第21話 サメー


「おお……瞬殺。」

 

 空飛ぶサメ──空鮫は一瞬にして、絶命。

あいつ、調べた限りだとそれなりに手強い相手だった筈なんだけどなぁ。さすがアルだわ。


コメント

・さすアル

・何も出来ずに終わったなぁ

・可哀想な空鮫くん

・流石で御座います

・あれ?でも空鮫って集団で襲ってくるんじゃ無いの?


 集団で襲ってくるんじゃ無いかというコメントを見つける。そう、そうなのだ。このコメントの通り、空鮫という魔物は集団で襲ってくることが多いらしい。だから俺も他に出てくるのでは?と思った瞬間。


 下の方で何かが光った。

……それも大量に。


「アル!!下!!」


 それに気づいた瞬間、アルに向かって叫ぶ。


『分かっている。龍樹よく捕まっていろ。』


「っ!?うおっ!!」


 アルが飛翔するスピードを上げる。

身体にかかる力が急激に高まる。

アルの言う通りにしといて良かった……あのままだったらあの加速で落ちてた気がする。


 そしてさっきまでいた場所には何十本もの光線レーザーが放たれていた。


コメント

・ちょっ……置いてかれたんだが

・あのスピードには勝てなかったか

・あーあー……

・いや、この撮影用の魔道具って結構スピード出るんだよ?アルさんが速すぎるせいで追いついて無いだけだけど

・頑張れ魔道具!!

・何してんのかさっぱりだ……


 あ、カメラ置いてかれてる……

あれ音速くらいなら着いていけるくらいにはスピード出るんだけど?……いまそれよりも速いスピード出してるのか、アルは……ってか、よく音速以上を出しているであろうものに乗ってるのによく俺無事だな?


 まぁ、カメラは後で回収……というかこの戦闘が終わったら元に戻るからいいとして、下の大海原から無数の空鮫が飛び出してくる。


 多分二桁にはいってる筈。さっきの光線レーザーの数的にも。先程の光線レーザー、それを放ったのは、彼ら空鮫である。


「「「「サメーー!!」」」」


 ……なんかもう少し鳴き声恐ろしいものにした方がいいんじゃ無いの?いや、まぁ魔物に言っても意味はないだけど。こう改めて空鮫の鳴き声を聞くとこう……呆気に取られるというかさ、ね?


 まぁ、それは兎も角、空鮫はなんでか知らんが口から光線レーザーを放ってくる。


 いや、鮫なんだからこう物理でやったりしないの?とは思う。イメージ的に。


コメント

・相変わらず空鮫の鳴き声は可愛いよな

・鳴き声だけな

・他の部分は凶悪なので

・中々にウザい性能をしてるのでね

・アル様なら万が一にもないだろうけど


 この空鮫。空を飛ぶこと、口から光線レーザーを出すこと、群れで行動すること。以外に特に目立ったところはない。


 だが、奴らの放つ光線レーザー。それの性質が厄介なのだ。それが空鮫を手強い魔物に押し上げている。


「アル!!上からくるぞ!!気をつけろ!!」


『む。追尾してくるとは、中々面倒だ。』


 上から光線レーザーが降ってくる。


 そう、上から。空鮫の口からしか放たれない光線レーザーが上から降ってきたのだ。


 アルは降り注ぐ無数の光線レーザーをいとも簡単に避ける。


 空鮫がいつの間にか上に居た?それは有り得ない。未だ奴らは下の方にいる。では何故上から降ってきたのか?

 それは単純明快、光線レーザーが曲がったのだ。アルが避けた無数の光線レーザー

それはそのまま遥か上空目掛けて飛んでいた、途中までは……途中、180度大きく回り、アル目掛けてやってきただけのこと。


 空鮫の放つ光線レーザー。それは異常なまでに追尾性能が高いのだ。避けても避けても追ってくる。それが空鮫の厄介なところだった。


コメント

・あーあー何やってるのかわからん

・なんでレーザー上から降ってきてるの?

・いまは避けてるだけか?

・そりゃあ曲がるからだよ

・一回アルさんに避けられて飛んでったレーザーが方向転換して戻ってきた

・正直レーザーの追尾性能だけが高すぎるのよな

・あのスピードについていける時点でそれなりにの凄さを感じてる

・凄いと感じるのアルちゃんじゃなくてレーザー側なの草


「「「「「サメーー!!!」」」」」


 そんな掛け声と共に第二射目の光線レーザーが空鮫の口から一斉に放たれる。


 迫り来る数十もの極太な光線レーザー

アルなら傷一つ負うことはないだろうが、俺に当たれば致命傷にさえなりうるもの。


 それをアルは意に介さず、避ける。

……ん?今、一瞬海が上にあったような……


 避ける。避ける。避ける。何十もの光線レーザーは未だアルに当たることは無い。


 避けている筈なのに止むことはない、光の奔流。


 またしても、アル目掛けてやってくる光線レーザー


 近くに来た瞬間、その光帯は軌道を変える。

俺へと向かって。


 俺の真横を光線レーザーが通り過ぎる。


「狙いを俺に変えたか……」


 当たることはなかった。

だだ、結構スレスレで通り過ぎてったから驚きはしたけど。


 突然軌道を変えたわけ、それは多分狙いを俺に定めたから。正直言って、俺に当てることはアルに当てることよりも至難の業だろう。

だが、アルと違い当たれば俺は死ぬ。地上ならまだしも、今の、アルに乗りながら空中にいる状態では防ぐことすら出来ない。


 だから当たる可能性が低かろうと俺を狙いに定めたのだろう。


『……狙いを変えてきたか。ならばもう終わりだ。堕ちよ。』


 ただ、それを白亜の龍アルビオンが許す筈もなく。


 閃光。


 雷鳴。


 稲光。


 堕ちる。堕ちる。堕ちる。


 白い稲妻が天上より堕ちる。


 迫り来る光線レーザーへと堕ちる。


 何十、何百もの白雷が堕ちる。


 それを表すならば、雨。


 白きいかずちの雨が降り始めた。






───────

あとがき

遅くなってすいませんでした……

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