第12話 執念からくる残虐な作戦
「こうなったら、こういうのはどうだ!!」
新が、2人に円を組むのを促し、コソコソ話を始めた。
「「おぉ―――!!」」
「どうだ!!」
「もうそれしかないな」
「だな。ちょっと、水無月には申し訳ないけど…」
*****
「なぁ、山本、ちょっと相談がある」
新は、放課後、帰宅部で何の用事も持ち合わせていない、山本を引き止めた。
「なんだ。中谷」
「仲人だ…。まぁ、いい。お前、もう水無月のこと諦めたのか?」
「い!いきなりなんだ!!」
「良いから答えろ」
「そ…それは…なんと言うか…水無月には嫌われたらしい…。どうすることも出来まい」
「そうか?」
「?なんだ。何か怪しいな」
何となく、嘉津の話し方が気になってきた。
「水無月とのデートをアシストしてやる!」
「な!!それは本当か!!??」
「あぁ。でも、一つ、条件がある」
「な、なんだ!?」
山本が高揚しているのが、面白いようによくわかる。
「古文のノートを見せてくれ。そうすれば、日曜日、水無月とデートが出来るぞ!!」
「えぇ!!??本当か!!中谷!!」
「…仲人だ。俺と、日髙、篠原が、水無月を説得してやる。だから、頼む!!古文のノート、コピーさせてくれ!!」
「い、良いだろう…。しかし、これはあくまで、ゆ、友人の為にすること。水無月とのことはつ、ついでだからな!」
山本は、なんとか男の意地を見せたい模様。しかし、こっちは、案の定すんなり片付いた。
…問題は…。
*****
「え?茉白を映画に誘うの?」
「そうだ。頼む。里山!!」
「良いけど、なんで?」
「え…いや、その…。まぁ、いいじゃん!!細かいことは!!」
「そう?じゃあ、聞いてみよっと」
と
「ちょっと待て!」
「は?なんで?」
「約束するのは、約束して欲しんだけど、ちょっとドタキャンして欲しいんだよ。…実は、山本が水無月に惚れてんだ」
「そんなことは知ってるけど?」
「俺は、同じ男として、山本を応援してやりたい。この前、ちょっとした誤解で、水無月と山本の関係が複雑に…」
「じゃあ、茉白を裏切れって言うの?冗談じゃない!!」
「…もし、協力してくれたら…武吉が一緒に飯食いたい…って言ってるんだけどな…」
「え…?…日髙が…?」
唄は、武吉のことがすきだ。
「で!でも!!」
「良いのかなぁ…この話、他の女子でも良いんだけど…」
「うぅ…う―――っ!!もう!!解ったよ!!(ごめん!!茉白!!)」
*****
「唄、遅いな…もう映画始まっちゃ………!?」
「やぁ!水無月!」
「な!なんで山本くんが!?」
「実は、急に里山が来られなくなって、滝口も用事があると言うから、篠畑から代打で行ってくれと頼まれたんだ」
(…あいつ…仕組んだな…!!怒)
無言でいる茉白に、山本は言った。
「ふ…不本意ではあるかも知れぬが、映画くらいいいだろう?食事もご馳走する」
「…そう…だね…。もう映画始まるし…」
そう言って、2人はその日、デートをすることになった。
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