主人公のタケルが体験した奇怪な事件の数々を克明に記した傑作ホラー

本作品は、主人公の国見タケルの体験した不思議な出来事の数々を、彼の純粋で正直な眼差しを通して、生き生きと描き出した物語である。

幼い心に刻まれた恐怖と驚きが、読者の心をも捉えて離さない。



彼の地図に刻まれる『怪』の印は、日常の裏に潜む非日常の影を浮かび上がらせる。

人柱となった娘の亡霊、工事現場に現れた亡き棟梁の幽霊、そこはかとない恐怖が町のあちこちに散りばめられている。

しかし、本作が単なる怪談に終わらないのは、タケルの瑞々しい感受性と仲間たちとの温かな絆があるからだ。

恐怖を通して深められる友情、幼い正義感などまさに、タケルの成長物語である。



タケルと仲間たちが『怪』と向き合い乗り越える姿に、読者も勇気をもらえる傑作ホラーである。

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