第20話 天空


コメント

・待機だぁ

・待機なう

・海外ニキたちもだいぶ来てるな

・うわぁ、待機勢多すぎたろ

・さすがですね


 凄まじい速度で流れるコメント欄。

待機人数とかこないだの配信の数倍はいるだろ。うわー、すごーいなぁ……


…………日本語以外のコメントとかも結構見られる。これはだいぶ海外勢も多そうだな。

まぁ、俺、英語そんな上手く無いし、他の言語もよく分かって無いからコメントするのはキツイけど。そこは頑張ってもらおう。


 何はともあれ始めるとするか。


 配信を開始する。


コメント

・キタァ!!

・いえーい

・今日はどこのダンジョン?

・始まったぜぇ!!

・綺麗な空だ


「今日はね、ココだよ。」


 俺はそう言ってカメラを少しばかり下に向ける。画面に映るのは大海原。俺が今いるのは海の真上だった。


コメント

・あっ……

・あ、(察し)

・高所恐怖症の皆様お疲れ様です

・……わーいそらだぁ

・空中散歩

・周りを見渡せば澄んだような青空。

・下を見れば果てまで続く大海原。

・じゃあ、いまいる場所は?

•↑空中ですね

・天空ダンジョンですか

・そっか、行けなくはないのか

・ってことは、アルちゃんに乗ってるのか


「そ、天空ダンジョンだね。」


 別に、フィールド型や迷路型のような分類では無い。このダンジョンはフィールド型に属しており、その上で、とある特徴を持っている迷宮ダンジョンを天空ダンジョンと世間では呼んでいる。


 ではその特徴とは、何か?

それは、攻略に空を飛べる、もしくは空を飛べる移動手段があることが絶対条件なことであるということと、無数の大小様々な島々が空に浮かんでいるということだ。


 この迷宮ダンジョンはそもそも、空を飛べることが出来なければ、移動すら出来ない。


 攻略する上で、空を移動出来ることは絶対条件である。


 そのせいで、この迷宮ダンジョンは探索者協会により入場規制がかけられている。


 許可を得ることが出来なければそもそも入ることが出来ないという迷宮ダンジョンなのだ。


 で、その許可を得られる基準というのが、空を移動出来ること。

 俺の場合。俺自身は空を飛ぶことが出来ないが、アルが飛べる。


 アルに乗って、空を移動出来るからこそ、許可を得ることが出来た。


「で、アルに乗って移動してるわけだ」


 俺の真下にはアルがいる。

まぁ、アルの上に乗ってるわけだから当たり前なんだけど。20メートル弱はあるのではないのかと思うくらいの大きさになった白亜の龍アルビオンの上に乗って大海原の上空を飛行しているのだ。


コメント

・空っすね

・龍に乗った人とか史上初では?

・↑そんなことをいちいち気にしてたらこれからやってけないぞ

・草

・前よりアルさんデカくなってない?

・確かに

・いつもと逆になってて草

・そっか、自分から飛べなくても移動手段があればいいわけだからね。天空ダンジョンって

・暫くはアルちゃんによる移動が始まるのか

・こんなに安心できる空中移動見たことないわ

・天空ダンジョンって移動してる時でも空飛ぶ魔物がやってくるからな

・確かに安心して観れる

・空島までの移動はアルちゃんで、空島の探索は龍樹くんって感じ?


「あぁ、そうだよ?空中での移動と魔物の殲滅はアルで、空島の探索は俺って感じだな。まぁ、役割分担ってこと。」


コメント

・おおー遂にアルちゃんにもちゃんとした出番が……

・そんな今まで出番があんまりなかったみたいなこと……

・あながち間違えじゃないんだよなぁ

・wwwwww

・出番がある時の濃密度がヤバいだけなんだよなぁ

•↑それな

・別に間違ったことは言ってない

・良かったねアルちゃん


『……来るぞ』


 しばらく、アルに乗りながら空を飛んでいたとき、アルが唐突そう言った。


 次の瞬間。

下の方で大きな水飛沫が上がる。


コメント

・お?

・魔物か?

・初戦闘ですね

・果たして哀れな被害者はどなたなのか

・被害者……?

・向こうからやってきたから、こちらが被害者では?

・負けることは一ミリも考えてないっていうね

・いや、有り得ないでしょ

・草

・wwwwww

・これは笑

・B級映画ですか?

・もう流行りはとっくに過ぎ去ってるんですが

・笑笑


「サメ?」


 真下の海から猛スピードでやってきたのは、空飛ぶサメ?のような魔物。


 その体格は巨大であり数メートルはあるだろうか?……というか、どうやって浮いてるんだよ。


コメント

・空飛ぶサメって笑笑

・草

・本当なら怖いはずなんだけど笑

・なんだかなぁ

・シュールだよね

・案外迫力がない

・おお……散々な言われようだわ

・あいつ強い筈なんだけどね


『邪魔だ、失せるがいい』


 そのアルの声と同時に、


 一筋の光と空気を裂くような轟音。


 アルが放った白雷だった。


 高密度の雷が空中に作り出され、空飛ぶサメを貫いた。サメの体躯に穴が開く。


 その一撃によって絶命したのか、そのまま身体の制御を失い、海へと落ちて行った。


コメント

・瞬 殺

・はやい

・楽勝

・何も出来ずに終わったサメくんよ安らかに眠れ

・あのサメもっと強い筈なんだがなぁ

・さすアル

・そりゃあ、龍と比べたらね?

・ってか、予想以上に音がデカくてビックリした

・wwww





──────


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