このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(194文字)
耳朶を打つ怪異めいた擬音。鼻腔をつく美醜の馨り。雪という正体不明な女の存在。想像力の空白たる余地を残すことで醸されるホラーが余韻を残す。春の描写にこれらのホラー要素が五感を狂わせる、春の闇がいざなう禁忌を孕んだ怪の良作。