第26話 ハッピーエンド
「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!」
茉白は走っていた。ひたすら、ひたすら、走っていた。
(待ってなさいよ!!篠原くん!!)
茉白はもっとスピードを上げて、新の家へと走っていた。
そして、新の家に着くと、大きな声で叫んだ。
「篠原新!!何してんのよ!!今日はテストの結果発表でしょ!!なんで学校に来ないの!?」
そう。新は、テストの結果発表前日に、担任にこう告げられていたのだ。
「結果がいいって!?何点だったの!?何位だったんだよ!!??」
「あぁ…それはな…101位だ。すごいだろ。自分でも驚かないか?はっはっはっ!」
「…………」
(俺…超カッコワリー…。もう…水無月になんて言って良いのか…どんな面して会えば良いのか…もう、ワッカンネーヨ…)
新は、絶望した。悲しくて、悔しくて、申し訳なくて…。
*****
「篠原新!!出て来なさい!!」
新の両親は共働きで、昼間はいない。兄弟もいないので、新一人のはずだ。だから、茉白は思いっきり叫んだ。
「篠原新!!いいから、顔を出しなさい!!もう貴方は包囲されているんだから!!」
それでも、顔を見せるどころか、返事もしない。
(怒!!あーいーつー!!!!)
「あんたは!100位よ!!」
「んな訳ねーだろ!!」
やっと、2階の窓から新が顔を出した。
「俺、昨日聞いたんだよ!!担任から!!俺は、101位だったんだよ!!お前との約束、守れなかったんだ…よ…ぉ…ぅぅぅ…くっそぅ……なんでだよ……あんなに頑張ったのに……あんなに教えてもらったのに……水無月があんなに一生懸命になって、俺のこと応援してくれたのに……」
「貴方!ばっかじゃないの!!??」
「はぁ!!??」
「私は1位だった!!山本くんにはしっかり交際をお断りした!!それに、それに…私の1位はシードみたいなもの!!貴方は100位よ!!馬鹿!!」
「ど…どゆこと?」
「…貴方、馬鹿でしょ…。私はこれからも、あなたの為だけに、テストの勉強会を開くし、貴方を応援し続けるし、例え、嫌がっても、勉強させるよ!!」
「水無月…。俺さ…馬鹿だから、もし、間違ってたら本当に馬鹿かも知んないんだけど、俺、水無月のこと、すきになっていいの?」
「何それ!!貴方本当に馬鹿でしょ!!貴方が私をすきなだけじゃない!!私だって…私だって!!篠原くんがすきなの!!」
ズダダダダダダダ!!!!!!!ドゴ―――ン!!!!ガラン!!!!バン!!!!
傷だらけになった新が、玄関から飛び出してきた。そして―――…、
むぎゅ―――――――!!!!!っと、茉白を抱き締めた。
「2年なって、クラス変わっても、勉強会、頼んだからな!!」
「…当たり前でしょ。貴方、馬鹿なんだから…」
貴方、馬鹿ですね? 涼 @m-amiya
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