が更に広くなり、より激しさを増す。


 狙いは空鮫たち。


 閃光。


 雷鳴。


 稲光。


 雷が堕ちる。


 空鮫へと堕ちる。



コメント

・あ、範囲が広くなった笑

・これは空鮫くんたちもお終いですね

・さらばだ空鮫たちよ、中々もった方だと思うよ?

・中々の奮闘だった……

・いや、まだ空鮫くんたちだって生きれる可能性が……

・↑無いです

・勝てるじゃなくて生き延びるの時点でお察し



 逃げようとした空鮫を白雷が貫く。


 光線レーザーによって雷を相殺しようとした空鮫が、相殺できる筈もなくそのまま堕ちる。


 一撃、雷を耐えたものが居た。

だが、瞬時に堕ちてきた雷によりあっけなく死を迎える。


 海の中へ逃げ込もうとしたやつが居た。

間に合う筈もなく、貫かれる。


 次々と、一体一体確実に、空鮫たちが死んでいく。


 龍の放つ稲妻に敵うはずがなく、ただ呆気なく、無慈悲にも、白雷に貫かれて死んでいく。



コメント

・あーあーこれは……

・はい

・やっぱ、格が違うわ

・あの空鮫の大群をこうも呆気なく……

・さすアル

・こんなにも安心して見れるダンジョン配信って中々ないよ



 あの場に居た全ての空鮫がアルの放った白雷により死んだ。


 うん。だいぶ呆気なかったね。

いや、まぁ……アル相手だし、負ける筈もないと思ってたけどさ。

それに空鮫ってあの異常追尾光線レーザー以外には目立ったところはないし、何かこう耐久力がめちゃくちゃあるとかでもないし、あの対処さえ出来れば実は倒しやすい部類に入るけどね。まぁ、普通はあんな力業じゃないんだけど。……そこは流石アルと言った感じ。


 最後の方とかほぼ雷に貫かれて死ぬの待ちだったし。


「アル、お疲れ様。カメラがある所まで戻れる?」


『カメラのある場所か、分かった。』


 アルにお願いしてカメラを浮かべといたところに戻ってもらう。


 アルがスピードを上げた時、これはカメラついてくることは無理だなって踏んだから、その場に留めさせておいて、俯瞰的な感じて見れるようにしていた。


 コメントの反応を見るに、特に問題あった訳じゃなさそうだけど。


コメント

・あ、戻ってきた

・おかえりー

・どうでした?

・あんな速さで飛行するの興味ある

・だいぶ速い速度で乗っていたと思うけど何か感想は?


 カメラのある所まで戻ってきた。

まぁ、よくもあの中を耐えてたなと思うよ?

途中までは普通に光線レーザーとか通ってたし、最後の方だいぶ遠くで戦ってたから関係無いだろうけど。


「え?感想?……うーん。いや、それなりにドキドキしてたよ?まぁ、アルが色々気を使ってくれてたお陰で体への負担は全然無かったけど。それのせいか結構楽しかったりもした。だって中々ないでしょ?あんな体験。」


コメント

・そりゃあな

・普通はしません笑

・案外負担なかったんだね

・身体にかかるGとか凄そうだったけど

・楽しかったら何より?

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龍を拾った。配信者になった。 菊理 @kukurihime

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